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第77話.死にたい
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「あんた、今日と明日は家にいなさいよ」
あの人はなんで急にそんなことを言ったんだろう。
「私はちょっと出るけど、どこにも行くなよ」
圧殺するような強い口調、射殺さんとばかりの冷たい目、いくらその言葉を反芻しても、良い方に転がるとは思えない。
嫌だ。今すぐにここから逃げ出したい。逃げ出したのに。
呪いがかかったように体が動かない。重い。
もう夕方、あの人が家を出て行ってから結構な時間が経つ。今のうちにどこか遠くに行ってしまおうと何回も考えた。でも、ダメ。あの人が蛇なら私は蛙。睨まれた私はなにもできない。どこへも行けない。
私はどうしてこの世に生まれてきてしまったんだろう。生んでくれなんて頼んでないのに。生まれたくなんて、なかったのに・・・・・・。
今この瞬間、私が息をしているという事実が恨めしい。生きてるだけで吐き気が襲ってくる。
なんで生きてなきゃいけないの? なんで簡単には死ねないの?
・・・・・・私は今日、いったい何をされるの?
胸が痛い。
息が苦しい。
目の前がだんだん暗くなる。
胸の痛みが頭や手足に広がっていって、やがて全身を支配する。
ああ、ダメだ。こうなってしまってはもう動けない。動けない上に、あの人が帰ってくるかもしれない緊張で眠ることもできない。どうやって時間を使えばいいのかが分からない。
幸一くんが、居てくれたら心強いのに。幸一くんは私がしてほしいことをやってくれるし、多分、お願いすればできる限りのことはなんでもやってくれると思う。
幸一くんは優しい人だから。あ、私に対してってわけじゃなくて、きっと誰にでも優しいんじゃないかな。
友達はあんまりいないって言ってたけど、裕介くんっていうちょっと怖い幼馴染もいるし、バーベキューの時も、石田さんや他の人たちとも仲良さそうに話してたし。
・・・・・・もうこんなこと考えたくないなあ。きっと私は生きてる限りこういうことばっかり考えるんだ。そういう運命なんだ。
私は不幸なのだと思う。受験の日に体調を崩すとか運動会の日に肉離れとかそんなレベルじゃない。生まれてきたことが不幸。生きていることが不幸。体が存在することが不幸。自我を持っていることが不幸。心があることが、感覚があることが、その全てが私にとって不幸な出来事。
死にたい。
あの人はなんで急にそんなことを言ったんだろう。
「私はちょっと出るけど、どこにも行くなよ」
圧殺するような強い口調、射殺さんとばかりの冷たい目、いくらその言葉を反芻しても、良い方に転がるとは思えない。
嫌だ。今すぐにここから逃げ出したい。逃げ出したのに。
呪いがかかったように体が動かない。重い。
もう夕方、あの人が家を出て行ってから結構な時間が経つ。今のうちにどこか遠くに行ってしまおうと何回も考えた。でも、ダメ。あの人が蛇なら私は蛙。睨まれた私はなにもできない。どこへも行けない。
私はどうしてこの世に生まれてきてしまったんだろう。生んでくれなんて頼んでないのに。生まれたくなんて、なかったのに・・・・・・。
今この瞬間、私が息をしているという事実が恨めしい。生きてるだけで吐き気が襲ってくる。
なんで生きてなきゃいけないの? なんで簡単には死ねないの?
・・・・・・私は今日、いったい何をされるの?
胸が痛い。
息が苦しい。
目の前がだんだん暗くなる。
胸の痛みが頭や手足に広がっていって、やがて全身を支配する。
ああ、ダメだ。こうなってしまってはもう動けない。動けない上に、あの人が帰ってくるかもしれない緊張で眠ることもできない。どうやって時間を使えばいいのかが分からない。
幸一くんが、居てくれたら心強いのに。幸一くんは私がしてほしいことをやってくれるし、多分、お願いすればできる限りのことはなんでもやってくれると思う。
幸一くんは優しい人だから。あ、私に対してってわけじゃなくて、きっと誰にでも優しいんじゃないかな。
友達はあんまりいないって言ってたけど、裕介くんっていうちょっと怖い幼馴染もいるし、バーベキューの時も、石田さんや他の人たちとも仲良さそうに話してたし。
・・・・・・もうこんなこと考えたくないなあ。きっと私は生きてる限りこういうことばっかり考えるんだ。そういう運命なんだ。
私は不幸なのだと思う。受験の日に体調を崩すとか運動会の日に肉離れとかそんなレベルじゃない。生まれてきたことが不幸。生きていることが不幸。体が存在することが不幸。自我を持っていることが不幸。心があることが、感覚があることが、その全てが私にとって不幸な出来事。
死にたい。
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