婚約者は愛を選び、私は理を選んだので破滅しても知りません!

ユウ

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第三章

3甘さ

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カナリアは自分の判断の甘さがミリアを苦しめることになったのだと責任を感じた。
ここまで被害を受けるなんて誰が想像しただろうか。






「全ての原因は私にあります」

「カナリア…それは」

「こんな結果になるなんて」


ライアンがここまでするとは想定外だった。
婚約破棄に慰謝料の踏み倒しについても追及しなかったのは必要がなかったからだ。


ランドルフとの縁を早く切りたいというのもあるが、婚約破棄を言い渡した後のオイシス家がどんな道を歩むか簡単に想像できたからだ。

まさかこんな結果になるとは夢にも思わなかった。


「甘かったのです…まさかオイシス夫人がここまで愚かとは!」

手紙を握りしめ、唇を噛みしめるカナリアをエンディミオンは止めた。

「今は嘆くときじゃないだろ」

「はい…」

「エスター殿、この件は私達も関わっている。どうか任せて欲しい」

「しかし…」

ライアンの怒りを買ったのは自分達にあると思ってるエスターはこれ以上迷惑はかけられなかった。
この国に来てからそれ程の恩恵を受けているか解らないのに、元実家の事で迷惑はかけられなかいと断ろうと思ったが…


「エスター様、この件は貴方様だけの問題ではありません」

「ああ、お二人に無理を言って我が国来ていただいたのが原因だろう」


ライアンの怒りの矛先はミリアに向けられているが、カナリアにも悪意がないわけではないと推測した。


「現在ミリア様は私と共に新たな商売をしてくださっています。原因はほとんど私ですわ」


「カナリア様…」

「だからこそ今回の事は任せて欲しい。二人はどうしても必要なんだ」


商人としてだけでなく人としてもすぐれ、外交を任せるには十分な才を持っている。
特にミリアは他国の貴賓と対等に渡り合えるだけの度胸と教養を持っているのだから、手放すなんてことは損失だった。


「ありがとうございます」

「妹君を守る事を最優先に考える必要がありますが…こうなったら徹底的に行います」

「随分と舐められたようだからな」


ライアンの暴走を止めるべくカナリアは手段を選ぶのは止めた。
これまではある程度は加減して来たが、ここまでされて加減をするなんてありえないのだ。


故に…もう一度仮面を被ることにした。

女官としての仮面を。



女官の現役時代に敵には全くの容赦の無さ故に、第三者からはこう呼ばれていた。



――氷の女官と。





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