婚約者は愛を選び、私は理を選んだので破滅しても知りません!

ユウ

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第三章

34お相手は騎士様

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「誰だ!」


胃を押さえながらエンディミオンは何処の誰かと尋ねると。


「はい、近衛騎士団団長のリンデン・ホルスター様です」

「よりによって近衛騎士か!しかも兄上の同期だろ!何だってそんな厄介な」


「まぁ、レオンハルト様の…」


辺境伯爵家で祖母は他国の王族の血筋を持つ家柄も申し分ないのだが、平民であるセリアとはつり合うのかと思ったが。


「ホルスター家は訳あり物件だ!兄が二人いるが未だに結婚もぜずに婚約者もいない」

「珍しいですね」

「地位、財力があるから女性から狙われて過ぎて女性恐怖症になったんだ」

「あー…」


なんとなく理解した。
三男であるリンデンも兄達程ではないが女性に苦手意識を持っているのだが騎士であるがゆえに女性に冷たくすることはできず、長年悩まされていたそうだ。


そんな中、舞踏会にてセリアを見て一目ぼれしたそうだ。


「おいおい、女性が苦手でおかしいだろ」

「リンデン様の苦手な女性はクリステル様のような女性です」

「ようするに?」

「セリア様は聖書に出て来る聖母様のようだったようで」

「…何とも言えない」


社交界にいる令嬢とは異なり母性が強いセリアに心惹かれたのかと思う一方で、悩み事はまた一つ増えてしまった。


「なんだかな…」

「セリアはどう思っているのかしら?」

「お二人共こっそりお付き合いをされてますので」

「何で報告が来てないんだ!」


こっそり付き合っていると聞かされエンディミオンが怒るも、ユリアが事実を知ったのは最近の事だった。


「後で面倒だからでは」

「流石カナリア様」


「はぁー…」



セリアが黙っていた理由は痛い程解る。
恋愛に前向きになれずに悩んでいたのだろうと思うが、その一方で。


「セリアには諜報員の素質がありますわね」

「何を言うんだ」

「ユリアを出し抜くなんて素晴らしいわ」

「そこか!」


ユリアは元官僚補佐を行いその後はアレーシャの傍付き侍女をしながら護衛も行っていた。
その辺の騎士よりもずっと腕が立ち、頭の回転が速いユリアを出し抜く事は困難だったが、セリアはミリア以上に聡明だった。


「騎士の妻としては申し分ないわね」

「カナリア、乗り気なのか!」

「ずっと苦しい思いをしていたのですから…しかし小姑と姑の素行調査が必要です」

「相手は…」

「関係ありません!ついでにリンデン様に直接会いに行きます」

「ああ…頭が!胃が痛い」


エンディミオンの受難は更に続いて行くのだった。


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