婚約者は愛を選び、私は理を選んだので破滅しても知りません!

ユウ

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第三章

35面接

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「次の質問を行います」

「はい!」


現在狭い部屋で窓も見えず、まるで取調室のような部屋でリンデンは質問を繰り返されていた。


「セリアの恋人並びに婚約者に相応しいか、最後の質問です」

「はい!」

「もし火事現場にて親子が逃げ遅れました。助けられるのは一人です。どうしますか?」

「は?」


傍で聞いていたエンディミオンは質問の意図が解らなかった。


「この質問…というかこれまでの質問も関係あるのか?」

「どれも重要な質問ですわよ。それで答えは?親か子供かどっちですか?」


究極の選択を強いるが。


「どちらも選びません」

「は?」

「両方助けます」


答えになっていないと誰もが思うのリンデンは更に続ける。


「私は片方など選べません。セリア様を選んでもセリア様の心は守れません。何より私の騎士道に反するので」

「いや、だがな…」


エンディミオンは流石レオンハルトの同期だと思った。
転んでもただでは起きない男だと思ったが、回答としては問題だったが。


「合格ですわ」

「いいのか!」

「片方を選ぶと即答したら、不合格です」


カナリアは最初から正しい答えを用意してなかった。
ただ、片方を選ぶのだけは不合格と考えていた。


「土壇場になれば人間の本性はでますわ。ですがリンデン様は律儀な方ですわね」

「カナリア様…」

「セリア。私は応援しますわ。邪魔するなら直ぐにでも踏みつけて差し上げますわ」


「おいカナリア!」


誠実で正義感が強いが、了見が狭いというわけではない。
少し天然であるが、騎士としても男としても及第点だった。


「セリア、貴女は幸せになるべきです。いいえ、ならなければなりません。その資格があるのだから」


ずっと辛い思いをしても耐えて来たセリアが不幸になっていいはずがない。
今度こそ幸せになるべきだ。


「聞けばリンデン様の母君は婚約には乗り気だとか」

「はい。兄も三十過ぎで未だに結婚する気が無く、その…」

「最後の希望がリンデン様と…」

ならば問題ないと判断した。
それに完全な同居ではなく少し離れた場所に新居を構えるつもりなどで心配はないらしい。


「ですがお忘れなく。万一セリアに何かあれば…」

「はい!」

「いや、そこは返事するなよ」



エンディミオンの突っ込みも空しく婚約は正式に結ばれ三か月後、二人は身内だけの結婚式を挙げる事がかなったのだった。



余談ではあるが元夫キュロスと元舅のメジャーは隣国で無銭飲食をしたせいで罪人として捕まったという知らせを受け、二度とセリアとリタの前に現れる事はなかったとか。



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