婚約者は愛を選び、私は理を選んだので破滅しても知りません!

ユウ

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第三章

11推測

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ソファーで胃を抑えるエンディミオンは決して神経質なわけでも了見が狭いわけでもない。

ある程度の事は受け入れるし、これまでのトラブルを解決して来たので寛容な性格を持っているのだが今回ばかりは問題が多すぎた。



(セリア殿の境遇や、夫婦関係が壊れる可能性は考えていたが…)


姉を慕う余り、今回噂を流しミリアを悪者にしようとしたライアンへの不信感を持ち。
優秀な義姉に嫉妬心を抱くキュロスと万一離縁のなる事も考えていたが。



「まさかこんな形になるとは」

「アレーシャ様、やりますわね。無礼な物言いですが…私はここまで大胆な方とは思いませんでした」


常にレオンハルトの一歩後ろに立ちながらも必要とあれば資金の投資を惜しまない。
だが己の我は通さない控えめな性格だと思っていたが、ここまで大胆な行動に出るなんて予測外だった。


「セリア様の馬鹿夫を焚きつけながら、村の女性がいる中でわざと罵倒を浴びせさせ尚且つセリア様を悲劇のヒロインに仕立てあげるとは中々の策士ですわ」

「まぁ、ある意味ではアレーシャは悲劇のヒロインだったからな。物語に出て来るシンデレラさながらだったしな」

「まぁ…」


アレーシャの境遇はある程度聞かされていた。
義母と義妹に虐げられながらも健気な性格だった事で今は幸福な時間を手に入れている。


しかしその数年間どれだけ苦しんだか解らない。


「アレーシャ様は素晴らしいですわ」

「いや、それはいいんだが…問題はだな」


手紙の内容ではセリアはキュロスと離縁した後にエンゼル王国に身を寄せることになった。
それに伴いアルソート家も一緒にとの事だったが。


「アルソート家は貴族ではないが、名のある商会を幾つも持つ。彼等を我が国入れるのは…」

「アルソート家の皆様が是非とおおせです。まぁ、アレーシャ様は財も領地もお持ちですから問題ありません。いいえ、むしろ素晴らしい事になりますわ!」


手を合わせて輝くような笑顔を浮かべるカナリア。


「君のその素晴らしい笑顔は時に恐ろしいな」

「ありがとうございます」

「褒めていないんだがな」


遠回しにセリアの住まう村の女達も引き込んだアレーシャには一つの作戦があった。


その作戦が決行されればライアンは勿論。
彼女に協力した貴族商人は芋蔓形式で潰されることになるのだから。



「あちらの王妃陛下に何と言えば…」

「その時は私がご説明に向かいますわ」


結婚して一度も祖国の土を踏んでいないので今が時期だと思うのだった。

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