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第7話「夜の公園で」
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……誰もいないはずの場所から、音が聞こえることはありませんか?
それは、あなたが気づいていないだけで、ずっとそこに“いる”のかもしれません。
黒天です。今宵もひとつ、語らせていただきます。
⸻
これは、ナツキさん(仮名)が高校生の頃に体験した話だ。
彼女の家の近くには、小さな公園があった。
昼間は子供たちが遊ぶ、ごく普通の場所。
けれど、夜になると誰も近づかなくなることで有名だった。
ある夜、ナツキさんはバイト帰りにその公園の前を通った。
ふと視線を向けると、薄暗い公園の奥で——
ブランコが、ひとつだけ揺れていた。
誰も乗っていないのに、ギィ……ギィ……と、ゆっくりと揺れている。
「風のせい?」
そう思ったが、その晩は風もなく、他のブランコは微動だにしていなかった。
気味が悪くなり、早足で家へ帰った。
—
それから数日後の夜、また同じ道を通った。
すると、また同じブランコだけが揺れていた。
しかし、今度は勢いよく漕がれているような動きだった。
ギィッ、ギィッ……と、誰かが座っているかのような速さで揺れ続けている。
誰がいるのかと目を凝らしたが——
やはり、そこには“誰も”いなかった。
心臓の鼓動が早くなる。
そして、その瞬間——
ブランコが、ピタリと止まった。
まるで、こちらの視線に気づいたかのように。
—
ゾッとしてその場を離れようとした時、
ナツキさんの耳に、「……ねえ……」という声が聞こえた。
振り返ると、ブランコの後ろに——
長い髪の少女が立っていた。
真っ白な顔。感情のない目。
そして、口が裂けるほどに開いていた。
次の瞬間、少女がスゥッと消え、ブランコが再び揺れ始めた。
—
後日、ナツキさんは祖母から、驚くべき話を聞いた。
「その公園ね、昔、ある女の子が事故で亡くなったのよ。
夜になっても家に帰らず、ずっとブランコで遊んでいて……ね。」
その日以来、彼女は決して夜の公園に近づかなくなった。
だが、夜遅くなると、部屋の窓を閉めていても、どこからか聞こえてくる。
ギィ……ギィ……
ギィ……ギィ……
信じるかどうかは、あなた次第です。
でも、夜の公園でひとつだけ揺れるブランコを見かけたら——
それは“風”ではないのかもしれません。
それは、あなたが気づいていないだけで、ずっとそこに“いる”のかもしれません。
黒天です。今宵もひとつ、語らせていただきます。
⸻
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彼女の家の近くには、小さな公園があった。
昼間は子供たちが遊ぶ、ごく普通の場所。
けれど、夜になると誰も近づかなくなることで有名だった。
ある夜、ナツキさんはバイト帰りにその公園の前を通った。
ふと視線を向けると、薄暗い公園の奥で——
ブランコが、ひとつだけ揺れていた。
誰も乗っていないのに、ギィ……ギィ……と、ゆっくりと揺れている。
「風のせい?」
そう思ったが、その晩は風もなく、他のブランコは微動だにしていなかった。
気味が悪くなり、早足で家へ帰った。
—
それから数日後の夜、また同じ道を通った。
すると、また同じブランコだけが揺れていた。
しかし、今度は勢いよく漕がれているような動きだった。
ギィッ、ギィッ……と、誰かが座っているかのような速さで揺れ続けている。
誰がいるのかと目を凝らしたが——
やはり、そこには“誰も”いなかった。
心臓の鼓動が早くなる。
そして、その瞬間——
ブランコが、ピタリと止まった。
まるで、こちらの視線に気づいたかのように。
—
ゾッとしてその場を離れようとした時、
ナツキさんの耳に、「……ねえ……」という声が聞こえた。
振り返ると、ブランコの後ろに——
長い髪の少女が立っていた。
真っ白な顔。感情のない目。
そして、口が裂けるほどに開いていた。
次の瞬間、少女がスゥッと消え、ブランコが再び揺れ始めた。
—
後日、ナツキさんは祖母から、驚くべき話を聞いた。
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夜になっても家に帰らず、ずっとブランコで遊んでいて……ね。」
その日以来、彼女は決して夜の公園に近づかなくなった。
だが、夜遅くなると、部屋の窓を閉めていても、どこからか聞こえてくる。
ギィ……ギィ……
ギィ……ギィ……
信じるかどうかは、あなた次第です。
でも、夜の公園でひとつだけ揺れるブランコを見かけたら——
それは“風”ではないのかもしれません。
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