『完結』セプトクルール 勇者エルニスのワンダーランド

マイマイン

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4章 幻想界世界会議

4-5 聖山での対決

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 竜に変身したエルニスは、天使のつばさを広げ、背中にキャンベルを乗せて聖山の頂上を目指して飛翔ひしょうしています。振り落とされないように、キャンベルはしっかりとエルニスにつかまっています。

「しかし、高い山だな・・・!」
「ええ、この聖山は、幻想界ファンアジアで一番高い山と言われています」
「なるほど、それに、なんだかここ、なつかしい感じがするなぁ・・・!」

 山の中腹まで来たところで、エルニスはゆっくりと着陸し、キャンベルを下ろして翼をたたみます。
「こんなところに、集落があったなんて・・・!」

 エルニスたちがいるところは、シンプルな白いテントの家々が立ち並ぶ集落で、周りをエルニスと同じような竜人たちが行きかっています。

「ここって・・・もしかして・・・!?」エルニスの姿を見た竜人は、すぐさまかけよってきます。

「これは・・・!エルニス坊ちゃん!」エルニスは戸惑いながらうなずきます。
「やはり、この雰囲気ふんいきはエルニス坊ちゃんです!さぁ、現在、里は大変なことになっています!シーザー様の元へ!」

 エルニスとキャンベルは竜人に連れられて里の一番大きなテントの元に向かいます。テントの中にいた里長のシーザーは、一回り大きいとはいっても、その姿は竜になったエルニスと瓜二つです。

「おお!エルニス!どこに行っていたのだ!?」エルニスはキョトンとしています。
「あなたは・・・!?」
「・・・実の父の顔を忘れたのか・・・!?」エルニスが混乱していると、キャンベルが言いました。

「エルニスさんは現在、記憶きおくを失っているんです。それまでは下界で暮らしていたんですよ、申し遅れました、わたしはエルニスさんの友人のキャンベルです」キャンベルはお辞儀じぎをしました。

「そうか・・・エルニスは記憶を失ってしまったのか・・・!それで、お主は下界にいる間、エルニスに良くしてくれたのか・・・まずは礼を言おう・・・!」そこで、エルニスはたずねました。

「それで、大変な事って?」
「ああ、見たまえ、あのよどんだ空を・・・!」テントを出て、シーザーが指さした方を見ると、頂上では、どす黒い雲が渦を巻いていたのです。

「あそこにいる邪悪な者の討伐のため、何人か戦士たちを送り込んだが、皆、返り討ちにあった!」
「やっぱり、ぼくがあいつを倒しに行きます!」
「お前が!?まだ一人前にもなっていないのに!?」これに、キャンベルが言いました。

「もし、行くのなら、これを持って行ってください!」エルニスは勇者の帽子を手渡されました。
「それは・・・もしや!?」

 竜になったエルニスは勇者の帽子をかぶって、黒い雲の中へと飛び込みました。

「来たか・・・勇者エルニスよ!」目の前に、悪魔の翼を広げたグレゴリーが現れました。
「その帽子は・・・!?いいだろう!さっきは加減したが、こうなっては全力で相手しよう!」グレゴリーは右の爪を振りかざして迫ってくると、エルニスも爪で受け止めます。

「・・・力が・・・強い!」エルニスが徐々に押し負けていきます。
「ほれ!もう一発!」グレゴリーが左腕でエルニスをぎ払うと、エルニスは避けきれずダメージを受けました。

「ぐっ・・・!」エルニスは電撃を放つと、グレゴリーは風の渦で電撃をかき消してしまいます。

「あの時は加減したと言っただろう?やはり弱いな!期待ハズレだぜ!」エルニスは、グレゴリーの爪の嵐を受けては流しの防戦一方で、エルニスはまた吹っ飛ばされてしまいました。

「このままじゃ・・・どうすれば・・・!?」すると、落雷がエルニスに直撃し、体に力がみなぎっていくのを感じました。
「この感じ・・・!そうだ!」エルニスは何を思ったのか、さらに上空に飛び立ちます。

「逃げる気か!?待て!」グレゴリーも後を追います。すると、エルニスは両腕を天にかざし、落雷を受け止めると、雷を身にまとい、一気に垂直すいちょく降下こうかしました。

「・・・まぶしい!」グレゴリーは目がくらみ、風の渦を巻き起こしましたが、それでもエルニスの一撃を防ぎきれず、そのままクルクル回りながら落下していったのです。そして、どす黒い雲が晴れていくのが分かりました。

 戦いを終えると、エルニスはシーザーに言いました。

「父さん!あの邪悪な者は、世界を手中に収めようとしている魔王軍の手下なんだ!どうか、下の町のリュッケンシルトに行って、話し合いに参加してほしいんだ!」シーザーはおどろきました。

「なんだと!?下界がそんなことになっているだと!?と、ならば我々も無関心ではいられないということか・・・それに、エルニス、記憶が戻ったのか!?」エルニスはうなずきました。

「思い出したよ、ぼく、飛べるようになったのがうれしくてつい、下界まで飛んでしまったんだ」
「そうか、ならば私も下の町におもむこう!」
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