『新宿二丁目都市伝説 ― ゆっくりと堕ちていく恋』

『新宿二丁目都市伝説 ― ゆっくりと堕ちていく恋』

ネオンが雨に滲む夜、
傘の下で交わす沈黙が、
いちばん熱かった。

名前も知らぬまま、
視線だけで触れた心は、
やがてゆっくりと溶けていく。

好きと告げる前に、
君の声が僕の中に沈んで、
鼓動の音だけが響いていた。

この街では、
愛した人から消えていくという。
けれど僕は、
消えるよりも深く、君に堕ちた。

鏡の奥で微笑む影、
伸ばした手は届かないのに、
温もりだけが、まだ掌にある。

――夜が明けても、
君の沈黙が、僕の呼吸をしている。
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