40 / 48
7章 救世主冬将軍
7-7 冬将軍の試練
しおりを挟む
エルニスたちは、町でひときわ目立つ建物、ポーラー大聖堂の前にやってきました。中央にはめ込まれた色とりどりの円いバラ窓や、天高くそびえる二つの尖塔は、平和への祈りを表しているかのようです。聖堂内に入ると、磨かれた石の床に、そそり立つ円柱の向こうに装飾がほどこされた祭壇、その上の聖者の姿が描かれたステンドグラスが、聖堂内を七色に照らしています。
祭壇の前に、ゴーシャの手配ポスターとそっくりな、前垂れのある服を着た眼帯男が立っていたのです。
「お前たちは・・・?」
「ぼくはエルニス、こっちはキャンベルちゃんとロレンスさんです・・・!」エルニスたちは、魔王軍を倒すべく旅をしていることを、ゴーシャでの出来事などを話しました。
「・・・そうか、お前たちはおれの事を咎めようというのか・・・!そして、魔王アガレスに戦いを挑むと・・・!」
「その通りです、だから一緒に来て、王様に会って事情を話してください!あなたの安全は保障します!」これに、メガロはこう言います。
「・・・まっすぐな目だ!なるほど、おれをだます気はないようだな、だが、あの国のありさまは目に余る!今のナイトロードと同じだ!」
「今のナイトロード!?」
「魔王アガレスが支配する今のナイトロードは、強い者が優遇され、弱い者は役に立たない者として踏みにじられる!」これにキャンベルが言いました。
「なるほど、ナイトロードでの出来事と重なったんですね・・・!確かにあのありさまはひどいです」
「だがよ!略奪を正当化することはできねぇぞ!それに、根本的な解決にはならない!」ロレンスがこう言い返すと、メガロも言い返します。
「あいつらが口で言って通じる相手とも思えん!そんな連中を懲らしめ、虐げられている者たちを救うためなら、おれは何でもやる!それでもおれを咎め、魔王を倒すと言うのならついてこい!」メガロが指を鳴らすと、祭壇の前の床が左右に動き、下へ降りる階段が現れました。
深い階段を降り切ると、そこは氷で覆われた洞窟で、壁からは大きな紫の水晶の柱が飛び出しています。奥にいるメガロが言いました。
「魔王に挑むと言うお前たちの力と覚悟を見せてもらおう!」
「つまり、ぼくたちがメガロと戦えと・・・!?」
「そういうことだ」
メガロが両腕を掲げると、彼の全身が氷に包まれ一気に破裂すると、メガロの姿は人の姿ではなく、水晶の結晶を甲羅に使い、両手足が白い鎧に包まれ、魚の尾と猛牛の角を生やし、緑色の瞳を持つ、直立した大亀の姿になっていました。
「あれは・・・まさか・・・アルケリス!?」キャンベルが言いました。
「おいおい、マジカよ・・・!?」ロレンスも震(ふる)えます。
「竜も恐れると言われる、高度な亀の聖獣・・・!生き残りがいたなんて・・・!?」エルニスもハッとします。
「そうか、スピネルのお城にあった『アルケリスの結晶』は、あのカメの甲羅のかけらだったんだ!」相手はじっと立っているだけですが、それだけでも三人を圧倒するには十分な迫力でした。
「この姿をさらすのは気が引けるが・・・まぎれもなくおれの本気の姿・・・!お前たちの覚悟が本気なら、このおれを超えてみろ!用意はいいか!?」エルニスたちは身構えてうなずきます。
「参る!」
メガロが金属音の様な、甲高い雄たけびを上げると、洞窟全体が振動します。
「行くぜ!」ロレンスが斧を振りかざして向かっていくと、メガロは左腕で斧をつかみます。
「バカな!鋼鉄も断ち切る斧を素手で!?」メガロはそのままロレンスを右手の張り手で、壁まで吹っ飛ばします。
「ぐぅっ・・・なんて硬いヤツだ!」ロレンスはよろよろと立ち上がりますが、メガロは間髪入れずに口から吹雪を吐きかけます。
「危ないっ!」キャンベルが炎の魔法を放ち、メガロの吹雪を防ぎますが、キャンベルは肩で息をしています。
「お前たちの力はそんなものか!?」
「なら、これはどうだ!?」エルニスの電撃がメガロの右手に当たると、メガロは低いうなり声をあげて左手で右手をおさえます。
「なるほど、電撃は通じるみたいだね!」
「そうか、アルケリスは水の怪物、電気に弱いのを忘れていました!」
「それに、オレたちには神器があるのも忘れていたぜ!ここからが本番だ!」ロレンスたちは各々の神器を身に着けました。
「ほう、神器を使うか・・・!ならば!」メガロは水晶でできた奥の祭壇の真ん中に刺さっている銀色の杖を引き抜きます。
「まさか、あれは!?」
祭壇の前に、ゴーシャの手配ポスターとそっくりな、前垂れのある服を着た眼帯男が立っていたのです。
「お前たちは・・・?」
「ぼくはエルニス、こっちはキャンベルちゃんとロレンスさんです・・・!」エルニスたちは、魔王軍を倒すべく旅をしていることを、ゴーシャでの出来事などを話しました。
「・・・そうか、お前たちはおれの事を咎めようというのか・・・!そして、魔王アガレスに戦いを挑むと・・・!」
「その通りです、だから一緒に来て、王様に会って事情を話してください!あなたの安全は保障します!」これに、メガロはこう言います。
「・・・まっすぐな目だ!なるほど、おれをだます気はないようだな、だが、あの国のありさまは目に余る!今のナイトロードと同じだ!」
「今のナイトロード!?」
「魔王アガレスが支配する今のナイトロードは、強い者が優遇され、弱い者は役に立たない者として踏みにじられる!」これにキャンベルが言いました。
「なるほど、ナイトロードでの出来事と重なったんですね・・・!確かにあのありさまはひどいです」
「だがよ!略奪を正当化することはできねぇぞ!それに、根本的な解決にはならない!」ロレンスがこう言い返すと、メガロも言い返します。
「あいつらが口で言って通じる相手とも思えん!そんな連中を懲らしめ、虐げられている者たちを救うためなら、おれは何でもやる!それでもおれを咎め、魔王を倒すと言うのならついてこい!」メガロが指を鳴らすと、祭壇の前の床が左右に動き、下へ降りる階段が現れました。
深い階段を降り切ると、そこは氷で覆われた洞窟で、壁からは大きな紫の水晶の柱が飛び出しています。奥にいるメガロが言いました。
「魔王に挑むと言うお前たちの力と覚悟を見せてもらおう!」
「つまり、ぼくたちがメガロと戦えと・・・!?」
「そういうことだ」
メガロが両腕を掲げると、彼の全身が氷に包まれ一気に破裂すると、メガロの姿は人の姿ではなく、水晶の結晶を甲羅に使い、両手足が白い鎧に包まれ、魚の尾と猛牛の角を生やし、緑色の瞳を持つ、直立した大亀の姿になっていました。
「あれは・・・まさか・・・アルケリス!?」キャンベルが言いました。
「おいおい、マジカよ・・・!?」ロレンスも震(ふる)えます。
「竜も恐れると言われる、高度な亀の聖獣・・・!生き残りがいたなんて・・・!?」エルニスもハッとします。
「そうか、スピネルのお城にあった『アルケリスの結晶』は、あのカメの甲羅のかけらだったんだ!」相手はじっと立っているだけですが、それだけでも三人を圧倒するには十分な迫力でした。
「この姿をさらすのは気が引けるが・・・まぎれもなくおれの本気の姿・・・!お前たちの覚悟が本気なら、このおれを超えてみろ!用意はいいか!?」エルニスたちは身構えてうなずきます。
「参る!」
メガロが金属音の様な、甲高い雄たけびを上げると、洞窟全体が振動します。
「行くぜ!」ロレンスが斧を振りかざして向かっていくと、メガロは左腕で斧をつかみます。
「バカな!鋼鉄も断ち切る斧を素手で!?」メガロはそのままロレンスを右手の張り手で、壁まで吹っ飛ばします。
「ぐぅっ・・・なんて硬いヤツだ!」ロレンスはよろよろと立ち上がりますが、メガロは間髪入れずに口から吹雪を吐きかけます。
「危ないっ!」キャンベルが炎の魔法を放ち、メガロの吹雪を防ぎますが、キャンベルは肩で息をしています。
「お前たちの力はそんなものか!?」
「なら、これはどうだ!?」エルニスの電撃がメガロの右手に当たると、メガロは低いうなり声をあげて左手で右手をおさえます。
「なるほど、電撃は通じるみたいだね!」
「そうか、アルケリスは水の怪物、電気に弱いのを忘れていました!」
「それに、オレたちには神器があるのも忘れていたぜ!ここからが本番だ!」ロレンスたちは各々の神器を身に着けました。
「ほう、神器を使うか・・・!ならば!」メガロは水晶でできた奥の祭壇の真ん中に刺さっている銀色の杖を引き抜きます。
「まさか、あれは!?」
0
あなたにおすすめの小説
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。
猫菜こん
児童書・童話
小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。
中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!
そう意気込んでいたのに……。
「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」
私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。
巻き込まれ体質の不憫な中学生
ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主
咲城和凜(さきしろかりん)
×
圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良
和凜以外に容赦がない
天狼絆那(てんろうきずな)
些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。
彼曰く、私に一目惚れしたらしく……?
「おい、俺の和凜に何しやがる。」
「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」
「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」
王道で溺愛、甘すぎる恋物語。
最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。
異世界子供会:呪われたお母さんを助ける!
克全
児童書・童話
常に生死と隣り合わせの危険魔境内にある貧しい村に住む少年は、村人を助けるために邪神の呪いを受けた母親を助けるために戦う。村の子供会で共に学び育った同級生と一緒にお母さん助けるための冒険をする。
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
9日間
柏木みのり
児童書・童話
サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。
大事なのは最後まで諦めないこと——and take a chance!
(also @ なろう)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる