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第二章
23クレーム
しおりを挟む社交界からも事実上の追放を受けたが、オイシス家の不幸は留まらなかった。
貴族社会から爪はじきにされるという事は商人として生きて行く事も出来ない事を意味していた。
オイシス家は男爵家故に財源は商会によりものだった。
貴族社会から締め出されたオイシス家には悪い噂が流れる中、服飾店で売り出している服が他所の商会とデザインが被ってしまった。
その所為で、オイシス商会が他所の商会のデザインを盗んだと噂を流されたのだが。
「この商品を返品させていただくわ」
「信じられない!詐欺じゃない!」
新商品として売れ出したコートを次々と返品して行く客にランドルフは慌てる。
「何故です!商品のデザインが似通っていますがあちらとはロゴは違いますし、誤解です」
「そうです。素材は全然違いますし…どうか」
ランドルフと共にクレーム対応をするエミリーだったが、その言葉が問題となる。
「素材の違い?ええそうね…オイシス商会のコートの生地は重すぎるわ…それに不良品じゃない」
「キートンの生地を使っていると聞いたけど、三割だけ使って後は別の物だわ!今まではこんな詐欺まがいな事はしなかったのに」
「ですが、生地を100%使わない商会は多くいあります。詐欺などとあまりにも!」
「ええ…そうね?だけど、少し汚しただけ染みが広がり、外に着れないようなコート。しかも水に少し濡れただけでこの有様よ!」
「今までだったら事前に説明と、保証もついていたわ。なのに!」
客の言葉に絶句する。
今までオイシス商会にてクレーム対応はミリヤが行い接客の責任はエスターがおこなっていた。
商品の取り扱いに、万一破損した時は保証を行い。
高価なコートは無料でクリーニングをするというシステムだった。
「買って三日以内なら返品できるわよね」
「申し訳ありませんがお受けしかねます」
通常、他所の商会でも服飾店では商品に問題が生じたら返品が可能だが、エミリーは断った。
断るにしても言い方があるのだが、その断り方が上から目線で悪びれる事もなかったので二人は激怒した。
「こんな不良品を押し付けられておいて!」
「最低ね…オイシス家は客に不良品を押し付ける店になったの!」
怒りを露わにして店内で叫ぶと、最悪なタイミングで他の客が店の扉を開けた事で外にも声が筒抜けになっていた。
その所為で、少ないながらに得ていた客の心も離れ、商品は返品の後返金は要らないから処分してくれと言われる始末になるのだった。
そんな事態が相次ぎ、仕入れ先も仕事を断られるようになるのだった。
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