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前編
しおりを挟む生まれつき皆とは違う藍色の髪を持っていた私は、その髪のせいでこれまで日常的に色々言われてきた。
ある時は親から「気持ち悪いのが生まれて絶望」とか「変な髪色で意味不明、誰の子か謎」とか言われ、またある時は同年代の子から「あいつキモい」とか「仲間に入れちゃ駄目って親が言ってた」とか言われ、ある時は異性から「あいつ変な髪色だよな」「地味だし暗いし」などと言われて。
気づけば人生のほとんどを悲しみの中で消費してきた。
そして今も。
「もう無理だッ! その髪色! 耐えられないッ! しかも俺まで変人みたく言われるし……きっつい限界ッ!! 婚約は破棄するゥッ!!」
婚約者エデルベリグルスから突然そんなことを言われてしまった。
「最初は気持ちよかったんだ、可哀想な子を気にかける優しい俺というものに酔っていた……だがもう付き合えない、一緒にいるのが無理なんだァッ!!」
しかも、これまでの彼の優しさが偽りのものだったということまで明かされてしまって。
「ということで、消えてくれ!」
「……はい」
最悪な形でエデルベリグルスとの関係は終わってしまった。
◆
その日の晩、自室で泣いていると。
「え……?」
突然周囲に光の球が現れて。
戸惑うことしかできず。
得体のしれない光の球たちを眺めていると。
――次の瞬間。
「えええ!?」
突如髪が伸び始めた――そしてその髪が発光し始めると同時に身体が大きくなってゆき、頭が屋根を貫いて――。
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