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学校と日常
5 神の血を受け継ぐ者
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都心にある高校の正門を通り抜けて大講堂に向かうと、業者を待っている雰囲気の教職員や生徒たちが会話をしていた。
作業の分担やスケジュールの確認をしているらしい。
「おはようございます」
どことなく暗い雰囲気がある、少年のような青年──凪咲が挨拶をすると、パラパラと挨拶が返ってきた。
ほとんどが凪咲の顔を見ずにおざなりな挨拶をする中、生徒の何人かが凪咲へちらりと目を向け「えっ?」「はっ?」といった困惑の声を上げる。
何事かと彼ら彼女らを見た全員が、視線を辿るように凪咲へ顔を向け、同じような反応をした。
凪咲は気にするでもなく、輪の中、隅に足を運ぼうとして、
「おはようございます。俺が最後ですかね、みんな早いな」
爽やかで明るい青年の声が後ろから聞こえ、そちらへ振り向いて挨拶した。
「おはようございます、総会長。自分も今来たところです」
振り向いた凪咲に驚いたように茶色の目を少し見開いた、背が高くて爽やかな顔立ちの青年──高等部生徒会総会長の鷹司理人は、困ったように苦笑する。
「名前でいいって言ってるのに。せめて会長にしてくれ、総会長だとなんだか堅苦しいだろ」
ほら、と凪咲の肩を軽く叩き、
「ほどほどにしとけよ」
凪咲にだけ聞こえるように冷淡な声で囁いてから輪に入った理人に続き、凪咲も生徒たちに混じる。
二人のやり取りを見ていた教職員や生徒たちは困惑が落ち着いたのか、理人も交えて会話を再開した。
爽やかな印象を受ける目元と同じように、爽やかさがある茶色の短髪を持つ理人が、生徒会総会長として動き出す。
しばらくして予定通りに業者が到着し、四月三日、今日の午後にある入学式に向けての準備が進んでいく。
正門は入学式用の荘厳華麗なボードが設置され、さらに華やかさを足した装飾がされた。
大講堂までのルート、校内も同様に装飾されていく。
大講堂内も業者がほぼ全ての作業を行うので、教職員や生徒たちは確認作業や調整、細かい作業に回る。
凪咲も理人や周囲から指示を受け、仕事を進める。凪咲に振られた仕事は、高等部の敷地内にある花壇や樹木の確認作業。
全員が口頭や書面、タブレットやスマホなどでも確認と共有を行っていて、凪咲もスマホで作業している。
凪咲は生徒会のメンバーではないし、生徒会を補助する活動グループにも所属していない。
所属する権利を持たないのに同じ活動が許されるのは、総会長の理人が容認しているから。
全員の共通認識で、暗黙の了解。
どうして容認するのか、これも全員が知っている、暗黙の了解。
『来賓席 左から二番目の名札 公的な場でも登録文字ではなく旧字体を好んでいた記憶があります 確認をお願いします』
仕事をしながら凪咲が別個に送ったメッセージはすぐに既読になり、理人が直すよう指示を出す。
『来客用の履き物 不足するかもしれません 予備を追加するか検討をお願いします 数は最低50足、できれば80足』
『正門の装飾 右側が最終注文と違う装飾になっています 確認お願いします』
『第二校舎内確認担当班、疲れが見えます 休憩を取ったか確認をお願いします』
仕事をしながら送るべきメッセージを送り続け、担当していた仕事を終えて別の仕事を振られ、仕事をしながらメッセージを送る。
ひらすら繰り返していたら、予定時刻より早く入学式の準備が終わったと全体メッセージが入った。
昼休憩は各自で、と続けて送られてきて、凪咲はいつもの場所に移動する。
凪咲が向かうのは、第三校舎と体育館の間に四阿が数ヶ所設置されている休憩場所。
天然の芝が敷かれ、どの四阿もきちんと整備されているが、あまり休憩場所として使われない。
正門付近に居た凪咲が第三校舎へ向かっていると、
「っ」
上から降ってきた冷たい何かを頭からもろに浴びた。
(……ただの水か)
汚れた水ではないようだ。校舎や地面が汚れたら、入学式前に掃除をしないといけないからだろうか。
音での判断だが、すぐ横の第一校舎の二階から降ってきたらしい。含み笑いと足音が数人分、遠ざかっていくのも聞こえた。
そのうち乾くからいいやと、凪咲は歩き続ける。
同じように五回、降ってきた。二回は外れたけれど、二回は頭から冷水を浴び、一回は肩に命中した。休憩場所に着く頃には、凪咲はびしょ濡れになっていた。
いつものことだ。
自分はそういう役割を担っている。
休憩場所に着いたら、苛立ったように「遅えよ」と言われたり、濡れている凪咲を見て楽しそうに笑ったり。
(今日は、五人)
こういうの、男子しかしないの、なんでだろ。
いつも女子は居ないんだよなと頭の片隅で首をひねる凪咲が、殴られたり蹴られたりする凪咲に問いかける。
(そんなの知らないよ)
頭の中で応えた凪咲は、自分の口から出る呻き声を聞く。
リュックやコート、ブレザーも剥ぎ取られた。
体にダメージが届きやすいように。
初等部からの、凪咲と周囲の日常的な行為。
いつも通りの日々。
「噂で回ってきてたけど、マジで髪染めてんじゃん。ほぼおんなじ色」
うずくまる凪咲の髪を掴んで頭を持ち上げた一人が、感心したように言う。
「それだけ会長に売り込みたいってことだろ」
「ある意味成功してるよな。あの人、優しいし」
「ヤバいことしたのに見捨てなかったもんな」
「アレで点数稼げたから得したって思ってんじゃねえの?」
囲むように立つ四人も、感心している様子で凪咲を見下ろす。
(なんだろ)
今日はこういったこと全部が、遠く感じる。
鈍くなった。慣れた。いつもの感覚とはどこか違う。
モヤがかかった頭で考える凪咲の切れた口の端から、赤い筋が細い線を描くように顎を伝う。
白い肌に映える鮮血が、濡れている首筋をなぞるように滑り落ちていく。制服である白いシャツの襟、水に濡れて肌の色がうっすらと透けるその中へと吸い込まれ──
「ッ、ジロジロ見んなキモいんだよ! この庶民!」
凪咲の髪を掴んでいた男子生徒は慌てた様子で吐き捨て、放り投げるように凪咲から手を離した。
地面に叩きつけられるのも、慣れている。
(けど、やっぱり)
何かが、いつもと違う。
横倒しのまま、モヤが濃くなっていく思考を巡らせる。
「あっぶな……急になん──はは、すっげぇ」
ぶつかりそうになって避け、倒れて動かない凪咲の顔を覗き込んだ男子生徒も、焦りを誤魔化すようにせせら笑う。
二人の反応に興味を引かれたらしく、同じように覗き込んだ男子生徒三人共が、
「……あぁ、うん。スゴい、ヤバいヤバい」
「ヤバいから証拠取っとこう。丁度いいから流すか」
「流すの、噂のトコな。分かってんだろうけど」
動揺を隠すように軽い口調でやり取りし、倒れて動かない凪咲を撮っていく。
美しい花の散り際を、思い出に残すように。
そんな自分たちの劣情に、気づかないフリをして。
動かない凪咲を全員で囲むのは凪咲を追い詰めるためではなく、お互いがブレーキになるためだと無意識に理解していた。
この庶民に手を出したら。庶民だからと手を出せば、庶民だからこそと目をかけている頂点の怒りを買う。
最悪、家ごと潰される。
軽い言葉を交わし、わざとらしく笑い合った。気が済むまで──動揺が収まるまで──撮ったからと、一人が凪咲の頭を足で小突く。
「いい加減起きろ、立てよ。昼の時間なくなるし、これから入学式っつー大事なイベントがあるんだよ。俺たちが怒られ、る、………………おい?」
気を失っている。
凪咲の状態にやっと気づいた五人は、顔から血の気が引いて背筋が凍る感覚を覚え、狼狽えながら人を呼んだ。
凪咲のためではなく、自分の身を心配しての行動だった。
放置して何かあったら、自分たちが殺される。
庶民だからこそと目をかける頂点──鷹司理人に殺される。
神の血を受け継ぐ彼の怒りは、神の怒りと等しい。
殺されたくない。死にたくない。五人は必死になった。
◇
長い銀髪を風に煽られる彼は、地上からは砂粒ほどに見えるだろう上空であぐらになり、銀色の瞳でそれを忌々しく睨みつける。
「このような結界、以前はなかったはず……」
目の前にある不可視の結界に触れようと伸ばした手が、鞭で強く打たれるように弾かれる。
結界は五感も力も弾き、通さない。
不可視の結界に阻まれて、内側に居るだろう凪咲の状況を把握できない。
何度も試して確認したことをもう一度と試して、同じ結果に終わった彼は舌打ちをした。
作業の分担やスケジュールの確認をしているらしい。
「おはようございます」
どことなく暗い雰囲気がある、少年のような青年──凪咲が挨拶をすると、パラパラと挨拶が返ってきた。
ほとんどが凪咲の顔を見ずにおざなりな挨拶をする中、生徒の何人かが凪咲へちらりと目を向け「えっ?」「はっ?」といった困惑の声を上げる。
何事かと彼ら彼女らを見た全員が、視線を辿るように凪咲へ顔を向け、同じような反応をした。
凪咲は気にするでもなく、輪の中、隅に足を運ぼうとして、
「おはようございます。俺が最後ですかね、みんな早いな」
爽やかで明るい青年の声が後ろから聞こえ、そちらへ振り向いて挨拶した。
「おはようございます、総会長。自分も今来たところです」
振り向いた凪咲に驚いたように茶色の目を少し見開いた、背が高くて爽やかな顔立ちの青年──高等部生徒会総会長の鷹司理人は、困ったように苦笑する。
「名前でいいって言ってるのに。せめて会長にしてくれ、総会長だとなんだか堅苦しいだろ」
ほら、と凪咲の肩を軽く叩き、
「ほどほどにしとけよ」
凪咲にだけ聞こえるように冷淡な声で囁いてから輪に入った理人に続き、凪咲も生徒たちに混じる。
二人のやり取りを見ていた教職員や生徒たちは困惑が落ち着いたのか、理人も交えて会話を再開した。
爽やかな印象を受ける目元と同じように、爽やかさがある茶色の短髪を持つ理人が、生徒会総会長として動き出す。
しばらくして予定通りに業者が到着し、四月三日、今日の午後にある入学式に向けての準備が進んでいく。
正門は入学式用の荘厳華麗なボードが設置され、さらに華やかさを足した装飾がされた。
大講堂までのルート、校内も同様に装飾されていく。
大講堂内も業者がほぼ全ての作業を行うので、教職員や生徒たちは確認作業や調整、細かい作業に回る。
凪咲も理人や周囲から指示を受け、仕事を進める。凪咲に振られた仕事は、高等部の敷地内にある花壇や樹木の確認作業。
全員が口頭や書面、タブレットやスマホなどでも確認と共有を行っていて、凪咲もスマホで作業している。
凪咲は生徒会のメンバーではないし、生徒会を補助する活動グループにも所属していない。
所属する権利を持たないのに同じ活動が許されるのは、総会長の理人が容認しているから。
全員の共通認識で、暗黙の了解。
どうして容認するのか、これも全員が知っている、暗黙の了解。
『来賓席 左から二番目の名札 公的な場でも登録文字ではなく旧字体を好んでいた記憶があります 確認をお願いします』
仕事をしながら凪咲が別個に送ったメッセージはすぐに既読になり、理人が直すよう指示を出す。
『来客用の履き物 不足するかもしれません 予備を追加するか検討をお願いします 数は最低50足、できれば80足』
『正門の装飾 右側が最終注文と違う装飾になっています 確認お願いします』
『第二校舎内確認担当班、疲れが見えます 休憩を取ったか確認をお願いします』
仕事をしながら送るべきメッセージを送り続け、担当していた仕事を終えて別の仕事を振られ、仕事をしながらメッセージを送る。
ひらすら繰り返していたら、予定時刻より早く入学式の準備が終わったと全体メッセージが入った。
昼休憩は各自で、と続けて送られてきて、凪咲はいつもの場所に移動する。
凪咲が向かうのは、第三校舎と体育館の間に四阿が数ヶ所設置されている休憩場所。
天然の芝が敷かれ、どの四阿もきちんと整備されているが、あまり休憩場所として使われない。
正門付近に居た凪咲が第三校舎へ向かっていると、
「っ」
上から降ってきた冷たい何かを頭からもろに浴びた。
(……ただの水か)
汚れた水ではないようだ。校舎や地面が汚れたら、入学式前に掃除をしないといけないからだろうか。
音での判断だが、すぐ横の第一校舎の二階から降ってきたらしい。含み笑いと足音が数人分、遠ざかっていくのも聞こえた。
そのうち乾くからいいやと、凪咲は歩き続ける。
同じように五回、降ってきた。二回は外れたけれど、二回は頭から冷水を浴び、一回は肩に命中した。休憩場所に着く頃には、凪咲はびしょ濡れになっていた。
いつものことだ。
自分はそういう役割を担っている。
休憩場所に着いたら、苛立ったように「遅えよ」と言われたり、濡れている凪咲を見て楽しそうに笑ったり。
(今日は、五人)
こういうの、男子しかしないの、なんでだろ。
いつも女子は居ないんだよなと頭の片隅で首をひねる凪咲が、殴られたり蹴られたりする凪咲に問いかける。
(そんなの知らないよ)
頭の中で応えた凪咲は、自分の口から出る呻き声を聞く。
リュックやコート、ブレザーも剥ぎ取られた。
体にダメージが届きやすいように。
初等部からの、凪咲と周囲の日常的な行為。
いつも通りの日々。
「噂で回ってきてたけど、マジで髪染めてんじゃん。ほぼおんなじ色」
うずくまる凪咲の髪を掴んで頭を持ち上げた一人が、感心したように言う。
「それだけ会長に売り込みたいってことだろ」
「ある意味成功してるよな。あの人、優しいし」
「ヤバいことしたのに見捨てなかったもんな」
「アレで点数稼げたから得したって思ってんじゃねえの?」
囲むように立つ四人も、感心している様子で凪咲を見下ろす。
(なんだろ)
今日はこういったこと全部が、遠く感じる。
鈍くなった。慣れた。いつもの感覚とはどこか違う。
モヤがかかった頭で考える凪咲の切れた口の端から、赤い筋が細い線を描くように顎を伝う。
白い肌に映える鮮血が、濡れている首筋をなぞるように滑り落ちていく。制服である白いシャツの襟、水に濡れて肌の色がうっすらと透けるその中へと吸い込まれ──
「ッ、ジロジロ見んなキモいんだよ! この庶民!」
凪咲の髪を掴んでいた男子生徒は慌てた様子で吐き捨て、放り投げるように凪咲から手を離した。
地面に叩きつけられるのも、慣れている。
(けど、やっぱり)
何かが、いつもと違う。
横倒しのまま、モヤが濃くなっていく思考を巡らせる。
「あっぶな……急になん──はは、すっげぇ」
ぶつかりそうになって避け、倒れて動かない凪咲の顔を覗き込んだ男子生徒も、焦りを誤魔化すようにせせら笑う。
二人の反応に興味を引かれたらしく、同じように覗き込んだ男子生徒三人共が、
「……あぁ、うん。スゴい、ヤバいヤバい」
「ヤバいから証拠取っとこう。丁度いいから流すか」
「流すの、噂のトコな。分かってんだろうけど」
動揺を隠すように軽い口調でやり取りし、倒れて動かない凪咲を撮っていく。
美しい花の散り際を、思い出に残すように。
そんな自分たちの劣情に、気づかないフリをして。
動かない凪咲を全員で囲むのは凪咲を追い詰めるためではなく、お互いがブレーキになるためだと無意識に理解していた。
この庶民に手を出したら。庶民だからと手を出せば、庶民だからこそと目をかけている頂点の怒りを買う。
最悪、家ごと潰される。
軽い言葉を交わし、わざとらしく笑い合った。気が済むまで──動揺が収まるまで──撮ったからと、一人が凪咲の頭を足で小突く。
「いい加減起きろ、立てよ。昼の時間なくなるし、これから入学式っつー大事なイベントがあるんだよ。俺たちが怒られ、る、………………おい?」
気を失っている。
凪咲の状態にやっと気づいた五人は、顔から血の気が引いて背筋が凍る感覚を覚え、狼狽えながら人を呼んだ。
凪咲のためではなく、自分の身を心配しての行動だった。
放置して何かあったら、自分たちが殺される。
庶民だからこそと目をかける頂点──鷹司理人に殺される。
神の血を受け継ぐ彼の怒りは、神の怒りと等しい。
殺されたくない。死にたくない。五人は必死になった。
◇
長い銀髪を風に煽られる彼は、地上からは砂粒ほどに見えるだろう上空であぐらになり、銀色の瞳でそれを忌々しく睨みつける。
「このような結界、以前はなかったはず……」
目の前にある不可視の結界に触れようと伸ばした手が、鞭で強く打たれるように弾かれる。
結界は五感も力も弾き、通さない。
不可視の結界に阻まれて、内側に居るだろう凪咲の状況を把握できない。
何度も試して確認したことをもう一度と試して、同じ結果に終わった彼は舌打ちをした。
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