『完結』セプトクルール 勇者エルニスのワンダーランド

マイマイン

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2章 森の危機

2-2 恐怖の森

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 エルニスたちは早速、拾った地図を見てみることにしました。それは見事、最初の地図の右側とぴったり合ったのです。新しい地図には、スピネル王国よりもはるか南の島国に印が付いていました。

「これは、次の神器は南のヘリオポリスと言う国にあるみたいね」
「ヘリオポリス?」
「スピネルよりもずっと南の方にある国よ、太陽の神ヘリオスをあがめる国ね」
「どういったらいいの?」

「そこへ行くには、東の大森林地帯『恐怖の森』を抜ける必要があるの、一人で森を抜けるのは危険だから、私も一緒に行くわ、今、ちょうどヒマを持て余していたの。カインは大事な用事があって今は一緒に行けないし」
「ありがとう」

 こうして、エルニスとテイルの二人で『恐怖の森』に行くことになりました。

「わぁ、町の東にこんなに深い森があるなんて・・・!」
「この恐怖の森には、昔から悪魔や魔法使いが住んでいるとされる森で、私の故郷もこの森の中にあるの」テイルが説明していると、エルニスがたずねます。

「そういえば、テイルってエルフなのに、なんで人間の町に住んでいるの?」

「私の父さんと母さんはこの森に住むエルフだったけど、考え方の違いから別れてしまった。しばらくすると、人間のルドルフさんが母さんを盗賊とうぞくから守ってケガした時、お互いに愛が芽生めばえの。

 でも、他のエルフたちは、人間とエルフが付き合うのはけしからんと、私たちはエルフの国を追われてしまった。それで、私たちはルドルフさんが住んでいるスピネルの王都ジャスパに移り住んで今に至るの。余談よだんだけど、ルドルフさんと母さんの間に生まれたのが弟のルイスよ」

「へぇ、そんなことが・・・!」木漏れ日以外、明かりのない森の中を進んでいくと、奥の方から少女の悲鳴が響き渡ったのです。

「誰かー!」エルニスとテイルはすぐさま、そちらに急行します。

 なんとキャンベルが、よろいを着込んだ戦士風の男二人に追い回されていたのです。これに、テイルは真っ先にかけ出しました。

「ちょっと!何やっているの!?」これに、戦士たちはゲタゲタ笑いながら言い放ちます。

「何って!?見てわからないか!?魔女狩りだよ!」
「オレたちは教会にやとわれたハンターだ!あいつは魔法使い!魔法は人にあってはならない悪魔の力!いわば、魔法使いは悪魔と同じなのだ!だから、狩らねばならん!」

「しかも、その魔法使いが持っている財産は、捕らえた者がもらうこともできる!こんなにうまい狩りはないぜ!」しかし、テイルは納得なっとくしません。

「私には、無抵抗むていこうの女の子を二人がかりでいじめているようにしか見えないけど?とにかく、今すぐ帰りなさい!今なら手荒てあらな真似はしないから!」これに、ハンターたちはプッと笑いとばします。

「お前みたいな娘っ子が、オレたちに手荒な真似をするだと!?笑わせるな!」ハンターの一人は、テイルに近づき、彼女の胸元をわしづかみにすると、テイルは一気に目をつり上げ、ハンターの腹に拳を突き刺しました。

「何するのよ!このスケベ!」テイルの拳の衝撃しょうげきは、鎧の上からでも伝わり、ハンターは腹をおさえてうずくまります。

「兄さん!?このアマ!」ハンターの弟は、ダガーを抜いて、テイルに襲い掛かってきましたが、テイルは少しもあわてずに、ダガーの一突きを横に動いてかわします。

 これに、エルニスも短剣を抜いて、テイルをかばうようにハンター弟の前にたちはだかります。鋼鉄こうてつの刃同士がぶつかり合う音がしますが、エルニスの力は、ハンター弟のそれを上回っており、どんどん押していきます。そして、ハンター弟のダガーをはじき落としたのです。

「この・・・ふざけやがって!」立ち上がったハンター兄は剣を抜いて、テイルをりつけようとしますが、テイルはサッと横に動いてかわし、あろうことか、その後ろにいるハンター弟を斬りつけてしまったのです。

「ああっ!しまった・・・!すまない!」ハンター兄は剣を捨てて、弟の元にかけよります。すると、キャンベルがハンター弟の元にかけよってきたのです。

「何をする気だ!?」

「大丈夫です、治してあげますよ」キャンベルが、ハンター弟の左肩の傷口に手をかざして、「いやせ、ヒール」と呪文を唱えると、彼女の両手が、優しい緑色の光を発し、照らされたところから傷口がふさがっていったのです。

「もう、痛くないや・・・!」ハンター弟はゆっくりと立ち上がります。
「お前が治してくれたのか・・・!?じょうちゃん、名前を教えてくれよ」

「わたしはキャンベルです」キャンベルは微笑ほほえんで言いました。
「悪かったな、キャンベル」
「ありがとう・・・!」ハンター兄弟は静かにその場を立ち去りました。
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