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第9話「深夜のコンビニ」
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……深夜のコンビニは、安心できる場所だと思っていませんか?
でも、あの蛍光灯の下には、ときどき“人ではないもの”が紛れ込むのです。
黒天です。今宵も、ひとつ語らせていただきます。
⸻
それは、ある地方の深夜営業のコンビニでバイトしていたユウタさん(仮名)のお話です。
深夜2時過ぎ。
人通りもまばらで、来客も少ない時間帯。
店内の空気は冷たく、静寂と蛍光灯の低い唸り音だけが満ちていた。
そんな中、自動ドアが“スーッ”と開いた。
だが、誰もいない。
不思議に思って店内を見回すと、
ドリンクコーナーの奥に、いつの間にか誰かが立っていた。
黒いロングコートを着た、その“客”は、ひどく背が高く、じっと冷蔵ケースを見つめている。
「いらっしゃいませー」と声をかけても、反応はない。
(……なんか、変だな)
違和感の正体に気づいたのは、その数秒後だった。
顔が、ない。
いや——正確には、顔の部分が“空白”になっていた。
目も鼻も口もなく、ただの“のっぺらぼう”ではなく、
顔だけが“抜き取られたように”、不自然に空いていたのだ。
—
ぞっとして視線を逸らした瞬間、
店内に微かに響いたのは、「シャッ……シャッ……」という音。
見ると、その“顔のない客”がスリッパのような足音で、レジに向かってゆっくり歩いてきていた。
手には商品を持っておらず、ただじっと、ユウタさんの前に立った。
何も言わず、何も出さず。
でも、明らかに“何かを買いに来た”ような気配。
ユウタさんは恐る恐るレジを操作し、「〇〇円になります」と告げた。
すると——
“それ”は、手を伸ばしてきた。
指の本数が異常に多く、爪が濡れているように黒ずんでいた。
小銭が、カウンターにカチャリと落とされた。
だが、それを拾い上げた瞬間——
客の姿は、消えていた。
自動ドアも開いていない。
カメラの映像にも、“誰も映っていなかった”。
—
その後も、月に一度ほどの頻度で、
「顔のない客が現れる日」があったという。
ユウタさんはそのたびに決まって、黒いロングコートの客が置いていった“同じ小銭”を、レジで数えていた。
不思議なことに、その小銭はどれも、昭和の古い硬貨で統一されていたという。
—
信じるかどうかは、あなた次第です。
でも、深夜のコンビニで、誰もいないのに自動ドアが開いた時——
そこに“顔のない誰か”がいるのかもしれません。
でも、あの蛍光灯の下には、ときどき“人ではないもの”が紛れ込むのです。
黒天です。今宵も、ひとつ語らせていただきます。
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そんな中、自動ドアが“スーッ”と開いた。
だが、誰もいない。
不思議に思って店内を見回すと、
ドリンクコーナーの奥に、いつの間にか誰かが立っていた。
黒いロングコートを着た、その“客”は、ひどく背が高く、じっと冷蔵ケースを見つめている。
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顔が、ない。
いや——正確には、顔の部分が“空白”になっていた。
目も鼻も口もなく、ただの“のっぺらぼう”ではなく、
顔だけが“抜き取られたように”、不自然に空いていたのだ。
—
ぞっとして視線を逸らした瞬間、
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見ると、その“顔のない客”がスリッパのような足音で、レジに向かってゆっくり歩いてきていた。
手には商品を持っておらず、ただじっと、ユウタさんの前に立った。
何も言わず、何も出さず。
でも、明らかに“何かを買いに来た”ような気配。
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すると——
“それ”は、手を伸ばしてきた。
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小銭が、カウンターにカチャリと落とされた。
だが、それを拾い上げた瞬間——
客の姿は、消えていた。
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—
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—
信じるかどうかは、あなた次第です。
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