婚約者は愛を選び、私は理を選んだので破滅しても知りません!

ユウ

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第三章

13優しい姑①

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「ここをお使いください」


夜も遅いので客間に案内されたセリアは部屋の広さに驚く。
豪華絢爛で、眩しく感じる。



「こんなお部屋を…まぁリブにバーミャ」


「流石ミリア様の妹君ですわね。美術品に詳しいのですね」

「いえ、そのような」


リブやバーミャは最古の芸術家で絵画などは贋作が多かったが、この部屋に置かれている絵画は全て本物だった。

その絵画を本物だと見分けるのは難しいのだが、セリアは一発で見抜いたのだ。


「素晴らしい目利きだ」

「セリア様は芸術関係の学校に?」

「いいえ、私は高等部までです。その後は農民として…暇な時に画集を見せて貰っていました」


近所に絵画を好む夫人がいて、仕事の合間に見せて貰っていた。
女が芸術を学ぶなど野蛮だと舅と夫にも叱られても、理解のある姑が許してくれたのだった。


「私は絵画や骨董品が大好きなんです。見ているだけ幸せになれます」

「私もですわ」

「姉が私に初めてプレゼントしてくれたティーカップは私の宝物なんです」


セリアの言葉を聞いて本当に仲の良い姉妹だと思った。


「貴女は本当に姉君思いの優しい方だな」

「いえ…」

エンディミオンはこんなにも姉思いの優しいセリアを罵倒したヘルメスが許せなかった。

同時に何故ヘルメスと結婚したのか疑問に思った。
アルソート家ならば商家と繋がりもあるし、貴族との婚姻も可能だった。


「セリア殿、失礼な質問をしても良いかな?リタ殿にも無礼な事を言うが」


「はい」

「どうぞ、私の事はお気になさらずに」


終始、静かにしているリタはようやく口を開いた。


「何故サステナル家に嫁がれたのか」

「エンディミオン様…」


「カナリア、俺はサステナル家を貶すわけではない。だが…セリア殿は教養が高い。いくら養女と言えど商家に嫁ぐ方が望ましいと思ったのだ」


不躾な質問にカナリアも良い顔はしなかったが、第三者ならば疑問に思う事だった。
セリアは礼儀作法も申し分なく学もあり、芸術に関しての知識があるなら農家に嫁ぐよりも商家に嫁ぐ方が良いと思うのは自然な事だった。


「その件に関しては私の所為なのです」

「え?」


セリアに変わって口を開いたのはリタだった。
不安そうな表情をするセリアを安心させるように微笑みながらゆっくりと話したのはセリアがサステナル家に嫁ぐことになった事情だった。



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