【完結】前世のない俺の、一度きりの人生

「キミの前世は何なんだい?」

 前世の記憶を持っているのが当たり前という世界で、25歳の青年・アウトは何故か前世の記憶を持っていない。彼は平穏に生きるため、前世を自作し、聞かれたらそれを話す事で、周囲から浮かないように生きていた。

 ある日、アウトがいつものように酒場で酒を飲み、創作した物語をドラマティックに語っていると、突然現れた、作り話の登場人物である幼馴染に、他人は知らないはずの前世の「イン」と言う名前で呼びかけられていた。

 その男の話はアウトの考えた作り話と完全に一致しており、話を聞けばもう一人お幼馴染と共に、ずっとインを探していたという。
 しかも、そのもう一人の幼馴染であるウィズは、どうやらインに対し、並々ならぬ感情を抱いていたようだった。共に時を過ごしていくうち、アウトもそんなウィズに対し、どうにかインを探し出してやりたいと思うようになっていく。

「ウィズの幸福はインが運んでくる。俺はそのインを必ず探し出してみせる」

 アウトはその決意を胸に、日々を過ごす中で、自身に前世の記憶のない理由や、他者にはない特異な気質がある事に直面していく。
 前世の記憶のないアウトには“今”しかない。今を生きる自分がウィズの為に出来る事を必死に模索しつつ、アウトに選択の時がやって来る。

「前世のない俺が、ウィズの幸福の為に出来る事があるのなら、俺は喜んでこの身を差し出そう」

“アウト”とは“俺”とは一体何者で、何の為に生まれ、そして生きて来たのか。
【前世のない俺の一度きりの人生を……俺はどう生きるのか】
自分を探すファンタジーBL物語。

【傾向】
BL/転生/異世界ファンタジー/執着美形×平凡
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