17 / 45
始まりの日
17 本心から来る普通の笑顔
しおりを挟む
「すみませんでした」
まさか一時間も寝てしまうとは。
(チラッと見えた壁の時計)
時刻を見間違えてなければ、本当に一時間……一時間以上。
彼にずっと抱えてもらった状態で、寝ていたらしい。
「良いから早く飯を作れ。お前の作る美味い飯を食わせろ。頭を上げろ、立て。気分が悪くなる」
立ち上がったらしい彼が苛立ったように言い、舌打ちする音を聞く。
「はい、すみません。今すぐ作ります」
目を覚まして状況を把握した瞬間、彼の腕の中から逃げるように抜け出して土下座してしまった凪咲も、素早く立ち上がってシンクへ向かう。
「気分が悪くなると言ったんだが? 顔を上げろ。お前の呼び方も教えろ。硬くなっている口調もどうにかしろ。それがお前の素なら構わないが」
やめてくれ。苛立った声で心にぶっ刺さることを言わないでくれ。
(なんなんだよマジで)
目を覚ました時、とんでもなく不機嫌そうなカオで睨まれたから、ある意味やらかしたと思ったのに。
(やらかしたことには変わりないけど)
何に苛立ってるのか分かんなくなってくるよ?
手を洗う凪咲は内心で叫び、舌に乗りかけた勘違いしそうな疑問を呑み込む。
「顔は、えと、はい、うん。泣いちゃったので、あまり見せられる顔ではないかな、と」
一時間も見せてしまいましたが。
頭の中で言いながらエプロンを着け、冷蔵庫や棚から食材を出していく。
(一時間寝ちゃってたからもう十二時近いし、お昼ごはん作るつもりで)
今ある食材で手早く作れてなるべく美味しくて栄養も摂れて、あと念の為に胃に優しいもので。
考えている凪咲へ、
「半刻程度、一時間ほどか。その顔で寝ていたというのに、今さら何を言う」
「はいすみません。作るのお昼ごはんで良いですか。苦手な食べ物とかアレルギーとかありますか」
全くもってその通りだよ、こんちくしょう。
呆れたように言わないでくれ。
「美味い昼飯なら構わない。苦手なモノはない、アレルギーとやらも恐らくない。お前の呼び方を早く教えろ。寝顔を眺める趣味などない、睨めつける趣味もない。それほど見ていた訳でもない。ここまで言えば、少しは気が楽になるか、阿呆」
苛立ったまま、俺を安心させようとしないでくれるかな。
(てか)
それならなんで、不機嫌そうに睨まれてたのかな? 俺は。
(聞いちゃいけない気がする)
聞いたらまた、なんか心にぶっ刺さることを言われる気がする。
(もう、あれだ)
ぶっ刺される覚悟を決めよう。
いちいち狼狽えてたら、こっちの身が保たない。精神が保たない。
相手は人間じゃないし。
(対人用のモノも)
今取っ払えるモノだけでも、全部取っ払ってしまえ。
「ちょっと一回、深呼吸させて」
凪咲は彼の返事を待たず、その場で深呼吸して──切り替えた。
「色々、了解。気にかけてくれてありがとう」
彼へ『本心からの笑顔』を向ける。
呆気にとられている様子だけど、彼は勘が鋭そうだったし。
(俺がずっと、下手な処世術でやり取りしてたのも分かってたんだろうな)
だから、「本心から来る普通の笑顔」なんかで、呆気にとられてしまったんだろう。
(それともアレかな)
最近始めた対人用の見た目、変えた髪色が馴染んでいない可能性がある凪咲が「本心からの笑顔」を向けたから。
(余計、変に思えるのかな)
でも。
(髪色戻すの、時間かかるし)
妙に見えていても我慢してくれませんか。
思った凪咲が「本心からの苦笑」を浮かべると、呆気にとられていた彼は動揺したように耳と尻尾を動かし、本能が警戒を示すように素早く半歩ほど後ずさった。
見開かれた銀色の瞳からは、動揺を超えて混乱している色が映っている。
察しが良くて勘が鋭くて、こんな自分を気にかけてくれる彼からすれば「人が変わった」ように見えるんだろう。
松崎凪咲がそれだけ「世渡りが下手」だという、ただの事実。
(気持ちは分かるけど)
優しいあなたを助けたいし、俺も下手なりに頑張るから、ほんの少しでも慣れてくれたりすると助かる、嬉しいかな。
苦笑した凪咲は、自分を動揺したまま見つめる彼から視線を外す。
冷蔵庫や棚から出して調理台に並べた食材と向き合い「今あるモノで手早く作れる、できるだけ美味しくてなるべく栄養があって胃にも優しめな、お昼ごはんになるもの」を作っていく。
無言でいるより何か話していたほうが、混乱させてしまった彼の気も少しは解れるだろうか。
優しいあなたと。
(友人まではいけなくても)
知人くらいにはなりたいし。
思って、凪咲は口を開く。
「俺の呼び方、名前もね。俺、ちょっと面倒でさ」
凪咲という名前も、松崎という苗字も。
「あなたの言う通りに、呼ばれると微妙な気分になっちゃうけど、完全に苦手とか嫌いとかでもないんだ」
できることなら。
「好きになれたらなって、思っちゃったりもするくらいなんだよ」
そんな日は、永遠に来ない。来てはならない。
(優しいあなたに)
伝えるべきではない。伝えてはならない。
だから。
「あなたの好きなように呼んで。あなたがどう呼ばれたいかも、良かったら教えて」
後ろから、髪をかき回す音とため息らしき音を聞く。
「……どこまでお人好しなのか、お前は」
呆れたように言った彼が。
「どこぞの誰かと呆れるほど似通ったことを考える奴だ。呆れるほど不安になる」
とても小さな声で続けた言葉は、自分に向けたモノではないだろう。
(どこぞの誰かさんのこと、本当に大事なんだなぁ)
自分が寝ぼけてた時にも「どこぞの誰か」さんを大事に思っていることを言っていた気がするなと、凪咲は思い返した。
(優しいあなたと)
あなたが大事に思う「どこぞの誰か」さんのためにも。
あなたを助けるよ、できる限りのことをするよ。
「俺がお人好しかどうかは、ちょっと疑問があるけど」
「疑問を持つな。お人好しの阿呆が」
苛立った彼の声がすぐ後ろから聞こえて、凪咲の肩が大きく跳ねる。
「ごめん、ちょっとびっくりした。そこに居るって思ってなくて」
声がしたほうへ顔を向けたら、少し驚いている彼が居た。安心できて、固くなりかけていた表情が安堵から来る微笑みに変わる。
足音がしなかったのは、浮かんで移動したのか、幽霊、霊魂、魂だけの状態だからか。
(なんにしても)
ここに居るのは、凪咲と彼だけだ。怯える必要はない。
「……すまない、驚かせてしまったか。気を付けよう」
真面目だ。真面目で素直で、本当に次から気をつけるつもりがあると分かる表情と声と雰囲気だ。
(切り替えたのに)
心にぶっ刺さりそうです、どうしてくれる。
「まあ、うん。俺もびっくりしすぎたところ、あるから。それで、あなたをどう呼べばいい? あ、服も、これ作り終わったら持ってくるね」
凪咲は食材へ向き直り、仕上げにかかっていた調理を再開した。
(これ作って、着れそうな服持ってきて)
それからお風呂の準備と、今できる着物の手入れと、なんか理由つけて店に連絡して彼の着物をちゃんと──
そこまで考えて、ふと。
「あのさ、今日どうする? 泊まる? ここで暮らして大丈夫ってのは本当だし、遠慮して欲しくないけど、帰る場所とか──」
「俺の呼び方はお前が決めろ。先ほどから見ていて思うが、何を作っているかさっぱり分からない。汁物らしき何かだという──」
「ん?」「あ?」
同時に話し始めてしまい、それも結構長めに喋ってからまた同時に気づく。そんな自分も彼も同時に止まったと理解した凪咲は、どうしてか。
「──ふっ、……くっ、ごめ、ちょっと……」
どうしてか、急に可笑しく思えて。こみ上げてくる笑いを堪らえようと、口元に手の甲を当てる。
「……笑いたいなら思い切り笑え。笑いたくないなら話は別だが」
呆れた声での真面目な言葉に、
「ちょっ、と……ヤバ……ムリ……それは笑う……」
笑いそうになるのを堪えきれない、抑え込めない、それらをする必要もない。
(なら、もう)
笑ってしまえ。
凪咲は素早く、食材全てを入れた鍋のフタを固定し調節した火が自動で消えるようタイマーをセットしてから床に座り、
「も、ホント、ムリ……!」
声を上げて思いきり笑った。
(こんな、大笑いみたく笑うの)
いつぶりだろう。てか、今まであったっけ。
辿っても、それらしい記憶がない。
(あ、そっか)
声を上げて笑うことを「求められた」ことも「許可された」こともなかった。
(俺、今)
人生で初めて「声を上げて大笑いする」経験をしているのか。
まさか一時間も寝てしまうとは。
(チラッと見えた壁の時計)
時刻を見間違えてなければ、本当に一時間……一時間以上。
彼にずっと抱えてもらった状態で、寝ていたらしい。
「良いから早く飯を作れ。お前の作る美味い飯を食わせろ。頭を上げろ、立て。気分が悪くなる」
立ち上がったらしい彼が苛立ったように言い、舌打ちする音を聞く。
「はい、すみません。今すぐ作ります」
目を覚まして状況を把握した瞬間、彼の腕の中から逃げるように抜け出して土下座してしまった凪咲も、素早く立ち上がってシンクへ向かう。
「気分が悪くなると言ったんだが? 顔を上げろ。お前の呼び方も教えろ。硬くなっている口調もどうにかしろ。それがお前の素なら構わないが」
やめてくれ。苛立った声で心にぶっ刺さることを言わないでくれ。
(なんなんだよマジで)
目を覚ました時、とんでもなく不機嫌そうなカオで睨まれたから、ある意味やらかしたと思ったのに。
(やらかしたことには変わりないけど)
何に苛立ってるのか分かんなくなってくるよ?
手を洗う凪咲は内心で叫び、舌に乗りかけた勘違いしそうな疑問を呑み込む。
「顔は、えと、はい、うん。泣いちゃったので、あまり見せられる顔ではないかな、と」
一時間も見せてしまいましたが。
頭の中で言いながらエプロンを着け、冷蔵庫や棚から食材を出していく。
(一時間寝ちゃってたからもう十二時近いし、お昼ごはん作るつもりで)
今ある食材で手早く作れてなるべく美味しくて栄養も摂れて、あと念の為に胃に優しいもので。
考えている凪咲へ、
「半刻程度、一時間ほどか。その顔で寝ていたというのに、今さら何を言う」
「はいすみません。作るのお昼ごはんで良いですか。苦手な食べ物とかアレルギーとかありますか」
全くもってその通りだよ、こんちくしょう。
呆れたように言わないでくれ。
「美味い昼飯なら構わない。苦手なモノはない、アレルギーとやらも恐らくない。お前の呼び方を早く教えろ。寝顔を眺める趣味などない、睨めつける趣味もない。それほど見ていた訳でもない。ここまで言えば、少しは気が楽になるか、阿呆」
苛立ったまま、俺を安心させようとしないでくれるかな。
(てか)
それならなんで、不機嫌そうに睨まれてたのかな? 俺は。
(聞いちゃいけない気がする)
聞いたらまた、なんか心にぶっ刺さることを言われる気がする。
(もう、あれだ)
ぶっ刺される覚悟を決めよう。
いちいち狼狽えてたら、こっちの身が保たない。精神が保たない。
相手は人間じゃないし。
(対人用のモノも)
今取っ払えるモノだけでも、全部取っ払ってしまえ。
「ちょっと一回、深呼吸させて」
凪咲は彼の返事を待たず、その場で深呼吸して──切り替えた。
「色々、了解。気にかけてくれてありがとう」
彼へ『本心からの笑顔』を向ける。
呆気にとられている様子だけど、彼は勘が鋭そうだったし。
(俺がずっと、下手な処世術でやり取りしてたのも分かってたんだろうな)
だから、「本心から来る普通の笑顔」なんかで、呆気にとられてしまったんだろう。
(それともアレかな)
最近始めた対人用の見た目、変えた髪色が馴染んでいない可能性がある凪咲が「本心からの笑顔」を向けたから。
(余計、変に思えるのかな)
でも。
(髪色戻すの、時間かかるし)
妙に見えていても我慢してくれませんか。
思った凪咲が「本心からの苦笑」を浮かべると、呆気にとられていた彼は動揺したように耳と尻尾を動かし、本能が警戒を示すように素早く半歩ほど後ずさった。
見開かれた銀色の瞳からは、動揺を超えて混乱している色が映っている。
察しが良くて勘が鋭くて、こんな自分を気にかけてくれる彼からすれば「人が変わった」ように見えるんだろう。
松崎凪咲がそれだけ「世渡りが下手」だという、ただの事実。
(気持ちは分かるけど)
優しいあなたを助けたいし、俺も下手なりに頑張るから、ほんの少しでも慣れてくれたりすると助かる、嬉しいかな。
苦笑した凪咲は、自分を動揺したまま見つめる彼から視線を外す。
冷蔵庫や棚から出して調理台に並べた食材と向き合い「今あるモノで手早く作れる、できるだけ美味しくてなるべく栄養があって胃にも優しめな、お昼ごはんになるもの」を作っていく。
無言でいるより何か話していたほうが、混乱させてしまった彼の気も少しは解れるだろうか。
優しいあなたと。
(友人まではいけなくても)
知人くらいにはなりたいし。
思って、凪咲は口を開く。
「俺の呼び方、名前もね。俺、ちょっと面倒でさ」
凪咲という名前も、松崎という苗字も。
「あなたの言う通りに、呼ばれると微妙な気分になっちゃうけど、完全に苦手とか嫌いとかでもないんだ」
できることなら。
「好きになれたらなって、思っちゃったりもするくらいなんだよ」
そんな日は、永遠に来ない。来てはならない。
(優しいあなたに)
伝えるべきではない。伝えてはならない。
だから。
「あなたの好きなように呼んで。あなたがどう呼ばれたいかも、良かったら教えて」
後ろから、髪をかき回す音とため息らしき音を聞く。
「……どこまでお人好しなのか、お前は」
呆れたように言った彼が。
「どこぞの誰かと呆れるほど似通ったことを考える奴だ。呆れるほど不安になる」
とても小さな声で続けた言葉は、自分に向けたモノではないだろう。
(どこぞの誰かさんのこと、本当に大事なんだなぁ)
自分が寝ぼけてた時にも「どこぞの誰か」さんを大事に思っていることを言っていた気がするなと、凪咲は思い返した。
(優しいあなたと)
あなたが大事に思う「どこぞの誰か」さんのためにも。
あなたを助けるよ、できる限りのことをするよ。
「俺がお人好しかどうかは、ちょっと疑問があるけど」
「疑問を持つな。お人好しの阿呆が」
苛立った彼の声がすぐ後ろから聞こえて、凪咲の肩が大きく跳ねる。
「ごめん、ちょっとびっくりした。そこに居るって思ってなくて」
声がしたほうへ顔を向けたら、少し驚いている彼が居た。安心できて、固くなりかけていた表情が安堵から来る微笑みに変わる。
足音がしなかったのは、浮かんで移動したのか、幽霊、霊魂、魂だけの状態だからか。
(なんにしても)
ここに居るのは、凪咲と彼だけだ。怯える必要はない。
「……すまない、驚かせてしまったか。気を付けよう」
真面目だ。真面目で素直で、本当に次から気をつけるつもりがあると分かる表情と声と雰囲気だ。
(切り替えたのに)
心にぶっ刺さりそうです、どうしてくれる。
「まあ、うん。俺もびっくりしすぎたところ、あるから。それで、あなたをどう呼べばいい? あ、服も、これ作り終わったら持ってくるね」
凪咲は食材へ向き直り、仕上げにかかっていた調理を再開した。
(これ作って、着れそうな服持ってきて)
それからお風呂の準備と、今できる着物の手入れと、なんか理由つけて店に連絡して彼の着物をちゃんと──
そこまで考えて、ふと。
「あのさ、今日どうする? 泊まる? ここで暮らして大丈夫ってのは本当だし、遠慮して欲しくないけど、帰る場所とか──」
「俺の呼び方はお前が決めろ。先ほどから見ていて思うが、何を作っているかさっぱり分からない。汁物らしき何かだという──」
「ん?」「あ?」
同時に話し始めてしまい、それも結構長めに喋ってからまた同時に気づく。そんな自分も彼も同時に止まったと理解した凪咲は、どうしてか。
「──ふっ、……くっ、ごめ、ちょっと……」
どうしてか、急に可笑しく思えて。こみ上げてくる笑いを堪らえようと、口元に手の甲を当てる。
「……笑いたいなら思い切り笑え。笑いたくないなら話は別だが」
呆れた声での真面目な言葉に、
「ちょっ、と……ヤバ……ムリ……それは笑う……」
笑いそうになるのを堪えきれない、抑え込めない、それらをする必要もない。
(なら、もう)
笑ってしまえ。
凪咲は素早く、食材全てを入れた鍋のフタを固定し調節した火が自動で消えるようタイマーをセットしてから床に座り、
「も、ホント、ムリ……!」
声を上げて思いきり笑った。
(こんな、大笑いみたく笑うの)
いつぶりだろう。てか、今まであったっけ。
辿っても、それらしい記憶がない。
(あ、そっか)
声を上げて笑うことを「求められた」ことも「許可された」こともなかった。
(俺、今)
人生で初めて「声を上げて大笑いする」経験をしているのか。
0
あなたにおすすめの小説
愛玩人形
誠奈
BL
そろそろ季節も春を迎えようとしていたある夜、僕の前に突然天使が現れた。
父様はその子を僕の妹だと言った。
僕は妹を……智子をとても可愛がり、智子も僕に懐いてくれた。
僕は智子に「兄ちゃま」と呼ばれることが、むず痒くもあり、また嬉しくもあった。
智子は僕の宝物だった。
でも思春期を迎える頃、智子に対する僕の感情は変化を始め……
やがて智子の身体と、そして両親の秘密を知ることになる。
※この作品は、過去に他サイトにて公開したものを、加筆修正及び、作者名を変更して公開しております。
神父様に捧げるセレナーデ
石月煤子
BL
「ところで、そろそろ厳重に閉じられたその足を開いてくれるか」
「足を開くのですか?」
「股開かないと始められないだろうが」
「そ、そうですね、その通りです」
「魔物狩りの報酬はお前自身、そうだろう?」
「…………」
■俺様最強旅人×健気美人♂神父■
幸せな復讐
志生帆 海
BL
お前の結婚式前夜……僕たちは最後の儀式のように身体を重ねた。
明日から別々の人生を歩むことを受け入れたのは、僕の方だった。
だから最後に一生忘れない程、激しく深く抱き合ったことを後悔していない。
でも僕はこれからどうやって生きて行けばいい。
君に捨てられた僕の恋の行方は……
それぞれの新生活を意識して書きました。
よろしくお願いします。
fujossyさんの新生活コンテスト応募作品の転載です。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
すれ違い夫夫は発情期にしか素直になれない
和泉臨音
BL
とある事件をきっかけに大好きなユーグリッドと結婚したレオンだったが、番になった日以来、発情期ですらベッドを共にすることはなかった。ユーグリッドに避けられるのは寂しいが不満はなく、これ以上重荷にならないよう、レオンは受けた恩を返すべく日々の仕事に邁進する。一方、レオンに軽蔑され嫌われていると思っているユーグリッドはなるべくレオンの視界に、記憶に残らないようにレオンを避け続けているのだった。
お互いに嫌われていると誤解して、すれ違う番の話。
===================
美形侯爵長男α×平凡平民Ω。本編24話完結。それ以降は番外編です。
オメガバース設定ですが独自設定もあるのでこの世界のオメガバースはそうなんだな、と思っていただければ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる