『完結』セプトクルール　勇者エルニスのワンダーランド

マイマイン

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2章　森の危機

2-1 農園の危機

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　「おい、こっちだ！」スピネル王都ジャスパの西にある農園では騒さわぎになっていました。と言うのも農園に、背中に翼を生やし、鳥の足を持つ半人半鳥のハーピーたちがやって来て、農作物を荒らしていたのです。これに、テイルやルイス、エルニスもハーピー捕獲ほかくを手伝うことにしました。

「こらーっ！待ちなさい！」
「へへーん！アンタなんかにつかまらないわよ！」

　ハーピーはテイルを挑発するみたいにお尻ぺんぺんします、テイルはもうカンカンです。捕まえようにも、相手には翼つばさがあり、思うようにはいきません。

　そこで、後ろにいたルイスが銃じゅうから麻酔弾ますいだんを発射し、見事、ハーピーに命中すると、ハーピーはクルクルと回りながら落ちました。
「ルイス、ナイスよ！」

　エルニスも、ハーピーを追っていましたが、ハーピーは空の上におり、ジャンプしても届きません。

「飛べないアンタには捕まらないわよ！べーっだ！」
「くそーっ！」エルニスが悔しがっていると、なんと、彼の背中から、天使のそれを思わせる白い翼つばさが現れたのです。

「この翼、なんだか懐かしい感じがする・・・！」エルニスは何かを思い出したように翼を動かし、上空へと飛び上がりました。
「ウソでしょ！？」

　ハーピーは大急ぎで逃げますが、エルニスの飛行スピードはハーピーのそれを上回っており、あっという間に追いつき、ハーピーを取り押さえたのです。最後の一羽も、町の人たちによって取り押さえられました。

　つなぎを着た農園の管理者かんりしゃは、ハーピーたちを問いただします。

「なぜ、農園を荒らしたりしたんだ！？」
「それは、お腹がすいて仕方がなかったのよ！」
「いくら何でも、人が管理している農園を荒らしていいことにはならないぞ！」これに、ハーピーたちは反論します。

「そっちの都合つごうばかり言わないで！これは人間のせいでもあるんだからね！」
「どういう意味だ！？」

「私たちの住んでいた森が、人間たちによって切り開かれてきて、食べる物が少なくなってきているの！私たちだって、生きるのに必死なんだから！」

「なんだと・・・！どうすればいいのだ！？」管理者が困り果てていると、そこに、黒マントを羽織ったサングラスの男がやって来てこう言い放ちます。

「ハーピーごとき、殺してしまえば済すむことだ！」
「テイル、誰なの？」エルニスがたずねます。

「私と同じ、キーパーのグレイよ、いくら何でもそれは・・・！？」テイルが止めに入ります。
「いきなり殺すなんて・・・！」エルニスも加わりますが、グレイはフンと鼻を鳴らしました。

「じゃあ、他に手があるのか！？」これにテイルとエルニスは黙だまり込みますが、後ろから声がします。

「彼女たちを雇やとうのはどうですか？」

　声のした方を見ると、白いローブに、火が付いた赤いとんがり帽子をかぶった赤毛の妖精の少女が立っていました。管理者は一瞬いっしゅん、戸惑って言いました。

「えっ！？彼女たちを雇う！？そういえば、農業を継ついでくれる若者わかものがいなくて困っていた所だ・・・！どうだ？ちゃんと働けば、食わせてやるぞ」これに、ハーピーたちは頷うなずきました。

「まぁ、食べさせてくれるなら、それを断ことわる理由はないわ」三羽のハーピーたちは納得なっとくしたのです。

「いや～あなた、いいアイディアですね、えっと・・・」
「わたしはキャンベルです、農園の町レッドルビーに買い物に来たところで通りかかっただけですよ」妖精の少女はそう言って、西のレッドルビーの方に向かっていきました。

「・・・誰の血も流さずに解決かいけつするなんて・・・賢かしこい子だなぁ」

　グレイは納得していないようで、舌打ちをしていましたが、エルニスや町の人々は感心していました。すると、エルニスは飛んできた紙切れを拾って目を丸くします。

「これ、次の地図だ！？」

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