『完結』セプトクルール 勇者エルニスのワンダーランド

8章 魔王軍との決戦

エピローグ

　元に戻ったアガレス王は、エルニスたちの前で話します。

「そうか・・・そなたたちが私を元に戻してくれたのか・・・！？」
「全ては王にとりついていたカオスが悪さをしていたんですね・・・！」エルニスがこう言うと、アガレス王は首を横に振ります。

「いいや、我が国のありさまを憂うれいていたのは事実じじつだ・・・！我ら異種族も大手を振っていられる世界を造りたい・・・そう思った時、カオスの声が聞こえてきたのだ・・・！『我と契約けいやくをすれば、お前の望のぞみをかなえてやろう』と・・・！それから私は魔王と化してしまったのだ・・・！今思えば、そなたたちにも、国民たちにも、そしてレミアンにもすまないことをした・・・！これからは、支配とは別の方法で、人間と共に歩む道を探さぐるとしよう・・・！」アガレスは立ち上がり、エルニスたちに頭を下げました。

「そういう事なら、ぼくたちも協力きょうりょくしますよ！」
「ありがたい、勇者エルニスよ！」
「ボクからも礼を言わせてくれ、キミたちのおかげで父上とナイトロードは救すくわれた・・・！本当にありがとう！」レミオンもお辞儀じぎをします。

そして外に出ると、飛び去るメガロの船に乗ったエルニスたちを、レミオンたちはずっと見送りました。

　スピネル城の玉座の間へやってきたエルニスたちは、王の前にひざまずきます。
「エルニスよ、よくやってくれた・・・！初めてこの国にやってきた時に比べて、ずいぶん頼たのもしくなったな・・・！そして、仲間たちも勇者を支えてくれた・・・！そなたたちには何か餞はなむけをやらんとな・・・！」王は咳せきばらいをした後、こう言いました。

「百獣ひゃくじゅうの英傑えいけつロレンスよ、そなたには西の覇者はしゃ『白びゃっ虎こ』の称号しょうごうを与えよう！」
「サンキューな！」

「大海たいかいの守護しゅご聖人せいじんメガロよ、そなたには北の聖者『玄げん武ぶ』の称号を授与じゅよする！」メガロは無言でうなずきました。

「天あま照てらす賢者けんじゃキャンベルよ、そなたには南の賢者『朱雀すざく』の称号を授さずけよう！」
「ありがとうございます」

「そして、春雷しゅんらいの勇者エルニスよ、そなたには東の勇者『青せい龍りゅう』の称号を受け取るがよい！」
「ありがとう・・・！」

「そして、テイルたちにも賞金しょうきんや英雄えいゆうの称号を与えよう、そなたたちの活躍かつやくがなければ、エルニスたちも活躍できなかった・・・！」テイルたちは照てれながら頭をかきます。

兵士たちのファンファーレと共に、晴れ渡る城の外に出ると、多くのスピネル国民たちが沿道えんどうで拍手はくしゅを送おくってエルニスたちを祝福しゅくふくしたのでした。

　スピネル国王はお礼として、エルニスに青い屋根の小さな家をプレゼントしてあげました。テーブルの席に座ったエルニスは考え込んでいます。

「魔王との戦いは終わった・・・でもこれから先、ぼくにできることはないのかな・・・？」じっと考え込んでいたエルニスの頭に一筋ひとすじの光が差しこんだのです。
「そうだ！それがいい！」エルニスが指を鳴ならすと、キャンベルが遊びにやって来て言いました。

「エルニスさんお邪魔じゃまします、どうしたんですか？」
「いらっしゃいキャンベルちゃん、ぼく、決めたんだ！これから先、世界の平和のためになにができるかなって・・・！それで思いついたんだ！ぼく、ここに便利屋べんりやを開く！困こまっている人たちの助けになるんだ！」

それを聞いたキャンベルが言います。

「なるほど、いいかもしれませんね！でも、エルニスさんだけに任まかせておくのは不安ですから、わたしもお手伝いしますよ！」
「ありがとう、キャンベルちゃん！よし、やってやろう！」

《終わり》