婚約者は愛を選び、私は理を選んだので破滅しても知りません!

ユウ

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第三章

45罵倒

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怒り狂ったランドルフがカナリアを掴む事はなかった。



「何をする!」

「何処までも見下げ果てた奴だ」



頭をテーブルに叩きつけたのは副料理長だった。


「お前は大事なお客様に手を上げようとしたのか!」

「しかしこの女は…」

「この方はこの店の元オーナだ」

「は?」


頭を叩きつけたまま副料理長は告げた。


「ご無礼をお許しくださいませカナリア様」

「なんだと…むぐ!」

「身の程を弁えろ!お前は最後の最後まで救いようがない。今日はどういう日か解っているのか…お前を正式に雇うかどうかの試験だった」

「え?」

「お前の素行は悪すぎる。この店で雇うかどうかで他の従業員が異論を唱えていた」

「そんな…」

ランドルフは知らなかった。
他の従業員がランドルフを解雇にすべきだと騒いでいた事を。
料理長はなんとかしてランドルフに立ち直って欲しいと思っていたのだ。


「ここは最後の砦。ここで頑張れば条件の良い貴族のお邸で働く事も独立も夢ではありませんでしたわ」

「待ってくれカナリア…」

「気やすく名前で呼ばないでください何様ですの?ただのランドルフ…」

「何だと…ぐああ!」


カナリアを呼びしてにして睨むも、副料理長に再び頭を押さえつけられ。


「最後の審判は必要なかったかしら」

「いいえ、そんなことはありません」


ちらりとカナリアが視線を移したのはエスターだった。

「ランドルフ」

「えっ…兄上?」


眼鏡を取り、素顔が露わになりランドルフは驚く。



「どうして」

「お前がどうしているか自分の目で見るようにとの事だ」

「何処まで性悪なんだ。お前は…がぁぁ!」

「慎め!」


学習能力のないランドルフは懲りずにカナリアに暴言を吐き続けた。


「少しは学びなさいな」

「申し訳ありませんカナリア。弟がここまで堕落していたとは」


ここまで堕ちる所まで堕ちたランドルフを見るのは辛かったがもう、現実から目をそらすことはない。


「ランドルフ」

「兄上!助けてください…隣国に…エンゼル王国に!」


「馬鹿を言うな。お前を連れて行けるわけがない」

「たった一人の弟にあんまりではないですか」

「兄を侮辱して追い出したのは誰だ。お前は本当に恥知らずだな」


ここにいる一同がエンディミオンの言葉に賛同した。


「かつてご自分の幸福の為に全て捨てたのでしょう?愛の為に」

「それは…」

「なのにその愛を捨てるなんて随分と薄っぺらい合いです事」


扇を片手に悪女のような笑い方をするカナリアは板についていた。


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