『完結』セプトクルール 勇者エルニスのワンダーランド

6章 砂漠の強盗団

6-2 キャンベルの作戦

　エルニスとキャンベルは石の柱で支えられた神殿の様な町の駅舎にやってきました。そこのホームには、開拓地に行くであろう貨物列車が待機していますが、その前には駅員と警官隊が話し込んでいます。そこで、キャンベルが駅員に話します。

「あの～何かあったのですか？」

「ああ、今からこの貨物列車に積み込んだ食料や水や薬などの物資を、この先の開拓地に届けねばならんのだが、ある日突然、途中の砂漠に謎の強盗団が現れるようになったのだ！奴らのせいで、開拓地への物資の輸送ゆそうも滞り、おかげで開拓地はじり貧になっているのだ・・・！」

「何てことでしょう！」
「もしかしたら、魔王軍の差し金かもしれない！何とかならないんですか！？」

「うむ、奴らは列車が来ると、必ず襲ってくるのだ・・・！だから、うかつに列車を出すことはできん！砂漠は広く過酷な環境で、警官隊も捜査そうさがしにくいのだ・・・！」すると、キャンベルが何かをひらめき、両手を叩きます。

「それでしたら、こういう作戦はどうでしょう？」エルニスや警官隊がキャンベルの周りに集まって彼女の話に耳を傾け、しばらくすると、周りから驚きの声が上がります。

「おお！それならば・・・！」
「キャンベルちゃんナイスアイディア！やっぱり頭いいや！」キャンベルの作戦に満場一致まんじょういっちで賛成さんせいすると、皆は次に発車する貨物列車の準備を始めたのです。

　貨物列車の準備が終わると、エルニスとキャンベルの前に、白い虎の手足と尻尾と耳を持つ獣人の少年が現れました。

「オレはジェロニモ・ロレンス！アラビンスの警官の見習いさ！よろしく頼むぜ！」エルニスとキャンベルはロレンスとともに、蒸気機関車のすぐ後ろの客車に乗り込みます。