『完結』セプトクルール 勇者エルニスのワンダーランド

マイマイン

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5章 うごめく闇と抗う光

5-4 闇の遺跡

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 火山の遺跡の中は薄暗く、石の壁にえつけられたかがり火をたよりに奥へと進んでいきます。ほどなくして、開けた場所に出ると、そこにはグレゴリーがリリスと小競り合いをしていたのです。

「その宝玉は妾の物じゃ!」
「なんだと?生意気な小娘が!」部屋の奥の祭壇さいだんには、真っ黒な宝玉がかざられていたのです。

「あれが『闇の力』か!?」間もなく、リリスが口から炎を吐きだすと、グレゴリーは風の渦でそれをかき消します。そして、間髪入れずにリリスが両手の爪を伸ばして、グレゴリーの爪と激しく打ち合います。

「ああっ!やめてください二人とも!」エルニスとキャンベルは二人の争いをやめさせようとしますが、近づけません。すると、グレイが祭壇の方へ向かい、黒い宝玉に手をふれたのです。

「おお!これが夢でカオスが言っていた強大な闇の力か!?」グレイの全身は闇のきりに包まれます。

「あいつは!?キーパーのグレイってやつ!?」
「いけません!その宝玉に手をふれては!」
これに、グレゴリーもリリスも争いをやめ、祭壇のグレイの方に向き直ります。

「ああっ!妾の宝玉が!」
「横取りする気か!」グレゴリーが迫ってくると、霧から飛び出した鋭いカギ爪を持つ腕にはね飛ばされ、壁にたたきつけられて気絶しました。

「グレイさんが・・・!」グレイは人の姿から、黒いコウモリの翼と細長い尻尾と曲がった角を生やし、ひたいに黒い結晶を持つ悪魔の姿になっていたのです。

「すさまじい邪悪なオーラを感じます・・・!グレイさんの意識が消えました!」
「なんだって!?」エルニスたちは身構えます。

「おおお!力がみなぎっていく!これなら、世界中の異種族を全滅させることだってできる!まずはお前たちからだ!」グレイが迫ってくると、エルニスたちはグレイの一撃をかわし、電撃を放ちますが、グレイにはほとんどいていません。

「バカな!?」
「そんなものが効くかぁ!」グレイが邪悪な紫の炎を吐きだしますが、それがエルニスたちに届くことはありませんでした。

 エルニスたちが目を開けると、リリスが二人をかばって真っ赤な炎を吐きだし、グレイの紫の炎を防いでいたのです。

「リリス!?」
「さっき助けられた借りじゃ!」リリスの炎はグレイの炎を押し返し、グレイは真っ赤な炎に包まれました。

「ぐわぁああああああっ!」熱さにグレイがのたうち回っていると、リリスは一気に接近し、グレイの額にある黒い結晶にパンチをぶつけて、結晶を粉々にくだきました。

すると、グレイの体からどす黒いオーラが抜けていき、元の人間の姿になって気絶したのです。
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