104 / 115
第三章
44最低の対応
しおりを挟む注文したメニューの料理は来たが。
「これは…」
「何か?」
「私が注文したサラダは蒸し鶏サラダよ」
「私のは海藻サラダよ」
オーダーミスにだレッシングも間違えてる。
「お客様の間違いです。ご注文になったサラダは確かに」
「いいえ、注文したサラダは本日のおすすめメニューよ」
「ははっ…何を言っておられます。当店のお勧めメニューはこちらのサラダです。ご自分の間違いを押し付けるのはいかがなものかと」
「…客に対してどうなの?その態度は」
いくら何でもカチンとなる言い回しで、上から目線だった。
「とにかく…」
「確かにそこのお客さんは蒸し鶏のサラダを頼んでいたわよ」
隣近くに座っている常連客らしき女性が告げる。
「今日のお勧めはパスタコースが蒸し鶏で、ピザのコースが生ハムサラダのはずよ」
「えっ…」
「店にも大きく載っているわよ?常連客の私が言うのだから間違いないわ」
ランドルフの表情が見る見るけわしくなる。
「うわぁーありえない」
「給仕係がメニューをちゃんと覚えていないなんて」
「それよりもなんて上から目線なのかしら」
「さっきから聞いていたら…ねぇ?」
ランドルフの対応の仕方もなっていないが、自分のミスを最初から客の所為にしている時点でありえない。
「だったら最初からちゃんと言ってください。こっちは忙しいんです」
「は?自分のミスを客の所為にして開き直るのかしら?謝罪もしないで、給仕の仕方が悪いからドレッシングが飛び散ってしまっているわ」
「なっ…」
「料理を台無しにして、気分も最低だわ。全て下げてくださる?他の料理もキャンセルして…ワインだけで良いわ」
「おい…」
小声でやり過ぎだと言うエンディミオンだが、カナリアは不敵に微笑む。
「何をしているの?下げなさい」
「無礼な…」
「無礼なのはどっちなの?客を不快にさせて謝罪もできないなんて。貴方はこの店のブランドを汚して悪いと思わないの?本当に育ちを疑うわ」
「何だと」
「あら怖い。気に入らないと客を殴るのかしら?向いていないわよ」
カナリアはわざと挑発するような言葉を選び見下すような表情を浮かべる。
「ソムリエは最高。料理人も最高、でも給仕係は最低最悪だわ。下町の小さな食堂の方がずっと気持ちよく食事ができるわ」
「貴様!」
頭に血が上ったランドルフはカナリアに掴みかかろうとした。
32
あなたにおすすめの小説
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····
藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」
……これは一体、どういう事でしょう?
いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。
ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した……
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全6話で完結になります。
あ、すみません。私が見ていたのはあなたではなく、別の方です。
秋月一花
恋愛
「すまないね、レディ。僕には愛しい婚約者がいるんだ。そんなに見つめられても、君とデートすることすら出来ないんだ」
「え? 私、あなたのことを見つめていませんけれど……?」
「なにを言っているんだい、さっきから熱い視線をむけていたじゃないかっ」
「あ、すみません。私が見ていたのはあなたではなく、別の方です」
あなたの護衛を見つめていました。だって好きなのだもの。見つめるくらいは許して欲しい。恋人になりたいなんて身分違いのことを考えないから、それだけはどうか。
「……やっぱり今日も格好いいわ、ライナルト様」
うっとりと呟く私に、ライナルト様はぎょっとしたような表情を浮かべて――それから、
「――俺のことが怖くないのか?」
と話し掛けられちゃった! これはライナルト様とお話しするチャンスなのでは?
よーし、せめてお友達になれるようにがんばろう!
あなたが見放されたのは私のせいではありませんよ?
しゃーりん
恋愛
アヴリルは2年前、王太子殿下から婚約破棄を命じられた。
そして今日、第一王子殿下から離婚を命じられた。
第一王子殿下は、2年前に婚約破棄を命じた男でもある。そしてアヴリルの夫ではない。
周りは呆れて失笑。理由を聞いて爆笑。巻き込まれたアヴリルはため息といったお話です。
〖完結〗残念ですが、お義姉様はこの侯爵家を継ぐことは出来ません。
藍川みいな
恋愛
五年間婚約していたジョゼフ様に、学園の中庭に呼び出され婚約破棄を告げられた。その隣でなぜか私に怯える義姉のバーバラの姿があった。
バーバラは私にいじめられたと嘘をつき、婚約者を奪った。
五年も婚約していたのに、私ではなく、バーバラの嘘を信じた婚約者。学園の生徒達も彼女の嘘を信じ、親友だと思っていた人にまで裏切られた。
バーバラの目的は、ワイヤット侯爵家を継ぐことのようだ。
だが、彼女には絶対に継ぐことは出来ない。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
感想の返信が出来ず、申し訳ありません。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
幼馴染が熱を出した? どうせいつもの仮病でしょう?【完結】
小平ニコ
恋愛
「パメラが熱を出したから、今日は約束の場所に行けなくなった。今度埋め合わせするから許してくれ」
ジョセフはそう言って、婚約者である私とのデートをキャンセルした。……いったいこれで、何度目のドタキャンだろう。彼はいつも、体の弱い幼馴染――パメラを優先し、私をないがしろにする。『埋め合わせするから』というのも、口だけだ。
きっと私のことを、適当に謝っておけば何でも許してくれる、甘い女だと思っているのだろう。
いい加減うんざりした私は、ジョセフとの婚約関係を終わらせることにした。パメラは嬉しそうに笑っていたが、ジョセフは大いにショックを受けている。……それはそうでしょうね。私のお父様からの援助がなければ、ジョセフの家は、貴族らしい、ぜいたくな暮らしを続けることはできないのだから。
私を家から追い出した妹達は、これから後悔するようです
天宮有
恋愛
伯爵令嬢の私サフィラよりも、妹エイダの方が優秀だった。
それは全て私の力によるものだけど、そのことを知っているのにエイダは姉に迷惑していると言い広めていく。
婚約者のヴァン王子はエイダの発言を信じて、私は婚約破棄を言い渡されてしまう。
その後、エイダは私の力が必要ないと思い込んでいるようで、私を家から追い出す。
これから元家族やヴァンは後悔するけど、私には関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる