婚約者は愛を選び、私は理を選んだので破滅しても知りません!

ユウ

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第三章

50最期の仕上げ

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完全に憔悴したランドルフだったが、この程度住むほどカナリアは優しくなかった。


「離しなさい!」

「ちょっと止めてよ」


黄色い声が響く。


「この声は」


「ご名答ですわ。最後に素敵なプレゼントをお持ちしましたわ」

「子爵夫人!」

そこに現れたのはアリエルだった。


「今はウィスター伯爵夫人ですわ」

「は?」

「まぁ、貴方には関係ありませんが。それよりも貴方の大好きな母君と奥方を連れて来て差し上げましたわ・囚人ですが」

「は?」


扇で一方を指し示すとそこにはお粗末な服装をしたライアンとエミリーが抑え込まれていた。

「どうして…」

「あら?どうしてなんて解っているでしょう?最後に家族と話をさせてあげようと思ったのに」

「この性悪女…痛い!」

ランドルフ同様に身の程を弁えずに騎士に抑え込まれているにも関わらず暴言を吐いた事で更に押さえつけられる。


「本当に親子そろって見苦しいわね」

「カナリア…」

「控えろ!誰に物を言っている!」


「きゃああ!」

頭を叩きつけられ押さえつけられるライアンは懲りなかった。


「エスター!何をしているの…助けなさい」

「そうです。お義兄様…」


ライアンとエミリーはエスターに助けを求める。


「ミリア、何をしているの…助けなさい」

「そうです。何をボーっと見て…」


二人は散々ミリアを侮辱し傷つけて来た事を忘れ自分達を助けろと言うが。


「馴れ馴れしく呼び捨てにしないでくださる?どなたか存じませんわ」

「何処までも厚かましい。私達は他人です」


「なっ…なんですって!」

「どうして!」


普通に考えてありえない。
ミリアを冷遇し悪女に仕立て上げ子供を奪いセリアを苦しめて起きながら助けろだなんて非常識すぎるのだ。


「私はもうオイシス家とは無関係ですわ」

「ええ、無様な姿をこれ以上見るに堪えない。血は繋がっていようとも他人です。汚らわしい」


これが実の母の姿だと思うと不愉快だった。


「ですが良かったではありませんか」

「何を…」

冷たい目で笑うエスターは皮肉に告げた。


「愛する息子と死ぬまで一緒で、死ぬまで罪を償いランドルフと共に支え合って生きればいいでしょう」


「そんな…」

「二度と会う事はありません」


僅かな情までも消えてなくなっていたエスターは最後の別れの言葉を言い放ったのだった。

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