聖女と魔女

蘭爾由

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ハグレモノ

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アトレスリーズ帝国法に、宮中神殿において法皇より祝福を授かり、皇帝が儀式をもって認証する国事がある。

神殿は建物ではなく、国生みの主神が最初に降り立った丘を言い、月に一度の十五夜に、3歳の誕生日を迎える子供が集められて授かる。

「アトレスリーズ帝国に生まれる、全ての魂に祝福は授けられる。」

これは二つ国が掲げる、国生みの主神が皇族・王族の祖先に伝えた神話のひとつ。

祝福で授かる力は多岐に及びまた、皇帝の儀式が行われるまでは確定されない。

貧困や無知による祝福漏れや、稀に儀式漏れする者や、嫌がらせで受けられない者を総じて、ハグレモノと呼ぶ。

勘違いされやすいが祝福とは、人数制限により3歳に授かることと定められているが、アトレスリーズ帝国民であれば何歳でも受けられる。

なので、そういったハグレモノは、広く開かれた一般の教会で保護され、養護支援する貴族が養子縁組により、希少な祝福の人材を入手する手段として人気があった。

悲しいかな、裏社会では奴隷化するハグレモノ問題も浮上している。

それがハバ下ハグ問題である。

繁華街の中心に大きな橋がある。昔ハバス族の居住地の川をせき止め、ダム建設によりサファイアブルーの美しい湖水レイクリゾートが開発された。

廃村となったハバス族の居住地で寂れるハバスブリッジは、のちに周辺が都市開発の波にのまれ、繁華街の中に橋だけが残された。

ハバスブリッジの下に集まるハグレモノたちは、ハバ下ハグと呼ばれるようになった。

ハグレモノを騙して安く入手したい奴隷商人や、優しい言葉で巧みに誘導し、逃げられないように囲い込む、闇バイト組織の存在も確認されている。

希少価値とされる祝福は、髪の色も変えると周知されているが、ODオーバードーズした目とパープルやピンク頭のハバ下ハグ達は、何も知らず、何も知ろうともせず笑っている。

彼らは、希望の意味すら知らない。

子供達の心の隙間につけ込む、悪い大人達への迅速な処罰と対応に、皇室もやっと着手したばかりだ。
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