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空中飛行
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「今度、エルフの谷に行く用事が出来た。お前も着いてくるか」
我ながらぶっきらぼうな誘いだとは思った。しかしリエルはそんなこと意にも介さず、こくこくと頷く。
「今の依頼者の方と関係があるのですか?」
「ああ。依頼者がウェアウルフの者で、満月の晩に葬儀を執り行うらしい。それならエルフの谷にある、満月の夜に光り輝く花を、と思ってな」
素敵です!と笑う彼の腰にふと目が行く。暑くなってきたので薄着になるのは頷ける。だが、それを差し引いても……
「細すぎやしないか」
「え、何がですか?」
「お前の体だ」
いや、一般的な成人男子の体つきだと思いますけど、なんていうリエルを他所に、こうなるとある問題が浮上する。
それはリエルが空を飛べるかということだった。我々ヴァンパイアは空を飛ぶ。エルフの谷はその地形上、私でもここから飛んで半日はかかる。私が人一人抱えて飛ぶことに問題はないが、果たして彼の体が、体力が、その圧力や距離等に耐えられるものか。
念には念を。
「リエル、試しに明日、空を飛んでみるぞ」
そう考えた理由も含めてリエルに伝えるとリエルが驚いたように私を見つめてきた。いつか見たあのやけにきらきらとした瞳で。
「ヴァンパイアって空、飛べるんですか!?」
「純血種に近い者はな。そういうものは長寿であったり、ヴァンパイア固有の特性が強いんだ」
私の心配事など全く頭にも浮かばないらしく、やったあ!と屈託なく顔を輝かせて、リエルは意気揚々支度をし始める。そんなリエルに苦笑しながら、私は明日だぞと釘をさして、部屋を去った。
我ながらぶっきらぼうな誘いだとは思った。しかしリエルはそんなこと意にも介さず、こくこくと頷く。
「今の依頼者の方と関係があるのですか?」
「ああ。依頼者がウェアウルフの者で、満月の晩に葬儀を執り行うらしい。それならエルフの谷にある、満月の夜に光り輝く花を、と思ってな」
素敵です!と笑う彼の腰にふと目が行く。暑くなってきたので薄着になるのは頷ける。だが、それを差し引いても……
「細すぎやしないか」
「え、何がですか?」
「お前の体だ」
いや、一般的な成人男子の体つきだと思いますけど、なんていうリエルを他所に、こうなるとある問題が浮上する。
それはリエルが空を飛べるかということだった。我々ヴァンパイアは空を飛ぶ。エルフの谷はその地形上、私でもここから飛んで半日はかかる。私が人一人抱えて飛ぶことに問題はないが、果たして彼の体が、体力が、その圧力や距離等に耐えられるものか。
念には念を。
「リエル、試しに明日、空を飛んでみるぞ」
そう考えた理由も含めてリエルに伝えるとリエルが驚いたように私を見つめてきた。いつか見たあのやけにきらきらとした瞳で。
「ヴァンパイアって空、飛べるんですか!?」
「純血種に近い者はな。そういうものは長寿であったり、ヴァンパイア固有の特性が強いんだ」
私の心配事など全く頭にも浮かばないらしく、やったあ!と屈託なく顔を輝かせて、リエルは意気揚々支度をし始める。そんなリエルに苦笑しながら、私は明日だぞと釘をさして、部屋を去った。
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