11 / 48
2章 森の危機
2-5 魔王軍の戦士
しおりを挟む
森の北には、ツタが絡む、崩れた古い石の塔があったのです。
中に入るとそこには、テイルと同じ森に住む妖精人類のエルフたちが集まっており、彼らの視線は、リザードマンやオークがわきを固める奥の壇上の上にいる鎧と赤いマントを着込んだ黒髪のショートヘアーのエルフの男に集まっていました。壇上のエルフの戦士が語り掛けます。
「同志諸君!おれは魔王アガレス率いる魔王軍の幹部『ダークトライアド』が一人、レイドだ!我々エルフは、人間どもに住みかを追われてきた!
その人間どもは今、我々の領域に土足で上がり込み、好き放題に荒らしまわている!こんな暴挙が許されていいのだろうか!?」
これに、「許されてなるものか!」と言う声があちこちで上がります。
「我々に従えば、もう、人間どもに脅かされない生活を約束しよう!さぁ、我々に続け!人間どもに思い知らせてやるのだ!戦いだ!」会場から歓声が上がると、エルニスたちがおどり出ました。
「待て!そんなことはさせない!」これに、聴衆の視線が一気にエルニスたちに注がれます。
「なんだ!?お前たちは?我々のジャマをするのか!?」これに、テイルが名乗り出ました。
「父さん!こんなことはやめて!」それを聞いたエルニスとキャンベルは驚きを隠せません。
「えっ!?あいつがテイルのお父さん!?」これにテイルはうなずきます。
「そう、生き別れた私の実の父よ!」レイドはテイルに向き直ります。
「ほう、テイルか!?クレアと共に森を去ってからずいぶん時がたったな、そうか、お前は人間どもの手下に成り下がったってわけか!?」これに、テイルは首を横に振ります。
「私は誰の手先にもなった覚えはないわ!そんなことをしたら、互いに犠牲が出るだけよ!」
「それは覚悟の上!どうしても我々を止めたいのなら、おれと一対一の決闘をしろ!」
仕方なく、テイルは勝負を受けて立つことにしました。テイルは右手に格闘用の手甲を付けると、間もなく、両者の対決が始まります。
レイドが剣でなぎ払うと、テイルはしゃがみ込んでレイドに足払いをかけ、バランスを崩したところにボディーブローを放ちます。
「うぐぅ・・・!やはり腕を上げたな!ならば!」レイドは風の気を体にまとうと、さっきとは段違いのスピードになり、嵐のように迫りくる剣に、テイルはかわし切れず、体に次々に赤い筋が出来ていきます。
「くっ・・・!」
「やはり、人間の手下になり果てたヤツは弱い!」テイルは後ろに飛びのいて、距離をとります。
「これで決めてやる!」レイドが剣をかまえ、一気に向かっていったかと思うと、テイルの周りにも、風の気が渦巻きます。
「まさか、テイルも風の属性の気を!?」
「私、魔法はできないけど、気を操る技は得意なのよ!こういう風にね!」
テイルが手刀で空を払うと、そこからかまいたちが巻き起こり、レイドを大きくよろめかせます。そのスキに、テイルは一気に接近し、拳の連打を浴びせまくり、レイドの側頭部に回し蹴りを叩き込んで打ち倒します。
「勝負あったわね!」
「くっ・・・!こうなったら、この塔に封印されている古の悪魔をよみがえらせてくれる!」レイドは壇上の後ろにある日本の柱のうちの一つを動かすと、壇上の奥にある石の扉が左右に大きく開き、中から、ライオンの頭部を持つ人間の体に、コウモリの翼を生やした悪魔が現れたのです。
「おお!これがかつて、このイーストメイン大陸全土を手中に収めたとされる悪魔タイラントか!?」
タイラントが雄たけびを上げると、その場にいた者たちは震え上がります。
「ぐぅおおおおっ!よく寝たわい!」タイラントはレイドに向き直ります。
「お前がオレ様をよみがえらせてくれたのか!?ならば礼として、お前をオレ様の生贄にしてやろう!」
「なにっ!?よるな!」タイラントの前にエルニスが立ちはだかります。
「なんだお前は!?邪魔するなら、貴様から喰ってやる!」
中に入るとそこには、テイルと同じ森に住む妖精人類のエルフたちが集まっており、彼らの視線は、リザードマンやオークがわきを固める奥の壇上の上にいる鎧と赤いマントを着込んだ黒髪のショートヘアーのエルフの男に集まっていました。壇上のエルフの戦士が語り掛けます。
「同志諸君!おれは魔王アガレス率いる魔王軍の幹部『ダークトライアド』が一人、レイドだ!我々エルフは、人間どもに住みかを追われてきた!
その人間どもは今、我々の領域に土足で上がり込み、好き放題に荒らしまわている!こんな暴挙が許されていいのだろうか!?」
これに、「許されてなるものか!」と言う声があちこちで上がります。
「我々に従えば、もう、人間どもに脅かされない生活を約束しよう!さぁ、我々に続け!人間どもに思い知らせてやるのだ!戦いだ!」会場から歓声が上がると、エルニスたちがおどり出ました。
「待て!そんなことはさせない!」これに、聴衆の視線が一気にエルニスたちに注がれます。
「なんだ!?お前たちは?我々のジャマをするのか!?」これに、テイルが名乗り出ました。
「父さん!こんなことはやめて!」それを聞いたエルニスとキャンベルは驚きを隠せません。
「えっ!?あいつがテイルのお父さん!?」これにテイルはうなずきます。
「そう、生き別れた私の実の父よ!」レイドはテイルに向き直ります。
「ほう、テイルか!?クレアと共に森を去ってからずいぶん時がたったな、そうか、お前は人間どもの手下に成り下がったってわけか!?」これに、テイルは首を横に振ります。
「私は誰の手先にもなった覚えはないわ!そんなことをしたら、互いに犠牲が出るだけよ!」
「それは覚悟の上!どうしても我々を止めたいのなら、おれと一対一の決闘をしろ!」
仕方なく、テイルは勝負を受けて立つことにしました。テイルは右手に格闘用の手甲を付けると、間もなく、両者の対決が始まります。
レイドが剣でなぎ払うと、テイルはしゃがみ込んでレイドに足払いをかけ、バランスを崩したところにボディーブローを放ちます。
「うぐぅ・・・!やはり腕を上げたな!ならば!」レイドは風の気を体にまとうと、さっきとは段違いのスピードになり、嵐のように迫りくる剣に、テイルはかわし切れず、体に次々に赤い筋が出来ていきます。
「くっ・・・!」
「やはり、人間の手下になり果てたヤツは弱い!」テイルは後ろに飛びのいて、距離をとります。
「これで決めてやる!」レイドが剣をかまえ、一気に向かっていったかと思うと、テイルの周りにも、風の気が渦巻きます。
「まさか、テイルも風の属性の気を!?」
「私、魔法はできないけど、気を操る技は得意なのよ!こういう風にね!」
テイルが手刀で空を払うと、そこからかまいたちが巻き起こり、レイドを大きくよろめかせます。そのスキに、テイルは一気に接近し、拳の連打を浴びせまくり、レイドの側頭部に回し蹴りを叩き込んで打ち倒します。
「勝負あったわね!」
「くっ・・・!こうなったら、この塔に封印されている古の悪魔をよみがえらせてくれる!」レイドは壇上の後ろにある日本の柱のうちの一つを動かすと、壇上の奥にある石の扉が左右に大きく開き、中から、ライオンの頭部を持つ人間の体に、コウモリの翼を生やした悪魔が現れたのです。
「おお!これがかつて、このイーストメイン大陸全土を手中に収めたとされる悪魔タイラントか!?」
タイラントが雄たけびを上げると、その場にいた者たちは震え上がります。
「ぐぅおおおおっ!よく寝たわい!」タイラントはレイドに向き直ります。
「お前がオレ様をよみがえらせてくれたのか!?ならば礼として、お前をオレ様の生贄にしてやろう!」
「なにっ!?よるな!」タイラントの前にエルニスが立ちはだかります。
「なんだお前は!?邪魔するなら、貴様から喰ってやる!」
0
あなたにおすすめの小説
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。
猫菜こん
児童書・童話
小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。
中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!
そう意気込んでいたのに……。
「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」
私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。
巻き込まれ体質の不憫な中学生
ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主
咲城和凜(さきしろかりん)
×
圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良
和凜以外に容赦がない
天狼絆那(てんろうきずな)
些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。
彼曰く、私に一目惚れしたらしく……?
「おい、俺の和凜に何しやがる。」
「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」
「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」
王道で溺愛、甘すぎる恋物語。
最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。
異世界子供会:呪われたお母さんを助ける!
克全
児童書・童話
常に生死と隣り合わせの危険魔境内にある貧しい村に住む少年は、村人を助けるために邪神の呪いを受けた母親を助けるために戦う。村の子供会で共に学び育った同級生と一緒にお母さん助けるための冒険をする。
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
9日間
柏木みのり
児童書・童話
サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。
大事なのは最後まで諦めないこと——and take a chance!
(also @ なろう)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる