『完結』セプトクルール 勇者エルニスのワンダーランド

マイマイン

文字の大きさ
47 / 48
8章 魔王軍との決戦

8-4 魔王との対決

しおりを挟む
 ようやくエルニスたちは、魔王の待つ玉座の間へとたどり着きました。

「ついにここまで来たか・・・!勇者エルニスとその仲間たち・・・!」玉座にいる貴族的な服と赤いマントを着込んだ赤毛のショートヘアーの魔王は言いました。
「お前が魔王アガレスか!?」
「いかにも!我が魔王アガレスだ・・・!」
「なぜ、世界征服なんておろかなことを・・・!?」アガレスは悪びれる様子もなく言います。

「エルニスよ、お前は知らんのだ・・・!我らがナイトロードの不遇ふぐうを・・・!私の祖先が好き勝手にあばれまわったせいで、人間どもは我ら異種族を勝手に恐れ、この大陸に追いやった・・・!そして、人間どもの迫害はくがいからたみを守るために国に結界を張った・・・!だが、人間どもの圧政あっせいにはうんざりだ!だからこそ、外へと飛び出し、世界征服を始めたのだ・・・!我らが大手をふっていられる世界を造るために・・・!」

「でも、誰かを支配するやり方なんて間違っている!いまから、それを思い知らせてやる!」エルニスが身構えると、そこにグレイとカナンがやってきました。
「貴様が魔王か!?貴様らのせいで最愛のヘレンは・・・!絶対に許さん!」
グレイはアガレスに向かって銃を発射しますが、アガレスの前に透明とうめいな壁が現れ、銃弾をはじきます。

「なにっ・・・!?」
「おや、いつぞやの若者ではないか・・・!せっかく力を得るチャンスを与えたと言うのに、恩(おん)をあだで返すか・・・!?」
「何を言っている!?お前から恩を受けた覚えなどない!」
「まだわからんか・・・!?ならば真の姿を見せてやろう・・・!」

 すると、アガレス王の体から、どす黒いきりのようなものが上がったかと思いきや、霧のかたまりは、鋭いカギ爪を備え、背には白い天使のつばさと黒い悪魔の翼を一対ずつ生やし、ヤギのように曲がった角を生やしたジャッカルの頭を持った悪魔の姿に変わったのです。

われはカオス・ゼブラフィム、かつて創造そうぞうしんと呼ばれた者・・・!」グレイはハッとします。
「その声は・・・まさか・・・!?」

「そう、お前の夢の中で闇の力を得るようそそのかしたのは我だ!お前の憎悪ぞうおに満ちた心は実に素晴すばらしい。手駒てごまにふさわしいと思ったが、下級悪魔ごときにやぶれるとは、とんだ期待きたいハズレだったようだな・・・!」それを聞いたグレイはひざをつき、こぶしを床にたたきつけます。

「なんという事だ・・・!オレは魔王のてのひらの上でおどらされていただけだったのか・・・!」
「さてと、役立たずは処分しょぶんするのみ!」カオスは炎を吐きかけると、カナンは横からかっさらいました。

「カナン・・・!オレのためにケガを・・・!」
「何を言う、私はお前のバディだ!」グレイの目からしずくがこぼれます。

「さてと、余興よきょうはここまで、勇者エルニスとその仲間たちよ!我の最大の障害であるお前たちをほろぼせば、世界は我の物なり!」カオスが炎を吐きかけると、メガロがおどり出て聖者の杖をかまえます。

「ガーディアンブリザード!」
メガロが氷のバリアでエルニスたちを包み込み、邪悪じゃあくな炎を防ぎます。

「我の火炎かえんをしのぐだと!?」
「そして、はじけろっ!」メガロが杖を押し出すと、氷のバリアは冷気のあらしに変わり、カオスをこおらせます。
「すごいバリアだね!さぁ、反撃はんげき開始かいしだ!」

「こしゃくな!」カオスが氷を破ると、光と闇の刃を生み出し交差させて巨大なハサミを作り出します。
「カオスシザーカット!」

 カオスが大バサミを投げつけてくると、ロレンスは覇者の腕輪を右腕につけ、斧を両手にかまえてカオスのハサミをむかえ撃ちます。
「グランドクリーバー!」ハサミは粉々にくだけちります。
「バカな!?」

 続いて、賢者のたいまつをかまえたキャンベルが集中させていた魔力を解き放ちます。
「踏みにじる者は踏みにじられる者!全力のソルスターマインです!」
キャンベルが放った光球ははげしくはじけ飛び、光の爆発にカオスは思わず目をせます。
「今です、エルニスさん!」

 竜になったエルニスは、激しい雷をまといます。
「とどめのライトニングカリバー!」カオスの脳天のうてんめがけて雷電らいでんの短剣を突き立てました。
「ぐぅおおおおおおおおおおっ!」

 カオスはすさまじい光に包まれ黒炭こくたんと化すと、そのままボロボロにくずれて消滅しょうめつしたのです。
「やった・・・!ぼくたちの勝ちだ!」みんなが喜びの声を上げると、レミオンはアガレス王の元にかけよります。

「お父様!」アガレス王はゆっくりと目を開けます。
「おお、そなた、レミアンなのか・・・!?」レミオンは涙をこぼしてうなずきます。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

星降る夜に落ちた子

千東風子
児童書・童話
 あたしは、いらなかった?  ねえ、お父さん、お母さん。  ずっと心で泣いている女の子がいました。  名前は世羅。  いつもいつも弟ばかり。  何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。  ハイキングなんて、来たくなかった!  世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。  世羅は滑るように落ち、気を失いました。  そして、目が覚めたらそこは。  住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。  気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。  二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。  全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。  苦手な方は回れ右をお願いいたします。  よろしくお願いいたします。  私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。  石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!  こちらは他サイトにも掲載しています。

童話短編集

木野もくば
児童書・童話
一話完結の物語をまとめています。

独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。

猫菜こん
児童書・童話
 小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。  中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!  そう意気込んでいたのに……。 「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」  私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。  巻き込まれ体質の不憫な中学生  ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主  咲城和凜(さきしろかりん)  ×  圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良  和凜以外に容赦がない  天狼絆那(てんろうきずな)  些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。  彼曰く、私に一目惚れしたらしく……? 「おい、俺の和凜に何しやがる。」 「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」 「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」  王道で溺愛、甘すぎる恋物語。  最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。

異世界子供会:呪われたお母さんを助ける!

克全
児童書・童話
常に生死と隣り合わせの危険魔境内にある貧しい村に住む少年は、村人を助けるために邪神の呪いを受けた母親を助けるために戦う。村の子供会で共に学び育った同級生と一緒にお母さん助けるための冒険をする。

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

9日間

柏木みのり
児童書・童話
 サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。  大事なのは最後まで諦めないこと——and take a chance! (also @ なろう)

エリちゃんの翼

恋下うらら
児童書・童話
高校生女子、杉田エリ。周りの女子はたくさん背中に翼がはえた人がいるのに!! なぜ?私だけ翼がない❢ どうして…❢

処理中です...