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野花怪異談集全100話
94話「霊歌」
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「1」
ーー「八木家」ーー
~♫
八木家のご老中である八木沙凪68歳。
時たまにご意見番として八木家に家を空けているが普段は八木家に在宅してる。
彼女が趣味としてるのは昔買ったレコード盤で洋楽を聴きながらレモンティーで古椅子に座りながら一服嗜むことである。無論好物であるおかきのあられをひとつまみ食べるのはかかせない。
ふと眠気を感じた沙凪はそのまま瞼を閉じてゆっくりと眠りにつく。
その時に聴こえてくる歌詞に耳を傾けていた。
ーー「50年前野原高校3年B組クラス内」ーー
「……さ……沙凪聞いてるの?」
「ふぇ!?あ、うん聞いてるよ」
友人美琴の退屈な惚気話に断じて寝てない私である……少し目を瞑ったままだ。
「それが居眠りしてたということよ!!」
「そんな!?心を読まれた!あなたはエスパー美琴!人類に対抗する悪の「あーあ!!そこまでよ!!……やっぱり寝てたのね?」」
グゥの音も出ず。
いや、グゥの音は美琴から聴こえたね。
「沙凪に強く当たってもしょうがないでしょ?」
「由梨恵さんわかる?」
おー心の眠り友よ。
「退屈だけどそこまでは眠くならないわよ?」
前言撤回。私の味方ではなかった。
「退屈は余計よ!!……ところであの例の場所行ってみない?」
例の場所というのは今流行りの喫茶店である。もちろん私達の返事はYESである。
「決まりね。じゃあ学校終わったら寄りましょう♪」
放課後すぐ私達は例の喫茶店へ立ち寄った。
「2」
ーー「猫山喫茶店内」ーー
「いらっしゃいませ」
店内はモダンティストな雰囲気でジャズの曲が流れる。
私たちも洒落た雰囲気で楽しめるから好んでよく訪れる。
私たちテーブル席に着席して各自コーヒーなど頼む。
その時、私はとある見慣れない真紅のドレスの妙齢な中年女性が1人寂しく離れたテーブル席に座っていた。
(……?)
彼女の紅い太い唇が印象的だった。
その時である。
彼女が突然オペラ調で歌うと私の視界が暗転して霧がかかる。
近くにいた友人達や店員やオペラ歌う女性客以外忽然と姿を消してしまった。
その場に歌う女性客の周囲にはボヤけて青白くモヤがかかる。
ーーそして私の周囲には青白いモヤが取り囲む。
オペラの曲調に合わせて青白いモヤが歪んでいた。
ーーーーーー。
「……さ。……ぎさ!」
「ううん……?」
私が目を覚ますと何故か教室にいた。
友人達に聞くにはまだ学校へ終わってなくてちょうど美琴が放課後、あの喫茶店に立ち寄るつもりだったらしく、私はあの夢が気になり、パスをした。
ーーその時、私は嫌な感じがしていた。
その日、美琴達はその喫茶店で火事に遭い亡くなったから。
「3」
私はハッと目を覚ました。
どうやら永く寝てしまったようだ。
座る私に毛布がかけられていることから家族がかけたんだろうと。
つい、昔が懐かしく感じてしまった。
もう、友人達の死から数十年経過していた。
その時、彼女達の死を悼み毎年あの場所に訪れて手を添えている。
その時、死んだ友人達が私のことをずっと見つめている。
そう……今でも私の近くのそばに見守っているから。
教えてくれないかい?私はあの時どうすればいいのかとーー、終始無言である美琴達に私は今でも問いかけていた。
霊歌 完
ーー「八木家」ーー
~♫
八木家のご老中である八木沙凪68歳。
時たまにご意見番として八木家に家を空けているが普段は八木家に在宅してる。
彼女が趣味としてるのは昔買ったレコード盤で洋楽を聴きながらレモンティーで古椅子に座りながら一服嗜むことである。無論好物であるおかきのあられをひとつまみ食べるのはかかせない。
ふと眠気を感じた沙凪はそのまま瞼を閉じてゆっくりと眠りにつく。
その時に聴こえてくる歌詞に耳を傾けていた。
ーー「50年前野原高校3年B組クラス内」ーー
「……さ……沙凪聞いてるの?」
「ふぇ!?あ、うん聞いてるよ」
友人美琴の退屈な惚気話に断じて寝てない私である……少し目を瞑ったままだ。
「それが居眠りしてたということよ!!」
「そんな!?心を読まれた!あなたはエスパー美琴!人類に対抗する悪の「あーあ!!そこまでよ!!……やっぱり寝てたのね?」」
グゥの音も出ず。
いや、グゥの音は美琴から聴こえたね。
「沙凪に強く当たってもしょうがないでしょ?」
「由梨恵さんわかる?」
おー心の眠り友よ。
「退屈だけどそこまでは眠くならないわよ?」
前言撤回。私の味方ではなかった。
「退屈は余計よ!!……ところであの例の場所行ってみない?」
例の場所というのは今流行りの喫茶店である。もちろん私達の返事はYESである。
「決まりね。じゃあ学校終わったら寄りましょう♪」
放課後すぐ私達は例の喫茶店へ立ち寄った。
「2」
ーー「猫山喫茶店内」ーー
「いらっしゃいませ」
店内はモダンティストな雰囲気でジャズの曲が流れる。
私たちも洒落た雰囲気で楽しめるから好んでよく訪れる。
私たちテーブル席に着席して各自コーヒーなど頼む。
その時、私はとある見慣れない真紅のドレスの妙齢な中年女性が1人寂しく離れたテーブル席に座っていた。
(……?)
彼女の紅い太い唇が印象的だった。
その時である。
彼女が突然オペラ調で歌うと私の視界が暗転して霧がかかる。
近くにいた友人達や店員やオペラ歌う女性客以外忽然と姿を消してしまった。
その場に歌う女性客の周囲にはボヤけて青白くモヤがかかる。
ーーそして私の周囲には青白いモヤが取り囲む。
オペラの曲調に合わせて青白いモヤが歪んでいた。
ーーーーーー。
「……さ。……ぎさ!」
「ううん……?」
私が目を覚ますと何故か教室にいた。
友人達に聞くにはまだ学校へ終わってなくてちょうど美琴が放課後、あの喫茶店に立ち寄るつもりだったらしく、私はあの夢が気になり、パスをした。
ーーその時、私は嫌な感じがしていた。
その日、美琴達はその喫茶店で火事に遭い亡くなったから。
「3」
私はハッと目を覚ました。
どうやら永く寝てしまったようだ。
座る私に毛布がかけられていることから家族がかけたんだろうと。
つい、昔が懐かしく感じてしまった。
もう、友人達の死から数十年経過していた。
その時、彼女達の死を悼み毎年あの場所に訪れて手を添えている。
その時、死んだ友人達が私のことをずっと見つめている。
そう……今でも私の近くのそばに見守っているから。
教えてくれないかい?私はあの時どうすればいいのかとーー、終始無言である美琴達に私は今でも問いかけていた。
霊歌 完
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