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第三章
30不採用の連続
しおりを挟む最初から商会の事務や、小奇麗な仕事ばかり選んでいたのが仇となった。
最初はレベルを抑えて軽作業から選ぶものなのだが、ランドルフは自分のプライドが邪魔して、職人の仕事は除外して肉体労働も嫌がった。
その所為である貴族のお邸で従者を任されるも。
その従者と言うのは訳ありのお嬢様の従者をさせられていた。
「馬になりなさい!」
「は?」
「聞こえないの?馬よ…う・ま!」
「いいえ、聞こえています。何故」
「いいからなれといったのよ!」
男爵家のご令嬢の世話係をすることになったのがだ、我儘過ぎて使用人がすぐ辞めるような家だった。
ランドルフにも無理難題を押し付ける日々が続くも元貴族の誇りが邪魔をして素直に聞く事は出来なかった。
「ちょっと聞いているの!この鈍間!」
傍にあるぬいぐるみを投げられカチンとくる。
「止めろ!」
「うっ…うわぁぁぁん!お父様!」
相手はまだ幼い令嬢だった。
怒鳴られて睨まれ癇癪を起こし泣き出す。
しかも投げられたぬいぐるみを床に叩きつけた事で破れてしまった。
「何をしているんです!」
「メイド長、僕は…」
「お嬢様を泣かせるとは何事です!」
「ですが、この子が!」
「この子?主に向かってなんて無礼な!しかも指を差すのではありません・・・貴方は誰のおかけでこの邸にいられると思っているのです」
「この男、私のぬいぎるみを叩きつけて睨んで怒鳴ったの!怖いわ」
「なっ!」
怒鳴ってぬいぐるみを叩きつけたのは事実だが、含みのある言い方だった。
「なんて乱暴なのでしょう。お嬢様を怯えさせる等…元は貴族と聞いてましたが振る舞いが貴族には見えませんわ。貴方は解雇です」
ランドルフはその日の給金を貰う事無く邸から放り出され、再び職業紹介所に戻る事になるが、貴族の邸でご令嬢に暴力を振るったという不名誉な噂が流れ、貴族だけでなく平民の裕福な家でも雇ってもらえなくなった。
「もう後は紹介できる所はないぞ」
「もっと僕に相応しい仕事があるだろ?」
「はぁー…」
自分を過信しているランドルフに他の職員も頭を抱えている。
「一応あるにはある。飲食店で空きが一つある」
「飲食店?」
「まぁ、お前の働き次第では給仕係にもなれるだろう」
「ではそれで!」
今度こそと思っていた行った店が現在の職場だった。
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