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第三章
37祝福の言葉
しおりを挟むセリアとリンデンの結婚を心から祝福した後に、セリアに爵位が与えられた。
現在不妊治療で苦しむ女性の施術に並行して様々な妊婦専用の服飾店に相談所等を設け、セリアが相談に乗っていた。
「これで肩の荷が下りました」
「ミリア…」
「妹もこれで幸せになれます」
セリアの幸福を誰よりも望んでいたミリアは安堵する。
同時に同じ国で一緒に過ごせることが嬉しかった。
「あの馬鹿男達は、まもなく刑務所行になるでしょう。馬鹿を続けたのだから」
「はい」
「そしてライアン夫人も既に何もできないでしょう」
「はい…はい…ありがとうございます」
カナリアは影でライアンの動きを把握していた。
村を追い出されて行く当てもなく、何もかも失った事も知っていた。
平民で、お金もなく済む場所もないライアンは路頭に迷っている状態で何かできるはずもない。
(まぁ、野放しにしないわ…ええ)
最期の後始末をするつもりだった。
「だからもう、過去に縛られないでください」
「はい…ありがとうございます」
涙ながらに感謝するミリアを見送り、冷たい笑みを浮かべる。
「カナリア、最後の仕事にかかるのか」
「ええ、邪魔者をそのまま始末します」
このまま野放しにする気は毛頭なかったし、そろそろ一度里帰りをする予定だった。
「私は性格が悪いんですの」
「そうか?」
「ゴキブリはしぶといので排除する必要があります。だってしぶといんですもの」
「素敵な笑顔を浮かべながら言うんじゃない」
美しい笑みを浮かべながらもとんでもない事を口にするカナリアは既にある人物と瓜二つの笑顔を浮かべている。
「平和主義ですから、血で染めるような真似はしませんわ」
「そう言いながらえげつない計画を企て要るだろう」
「あら?私の手を汚さずに慎重に動いているんです」
「悪役の台詞だな」
自分の手をまったく汚さず第三者に始末してもらうなど悪役以外ありえない。
「なら過去に散々侮辱されていた責任は?」
「取れないな」
「あのまま大人しくしていればここまでしませんでしたわ。私を悪女にしたのは誰かしら?悪女ならそれ相応に振舞わないとね?」
紅茶を飲みながらクスクス笑うカナリアを止められる人間は誰もいなかった。
「既に母に連絡はしていますの。視察ついで最後のとどめを刺して差し上げますわ」
「カナリア…」
「二度と這い上がれないように徹底的にね?」
この世でもっとも怒らせてはいけない人間を怒らせた彼等に同情の余地はないのだから。
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