34 / 38
第4章 恋の行方、ただいま急展開!
理想のプロポーズとは?
しおりを挟む
想いが通じ合ってから、半月ほど。毎日はそれなりに平穏で、けれど、どうにも落ち着かない日々が続いていた。いや、正確には「俺の心が」だ。
テレーゼ嬢……いや、レゼは毎日変わらず朗らかで、笑顔で、なんというか、すごく楽しそうに暮らしてくれている。なのに、だ。どうしてこうも俺は、気を張ってばかりなんだろうな……。
「ヴォルフ様、そろそろ結婚式の段取りも考えねばなりませんね。王宮の式場がよろしいですか? それとも、もっと落ち着いた教会をお望みですか?」
帰宅した俺に、ハロルドがいつもの調子でそんなことを言い出したのは、昨日のことだった。
(け、結婚式!? いや、確かにそうなんだが……)
すでに戸籍上は夫婦だし、使用人たちも堂々と「奥様」扱いをしている。あの日、想いを伝え合ってから──寝室こそまだ別ではあるが、俺たちは明らかに夫婦らしい雰囲気を漂わせていた。……と、思っている。
(だが……)
ハロルドがどこで手に入れたのか、恭しく差し出してきた一冊のカタログの中には、白いドレス姿の花嫁や、指輪交換の図がしっかり描かれていた。
(……やるのか? 本当に、これを……?)
もちろん、嫌なわけじゃない。レゼが望むなら、何だって叶えてやりたい。だが「結婚式を挙げる」という現実味に、なぜか俺の心はそわそわと落ち着かなかった。
(まあ、その辺りはレゼとちゃんと相談してから……)
そう自分に言い聞かせながら、騎士団の執務室へ向かったその日の午後。書類整理の手を止めて、ふと窓際に寄ったときだった。下の訓練場から、団員たちの楽しげな声が聞こえてきた。
「マジで!? おまえ、ついに彼女にプロポーズしたのかよ!」
「うっす! 昨日、意を決して言いました! そしたら、もうボロ泣きして喜んでくれて……」
「おおお……青春だなぁ!」
──プロポーズ。
その言葉を聞いた瞬間、俺の中で何かがピキリと音を立てた。
(……俺……してないぞ)
いや、だってそもそも、俺たちの場合はちょっと……いや、だいぶ特殊で……。最初から誤解で結婚が始まって、いろいろすったもんだの末にようやく想いが通じ合ったわけで。
(今さら、改めて……っていうのも、な)
でも。
(……いや、ちょっと待て)
結婚式の話が出たってことは……今じゃないのか? レゼに結婚式の相談をする前に……ちゃんと、伝えるべきなんじゃないか? 「結婚してください」って。いや、もう結婚はしてるけども。
そんな事を考えている間も、外から聞こえる部下たちの会話は続いていた。俺は遠くを眺めるふりをしながら、もはや意識は完全に耳に集中していた。
「で、どんなシチュエーションで言ったんだよ? やっぱレストランとか?」
「いえ、海辺です。彼女、昔から『波の音を聞きながらプロポーズしてほしい』って言ってたんで」
「なにそれ……最高じゃん……」
「そうなんすよ。ずっと憧れてたって言ってくれて……」
(…………)
(あ、憧れのプロポーズだと……!?)
(……レゼにも、そういう夢があったりするのか?)
「団長? 書類、確認お願いできますか」
不意に後ろからかけられた声に、俺はびくりと肩を震わせた。振り返ると、副団長のギルバートが怪訝な顔でこちらを見ている。
「あ、ああっ……すまん、今行く……っ」
慌てて机へ戻ったものの、そこから先の仕事は、まるで頭に入らなかった。
(……レゼの、理想のプロポーズ、か)
(ど、どんなのだ……?)
(レゼのことだから、筋肉に包まれて──とかそういうやつなのか……? それなら俺にも……いや、まさかな……)
俺はペンを握ったまま、完全に妄想の海へ沈んでいった。
*
その夜。邸の食卓には、変わらず美味しそうな夕飯が並んでいた。けれど、当の俺はといえば──
(……プロポーズ)
昼間から頭を離れないそれが、まだぐるぐると脳内を回っていた。目の前のスープも、ステーキも、今日はなんだか味がよくわからない。
(……マチルダに聞いてみるか? 情報通だし、女性の気持ちには詳しいかもしれん)
「なんですか坊ちゃま、さっきからジロジロこちらをご覧になって。私の肌つやでも気になりますの?」
「いや、断じて違う」
(……やめだ。マチルダなんかに相談したら、次の日にはこの邸の使用人全員に『坊ちゃま、テレーゼ様にプロポーズするんですって♡』とか広まってる未来しか見えん)
俺は目線をそらし、今度はちょうどキッチンからやって来たルーディを見やる。
(じゃあ、ルーディはどうだ? 年齢も近いし、案外そういう話──)
「ヴォルフ様! 今日のこの特製マッスルスープ! 筋肉はもちろん……」
そこまで言うと、ぐっと身を寄せ、声をひそめてくる。
「(……精力も、つくんですよ)」
そして、ニヤリ。
(……ダメだ。余計なことしか考えてないこいつに、女心がわかるはずがない)
ふと視線を上げると、テーブルの端で給仕をしていたハロルドと目が合った。
(いや、意外とハロルドかもしれん。年の功ってやつもあるし、恋愛のひとつやふたつ──)
俺がすがるような目で見ていたのを勘違いしたのか、ハロルドがこそこそと近寄って来て、そっと囁く。
「ヴォルフ様、結婚式のことでお悩みですか? そうですね、我々の頃は、一輪の薔薇とともに、自作のラブソングを捧げたものですよ……」
(いや、ダメだ。センスが二十年前で止まってる!)
最後に、紅茶を静かに注いでいたセシル嬢の方へちらりと視線を向ける。
(セシル嬢は? レゼの侍女だし、常に一緒にいる。案外、彼女が一番──)
そう思った瞬間、セシル嬢がすっとこちらに視線を寄越した。そして、ほんのわずかに目を細め、口元だけで、ニヤリと笑った。
(……っ!? そうだ、俺は彼女の「全て見透かしてます」感が苦手なんだ。とても相談なんて、できん)
じゃあ、いっそ本人に直接聞いてしまえば──
「ヴォルフ様」
ふいに名前を呼ばれて、はっと顔を上げる。視線の先には、にっこりと笑うレゼの姿。
「明日のデート、楽しみですわね♡」
無邪気な笑顔に、俺の胸が一瞬で掻き乱される。
(……くっ、かわいい)
(できれば、レゼには内緒で……驚かせたい)
(明日のレゼとの街歩きで、少しでもヒントを得られればいいんだが……)
そして俺はまたモソモソと、ちっとも味がわからない肉を咀嚼した。
テレーゼ嬢……いや、レゼは毎日変わらず朗らかで、笑顔で、なんというか、すごく楽しそうに暮らしてくれている。なのに、だ。どうしてこうも俺は、気を張ってばかりなんだろうな……。
「ヴォルフ様、そろそろ結婚式の段取りも考えねばなりませんね。王宮の式場がよろしいですか? それとも、もっと落ち着いた教会をお望みですか?」
帰宅した俺に、ハロルドがいつもの調子でそんなことを言い出したのは、昨日のことだった。
(け、結婚式!? いや、確かにそうなんだが……)
すでに戸籍上は夫婦だし、使用人たちも堂々と「奥様」扱いをしている。あの日、想いを伝え合ってから──寝室こそまだ別ではあるが、俺たちは明らかに夫婦らしい雰囲気を漂わせていた。……と、思っている。
(だが……)
ハロルドがどこで手に入れたのか、恭しく差し出してきた一冊のカタログの中には、白いドレス姿の花嫁や、指輪交換の図がしっかり描かれていた。
(……やるのか? 本当に、これを……?)
もちろん、嫌なわけじゃない。レゼが望むなら、何だって叶えてやりたい。だが「結婚式を挙げる」という現実味に、なぜか俺の心はそわそわと落ち着かなかった。
(まあ、その辺りはレゼとちゃんと相談してから……)
そう自分に言い聞かせながら、騎士団の執務室へ向かったその日の午後。書類整理の手を止めて、ふと窓際に寄ったときだった。下の訓練場から、団員たちの楽しげな声が聞こえてきた。
「マジで!? おまえ、ついに彼女にプロポーズしたのかよ!」
「うっす! 昨日、意を決して言いました! そしたら、もうボロ泣きして喜んでくれて……」
「おおお……青春だなぁ!」
──プロポーズ。
その言葉を聞いた瞬間、俺の中で何かがピキリと音を立てた。
(……俺……してないぞ)
いや、だってそもそも、俺たちの場合はちょっと……いや、だいぶ特殊で……。最初から誤解で結婚が始まって、いろいろすったもんだの末にようやく想いが通じ合ったわけで。
(今さら、改めて……っていうのも、な)
でも。
(……いや、ちょっと待て)
結婚式の話が出たってことは……今じゃないのか? レゼに結婚式の相談をする前に……ちゃんと、伝えるべきなんじゃないか? 「結婚してください」って。いや、もう結婚はしてるけども。
そんな事を考えている間も、外から聞こえる部下たちの会話は続いていた。俺は遠くを眺めるふりをしながら、もはや意識は完全に耳に集中していた。
「で、どんなシチュエーションで言ったんだよ? やっぱレストランとか?」
「いえ、海辺です。彼女、昔から『波の音を聞きながらプロポーズしてほしい』って言ってたんで」
「なにそれ……最高じゃん……」
「そうなんすよ。ずっと憧れてたって言ってくれて……」
(…………)
(あ、憧れのプロポーズだと……!?)
(……レゼにも、そういう夢があったりするのか?)
「団長? 書類、確認お願いできますか」
不意に後ろからかけられた声に、俺はびくりと肩を震わせた。振り返ると、副団長のギルバートが怪訝な顔でこちらを見ている。
「あ、ああっ……すまん、今行く……っ」
慌てて机へ戻ったものの、そこから先の仕事は、まるで頭に入らなかった。
(……レゼの、理想のプロポーズ、か)
(ど、どんなのだ……?)
(レゼのことだから、筋肉に包まれて──とかそういうやつなのか……? それなら俺にも……いや、まさかな……)
俺はペンを握ったまま、完全に妄想の海へ沈んでいった。
*
その夜。邸の食卓には、変わらず美味しそうな夕飯が並んでいた。けれど、当の俺はといえば──
(……プロポーズ)
昼間から頭を離れないそれが、まだぐるぐると脳内を回っていた。目の前のスープも、ステーキも、今日はなんだか味がよくわからない。
(……マチルダに聞いてみるか? 情報通だし、女性の気持ちには詳しいかもしれん)
「なんですか坊ちゃま、さっきからジロジロこちらをご覧になって。私の肌つやでも気になりますの?」
「いや、断じて違う」
(……やめだ。マチルダなんかに相談したら、次の日にはこの邸の使用人全員に『坊ちゃま、テレーゼ様にプロポーズするんですって♡』とか広まってる未来しか見えん)
俺は目線をそらし、今度はちょうどキッチンからやって来たルーディを見やる。
(じゃあ、ルーディはどうだ? 年齢も近いし、案外そういう話──)
「ヴォルフ様! 今日のこの特製マッスルスープ! 筋肉はもちろん……」
そこまで言うと、ぐっと身を寄せ、声をひそめてくる。
「(……精力も、つくんですよ)」
そして、ニヤリ。
(……ダメだ。余計なことしか考えてないこいつに、女心がわかるはずがない)
ふと視線を上げると、テーブルの端で給仕をしていたハロルドと目が合った。
(いや、意外とハロルドかもしれん。年の功ってやつもあるし、恋愛のひとつやふたつ──)
俺がすがるような目で見ていたのを勘違いしたのか、ハロルドがこそこそと近寄って来て、そっと囁く。
「ヴォルフ様、結婚式のことでお悩みですか? そうですね、我々の頃は、一輪の薔薇とともに、自作のラブソングを捧げたものですよ……」
(いや、ダメだ。センスが二十年前で止まってる!)
最後に、紅茶を静かに注いでいたセシル嬢の方へちらりと視線を向ける。
(セシル嬢は? レゼの侍女だし、常に一緒にいる。案外、彼女が一番──)
そう思った瞬間、セシル嬢がすっとこちらに視線を寄越した。そして、ほんのわずかに目を細め、口元だけで、ニヤリと笑った。
(……っ!? そうだ、俺は彼女の「全て見透かしてます」感が苦手なんだ。とても相談なんて、できん)
じゃあ、いっそ本人に直接聞いてしまえば──
「ヴォルフ様」
ふいに名前を呼ばれて、はっと顔を上げる。視線の先には、にっこりと笑うレゼの姿。
「明日のデート、楽しみですわね♡」
無邪気な笑顔に、俺の胸が一瞬で掻き乱される。
(……くっ、かわいい)
(できれば、レゼには内緒で……驚かせたい)
(明日のレゼとの街歩きで、少しでもヒントを得られればいいんだが……)
そして俺はまたモソモソと、ちっとも味がわからない肉を咀嚼した。
358
あなたにおすすめの小説
【完結】騎士団長の旦那様は小さくて年下な私がお好みではないようです
大森 樹
恋愛
貧乏令嬢のヴィヴィアンヌと公爵家の嫡男で騎士団長のランドルフは、お互いの親の思惑によって結婚が決まった。
「俺は子どもみたいな女は好きではない」
ヴィヴィアンヌは十八歳で、ランドルフは三十歳。
ヴィヴィアンヌは背が低く、ランドルフは背が高い。
ヴィヴィアンヌは貧乏で、ランドルフは金持ち。
何もかもが違う二人。彼の好みの女性とは真逆のヴィヴィアンヌだったが、お金の恩があるためなんとか彼の妻になろうと奮闘する。そんな中ランドルフはぶっきらぼうで冷たいが、とろこどころに優しさを見せてきて……!?
貧乏令嬢×不器用な騎士の年の差ラブストーリーです。必ずハッピーエンドにします。
【完結】殺されたくないので好みじゃないイケメン冷徹騎士と結婚します
大森 樹
恋愛
女子高生の大石杏奈は、上田健斗にストーカーのように付き纏われている。
「私あなたみたいな男性好みじゃないの」
「僕から逃げられると思っているの?」
そのまま階段から健斗に突き落とされて命を落としてしまう。
すると女神が現れて『このままでは何度人生をやり直しても、その世界のケントに殺される』と聞いた私は最強の騎士であり魔法使いでもある男に命を守ってもらうため異世界転生をした。
これで生き残れる…!なんて喜んでいたら最強の騎士は女嫌いの冷徹騎士ジルヴェスターだった!イケメンだが好みじゃないし、意地悪で口が悪い彼とは仲良くなれそうにない!
「アンナ、やはり君は私の妻に一番向いている女だ」
嫌いだと言っているのに、彼は『自分を好きにならない女』を妻にしたいと契約結婚を持ちかけて来た。
私は命を守るため。
彼は偽物の妻を得るため。
お互いの利益のための婚約生活。喧嘩ばかりしていた二人だが…少しずつ距離が近付いていく。そこに健斗ことケントが現れアンナに興味を持ってしまう。
「この命に代えても絶対にアンナを守ると誓おう」
アンナは無事生き残り、幸せになれるのか。
転生した恋を知らない女子高生×女嫌いのイケメン冷徹騎士のラブストーリー!?
ハッピーエンド保証します。
【完結】何もできない妻が愛する隻眼騎士のためにできること
大森 樹
恋愛
辺境伯の娘であるナディアは、幼い頃ドラゴンに襲われているところを騎士エドムンドに助けられた。
それから十年が経過し、成長したナディアは国王陛下からあるお願いをされる。その願いとは『エドムンドとの結婚』だった。
幼い頃から憧れていたエドムンドとの結婚は、ナディアにとって願ってもいないことだったが、その結婚は妻というよりは『世話係』のようなものだった。
誰よりも強い騎士団長だったエドムンドは、ある事件で左目を失ってから騎士をやめ、酒を浴びるほど飲み、自堕落な生活を送っているため今はもう英雄とは思えない姿になっていた。
貴族令嬢らしいことは何もできない仮の妻が、愛する隻眼騎士のためにできることはあるのか?
前向き一途な辺境伯令嬢×俺様で不器用な最強騎士の物語です。
※いつもお読みいただきありがとうございます。中途半端なところで長期間投稿止まってしまい申し訳ありません。2025年10月6日〜投稿再開しております。
地味令嬢なぜかイケメン達から愛されすぎている
ほーみ
恋愛
王都の朝は、いつも少しだけ喧騒に満ちている。馬車の車輪が石畳を転がる音、人々の会話、パン屋の香ばしい匂い。その中心部から少し外れた場所に、私――エリシア・ハートレイは住んでいる。
ハートレイ侯爵家。聞こえだけは立派だが、私はその中でも地味な存在だ。
金髪碧眼の兄たちとは違い、私の髪は亜麻色、目は淡い灰色。社交界で着るドレスだって、華やかな装飾よりも落ち着いた色合いが好きだし、目立つことは苦手。
人に見られると妙に緊張してしまう、典型的な地味令嬢。
――だった、はずなのに。
【完結】余命一カ月の魔法使いは我儘に生きる
大森 樹
恋愛
【本編完結、番外編追加しています】
大魔法使いエルヴィは、最大の敵である魔女を倒した。
「お前は死の恐怖に怯えながら、この一カ月無様に生きるといい」
死に際に魔女から呪いをかけられたエルヴィは、自分の余命が一カ月しかないことを知る。
国王陛下から命を賭して魔女討伐をした褒美に『どんな我儘でも叶える』と言われたが……エルヴィのお願いはとんでもないことだった!?
「ユリウス・ラハティ様と恋人になりたいです!」
エルヴィは二十歳近く年上の騎士団長ユリウスにまさかの公開告白をしたが、彼は亡き妻を想い独身を貫いていた。しかし、王命により二人は強制的に一緒に暮らすことになって……
常識が通じない真っ直ぐな魔法使いエルヴィ×常識的で大人な騎士団長のユリウスの期間限定(?)のラブストーリーです。
※どんな形であれハッピーエンドになります。
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
【完結】身分を隠して恋文相談屋をしていたら、子犬系騎士様が毎日通ってくるんですが?
エス
恋愛
前世で日本の文房具好き書店員だった記憶を持つ伯爵令嬢ミリアンヌは、父との約束で、絶対に身分を明かさないことを条件に、変装してオリジナル文具を扱うお店《ことのは堂》を開店することに。
文具の販売はもちろん、手紙の代筆や添削を通して、ささやかながら誰かの想いを届ける手助けをしていた。
そんなある日、イケメン騎士レイが突然来店し、ミリアンヌにいきなり愛の告白!? 聞けば、以前ミリアンヌが代筆したラブレターに感動し、本当の筆者である彼女を探して、告白しに来たのだとか。
もちろんキッパリ断りましたが、それ以来、彼は毎日ミリアンヌ宛ての恋文を抱えてやって来るようになりまして。
「あなた宛の恋文の、添削お願いします!」
......って言われましても、ねぇ?
レイの一途なアプローチに振り回されつつも、大好きな文房具に囲まれ、店主としての仕事を楽しむ日々。
お客様の相談にのったり、前世の知識を活かして、この世界にはない文房具を開発したり。
気づけば店は、騎士達から、果ては王城の使者までが買いに来る人気店に。お願いだから、身バレだけは勘弁してほしい!!
しかしついに、ミリアンヌの正体を知る者が、店にやって来て......!?
恋文から始まる、秘密だらけの恋とお仕事。果たしてその結末は!?
※ほかサイトで投稿していたものを、少し修正して投稿しています。
酒飲み聖女は気だるげな騎士団長に秘密を握られています〜完璧じゃなくても愛してるって正気ですか!?〜
鳥花風星
恋愛
太陽の光に当たって透けるような銀髪、紫水晶のような美しい瞳、均整の取れた体つき、女性なら誰もが羨むような見た目でうっとりするほどの完璧な聖女。この国の聖女は、清楚で見た目も中身も美しく、誰もが羨む存在でなければいけない。聖女リリアは、ずっとみんなの理想の「聖女様」でいることに専念してきた。
そんな完璧な聖女であるリリアには誰にも知られてはいけない秘密があった。その秘密は完璧に隠し通され、絶対に誰にも知られないはずだった。だが、そんなある日、騎士団長のセルにその秘密を知られてしまう。
秘密がばれてしまったら、完璧な聖女としての立場が危うく、国民もがっかりさせてしまう。秘密をばらさないようにとセルに懇願するリリアだが、セルは秘密をばらされたくなければ婚約してほしいと言ってきた。
一途な騎士団長といつの間にか逃げられなくなっていた聖女のラブストーリー。
◇氷雨そら様主催「愛が重いヒーロー企画」参加作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる