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第三章
46悪女のように
しおりを挟む周りの視線が集まる中、構わずカナリアは見下すような視線を向けながらまるで物語の悪役令嬢のような表情で嘲笑い罵倒を浴びせて蔑んだ。
「真実の愛の為に堂々と浮気をして、多くの人の善意を踏みつけた結果よ」
「なっ…」
「自業自得ね?こうなったのも全部自分の行いによるもの…本当にいい気味だわ」
「ぐっ…」
カナリアははわざと焚きつけるような事を言い放つ。
「自分の力を過信して自分の足で歩く事も出来ない。だって貴方はしようともしない」
「ちがっ…」
「違わないわ」
未だに自分の非は認めないランドルフにカナリアは容赦する気はなかった。
「カナリア様、もう結構です」
「エスター?」
「これ以上は、もう」
カナリアが悪者になろうとしているのを見ていられなかった。
「兄上!」
「ランドルフ、これ以上失望させるな。最後にお前を知りたかった。だけど知らない方が幸せだったがな」
エスターはランドルフが取り返しのつかない所まで来てしまった。
「既にお前達の間は他人だ」
「そんな…」
「お前はどうして自分に手を差し伸べてくれた人を大切にしないんだ。カナリア様はこれまでお前に慈悲をかけてくれたのに」
「慈悲…そんな」
「今のお前には何を言っても無駄だな」
カナリアはランドルフとの婚約破棄になった当初は悪意はそこまでなかった。
「お前は間違えたんだ」
「俺は…」
「好きな女性ができたのなら詫びを入れて話し合えば良かったんだ。自分の非を認めればよかった…だが」
エスターは未でも後悔していた。
あの時ランドルフを厳しくしかり、母と決別してでも嗜めればと。
「私もお前とそう変わらない。ミリアの妹と縁談が決まっていた」
「は?」
「だが私はセリアではなくミリアを選んだ…お前とそう変わらないだろうな」
「なら何で…どうして!」
ランドルフは理解できなかった。
エスターは自分と同じような事をしながらも幸せになって自分だけは不幸になるなんて納得がいくものではない。
・・・が
「貴方とエスターが同じ?フッ…馬鹿を言わないでくださる?堂々と浮気をして私を吊るし上げにして陰で笑って真実の愛なんて言う最低紐男と同じにしないでくださる?」
(((酷い!)))
嘲笑いながら容赦のない人事を浴びせるカナリアにこの場にいる誰もが思った。
だがカナリアの容赦のない言葉は続くのだった。
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