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第三章
5調査
しおりを挟む下調べをするべくカナリアはミリアの妹の嫁ぎ先を調べることにした。
狭い領地で農家であるサステナル家。
セリアは農家に嫁ぎ、現在は果物園を拡大して収入を得ている。
夫婦ともに働いている。
生活は決して楽とは言えなかったが、働き者のセリアを姑は気に入っていた。
しかし今回の不名誉な噂により、サステナル家との関係に亀裂が生じてしまった。
特に夫は未だに古い考えを持つ故に姑に逆らうミリアを何かと非難し、噂も鵜呑みにして事あるごとにミリアの悪口を言っていると知らせを受ける。
「現在調べた情報によると、ライアン夫人がこれ見よがしに嫌味を言って義姉…小姑を味方につけているようです」
「セリア様は明朗快活な性格故に、姑には好かれていますが…義姉は」
「義姉にしてみれば面白くないでしょうね」
調べた調書によると義姉は出戻りだと書かれている。
夫とは結婚後子供を授かるも上手く行かず離縁して実家に出戻ったと聞く。
出戻った頃にはサステナル家にセリアが嫁ぎ、一家の中心にセリアがいたので面白くないと考えるのは当たり前だったがセリアは義姉に対しても気を使っていたが、義姉と言うのがとんだ食わせ物だった。
「ことあるごとにセリア様をハズレだと馬鹿にして、実子ではないことを周りにも言いふらし、愛人の子ではないかとも言っております」
「聞くだけで不愉快な噂でした」
「ライアン夫人と仲良くなれるのではなくて?」
「カナリア…」
侍女達の話を聞いてカナリアの表情は無表情だった。
「本当に許せないわね…情けをかければ好き放題。殺しても殺したりないわね」
「落ち着いてくれ。今は…」
「失礼しました」
一瞬理性を失う所だった。
エンディミオンは諫めてくれたので冷静さを取り戻すも。
「セリア様は良い方なのね」
「はい、ミリア様のように聡明ではございませんが気持ちの良い方でした」
「調査の為に近づきましたが…本当に気持ちの良い方で」
ミリアから聞いていた通りの人物で安堵する。
カナリアはセリアと面識はあっても付き合いはほとんどなかったのだ。
「ただ旦那様が…」
「内容の通りだとするとこの手の殿方は厄介ね」
セリアは問題ない。
姑も根も葉もない噂だと解っているが噂に踊らされているセリアの夫キュロス。
「男尊女卑はある意味平民の方が強いかもしれないけど。さてどうしたものか」
実際に領地に向かいセリアを救う前に、キュロスが邪魔をする可能性を考え策を講じる事にしたカナリアは。
「こうなったら直接出向くしかないわね」
「「「は?」」」
自らキュロスを見て確かめる事にするのだった。
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