聖女と魔女

蘭爾由

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12.

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嵐のような婚約破棄騒動は幕を閉じた。

後の調べで、シャクター卿は買収したマルティネス男爵の爵位で裏金を捻出していた。

その金で闇組織を運営、ハバ下ハグを闇市場に流したり、貴族への斡旋、臓器売買。

その過程でキャンディスを見つけて利用することを思いつき、ノラック男爵家を洗脳、皇族転覆の謀略を工作。

ただ、闇組織は頭を切り捨てて逃亡。シャクター卿すら捨て駒だったことが発覚した。

裏で糸を操っていたのはこの国の者ではないのかもしれないと、ルフィーリアは静かに扇を置いた。


後始末はニュースになって世間を賑(にぎ)わせていた。

洗脳されて悪事を働いた貴族は全て洗い出され、爵位は親族に譲渡。

皇太子妃ルフィーリアと皇太子ジャックの結婚は国をあげて盛大に祝われた。

交換留学生に選ばれたソフィーリアとルフィーリアが、留学中に互いの王族と大恋愛に落ち、政略結婚の入れ替えが行われたことは舞台歌劇にもなった。

歌劇の中で、私の天使ちゃんと言いながら皇太子ジャックただ一人を一途に愛し続ける皇太子妃ルフィーリアは特に国民に愛された。

ルフィーリアが洗脳するのはジャックが最初で最後、二度とその能力を他の誰にも使わないまま。


「そうそう。言い忘れてしまったけれど、長官が任命証書とジャックとソフィアを二度見する場面がありますでしょう?

任命証書には影武者ルフィーリアがジャック皇太子殿下と結婚する、と書かれています。

そして脅迫メモについて、ソフィーリアは留学中で嫉妬の仕様がないと言ってジャックを黙らせますが、「しね」「消えろ」「絶対許さない」はソフィーリアの直筆です(てへ)。

キャンディスに愛称呼びを許してもいないのに馴れ馴れしくソフィア呼ばわりされているのが許せないと言うので、ソフィーリアに書かせて、私が置いてやりました(にゃは)。

それから、細目のミシェルが現れ、契約が履行されたことに安堵する私ですが、それは、入れ替わったソフィーリアが……とと、この話はまだネタバラシには早いですわね。

宜しければ聖女ソフィーリアの物語にもお付き合いくださいませね。


おまけといっては何ですが、キャンディスのその後も気になる方もいるのではと思いまして。

キャンディスの心をまっさらな状態にまで消した後、つまり赤ん坊の状態に戻ったわけですが。

ノラック男爵家の洗脳を解き、キャンディスの再教育を託しました。

人格再生は容易ではないと思います。どこまで自分の人生にしがみついて、あの方が生きていけるのか、見届けたいと思っています。

ではでは。名残惜しいですが、これで最後になります。人間って、魅了などなくても簡単に暗示にかかるものですよ?最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。」
くす。(ルフィーリア)
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