【完結】【R15】優等生の秋連くんは幼なじみの忠成くんを落としたい

鷹槻れん

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温度差

呼び出し3

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「……忠成ただなり、お前、俺の関心が妹にいけばいいと――そう思った、ってことでいいのか?」

 忠成が俺のほうを見ないのが無性に腹立たしくて、俺は彼のあごを持ち上げると、無理矢理こちらを向かせた。そんな俺に抵抗するように、彼の顔にかけた手に、忠成の手が載せられる。

「そ、そっちの方が自然じゃねーかっ」
 思いが爆発したかのように俺の腕にかけた手にグッと力を込めてそう言うと、忠成は挑むような、強い瞳で睨みつけてきた。
 彼の言うことは至極正論で。まともな雄なら雌に求愛するもんだなんて、そんなことは言われなくても俺が一番分かっていることで。分かっていても尚、お前が好きなんだからどうしようもないんだとは、思ってはくれないんだろうな。

「自然とか、自然じゃないとか……今更だろ。そんなんで解決出来たら苦労しねぇよ」

 俺はそれだけ言うと、忠成を開放して彼に背をむけた。

「秋……?」
 忠成は、今まで自分を追い詰めていた俺が急に背を向けたことに戸惑いを覚えたのかもしれない。
 こんな風に忠成を突き放すのは物心ついてからは多分初めてのことだったから。
 俺が追えば逃げるくせに、俺が背を向けた途端、追いすがってくる気配がした。
 これを許したら、また同じことの繰り返しだ。

「……帰れ」
 俺は忠成を振り返らないままに何とか一言、それだけを告げる。
「で、でも……」
 俺の言葉が信じられないという風に、忠成が言葉を連ねる。恋愛感情で迫られるのは勘弁して欲しいけれど、俺に背を向けられるのは怖い。そんな雰囲気がまざまざと感じられて、忠成はずるい、と思った。

「……聞こえなかったのか? 帰れ、と言ったんだ」
 忠成に背を向けたまま。怒っているのか悲しんでいるのか自分でも良く分からなかったけれど、心が千々ちぢに乱れて肩が震えた。

 俺は我知らず、両の拳をぐっと力を入れて握っていた。

 俺からの完全な拒絶に、忠成ただなりが背後で息を呑むのが分かった。
 背中を向けているから見えないけれど、多分今、忠成は泣きそうな顔をしてるんだろう。
 こんな状況下にあってもそんなことをつい考えてしまう俺は、相当重症だと思う。

「……秋連あきつら、ごめん。……俺、そんなつもりじゃ、なかったんだ……」
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