霊和怪異譚 野花と野薔薇

野花マリオ

文字の大きさ
249 / 310
八木怪異談集全18話

01話「独霊視聴」

しおりを挟む
「1」

 ーー「八木家」ーー

「楓ー!瑠奈ー!ごはんできたわよー!!」

 八木家当主改め楓達の母親八木美月が今晩の夕食を用意する。
 夕食は娘達が好きなカネワザカレーライスだが誰も夕食を食べに降りて来ない。
「……」
 業を煮やした美月は各自娘達の部屋に向かうことにした。

 ーー「瑠奈の部屋」ーー

「こんにちわー♫ルナルナっちだよー。わたしみんなに会えるの楽しみにしてたよー」

 彼女瑠奈は石山県では知られる実況バーチャル動画配信者である。早速、パソコンテレビからライブ配信している。最近ではスマホから全身像をアバターとして簡単に作成できるので気軽に配信できる。瑠奈のバーチャル動画配信数はそれなりに伸びており、大きなおにぃたん達によってモチベに支えられている。ただ未成年なので広告収入は得られてないので流奈は将来的にはプロのバーチャル動画配信者を目指していた。
 そんなライブ配信していた頃に知られたくない部外者が乱入する。
 そう、まさしく母親という選手が登場することで瑠奈は一瞬フリーズする。

「何やってるの?瑠奈」

 その乱入トラブルにより、ファン達は燃え広がり熱くなったのは言うまでもなかった。

 ーー「楓の部屋」ーー

「…………」

 一方、楓もパソコンテレビでライブ配信動画をあげていた。
 しかし、彼女の場合は終始無言だ。
 そのじっと黙って見つめるだけ動画などばかり動画配信サイトにあげていた。

「……あなた、何やってるの?」

 美月の問いかけにより、気づいた楓は黙ってパソコンテレビを閉じて、そのまま部屋に出た。

 ーー「居間」ーー

「「いただきます」」

 合掌の後、母娘揃って夕食のカネワザカレーライスを食べる。
 父親は里帰りでいなく、夕飯や家事するのは当主である母親美月や娘達がローテーション交代でやっていた。
「ごちそうさま」
 楓と瑠奈が先に早々と夕飯終えると部屋に戻ろうとすると、
「待ちなさい」
 と、美月が彼女達を呼び止める。
「はい」「うん」
 美月は楓達に問いかけた。
「……あなた達が何かするのは勝手だけどね。私たちは石山県統治してる八木家だということに忘れてないでしょうね?」
「……うん。それはわかってる」
「お母様。私たち事なら心配なさらずに。私の場合はあくまでも趣味の一貫ですから」
 楓はクスクスと笑った。
「……瑠奈はともかく、あなたは何をやってるの?」
 と、楓はそっと指を顔に近づけて言った。
「……それは、幽霊さんを誘うためですよ。……この世でない方を呼び込むためにね」
 楓が語るとこの場は一瞬寒気が感じて、瑠奈は鳥肌が立ち肩が震えた。美月は手が震えていた。
「……それ詳しく教えてちょうだい楓」
 楓はうなずき、その幽霊さんという話を語ってくれた。

「2」

 俺の名前は中本輝樹なかもとてるき。25歳。
 趣味はパソコンで実況動画配信をしてる。
     もっとも俺は底辺の動画配信者であり、登録チャンネル人数もわずか数人しかいない。
 本音としては配信でバズり有名な実況動画配信者に仲間入りしたいが今日も動画配信しても視聴人数は伸び悩み数人しかいない。
 一体どこがダメなんだろうか?
 そこで今日は早めに実況動画配信を打ち切りパソコンを閉じた。

 ーー「次の日」ーー

「お?珍しくコメントがある」

 昨日あげた動画にコメントがついていた。
 そのユーザーは「幽霊さん」という方だった。
 コメントにもわざわざ丁寧に感想やアドバイスがあったのでそのコメントに思わず返信すると、一気に俺の登録チャンネル人数が増えたのでこの時はきちんと視聴してくれるユーザーの期待と感謝を伝えないとなとこの時は思っていた。

 ーー「????」ーー

「どうだった?」

「ああ、なんとか入り込めたぜ」

「そうか。気をつけろよ」

「ああ」

 ーー「数ヶ月後」ーー

「どうも。今公園に来てます」

 俺はスマホをかざしながら、動画配信を流してる。
 幽霊さんのアドバイスにより、いたる所に町中に出向いて配信すると視聴者も一気に伸びていた。
 しかし、この時俺は恐ろしい目に遭うのだ。
 動画配信終えると馴染みの幽霊さんからコメントが来た。
 内容を見て思わずスマホ落としてしまう。

 幽霊さん:a@umvpj#wtpmdxpja#

 なんと文字化けしてるのである。
 それだけじゃなく、動画配信サイト内にも文字化けして読めなくなっていたから。
 俺はこの時ウィルスに感染したのだろうか?と思っていたがどうやら違っていた。

 ーー俺の背後に彼らがウヨウヨいたからだ。

 そいつらはこの世でもないだったのだ。

 この時に気づくべきだったのだ。幽霊さんが俺の居場所を特定するためにけしかけていたことに……。

 俺は恐ろしくなり、慌てて逃げていた。

 その時、誰かが呼びかける声がしたがそのまま俺は意識を失った。


 ーー「とある墓地」ーー

「ここが彼の墓か」

「そうみたいだな」

「まさか彼は自分自身とは知らずに動画配信していたとはな」

「ははは。お前がいうかよ。幽霊になりきってる

「そうです!私が幽霊です。くくく」

 ーーーーー。


「どうもー♪美月でーす!永遠の18歳でーす♡よろしくね」

 美月も娘達の影響で動画配信を始めた。瑠奈と同じくバーチャル配信で可愛らしいアバターで始めていたがすぐ家族に身バレてしまい、それが原因で瑠奈と同じく視聴ユーザーからプチ炎上になってしまった。

 独霊視聴  完

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

(ほぼ)5分で読める怖い話

涼宮さん
ホラー
ほぼ5分で読める怖い話。 フィクションから実話まで。

あなたのサイコパス度が分かる話(短編まとめ)

ミィタソ
ホラー
簡単にサイコパス診断をしてみましょう

静かに壊れていく日常

井浦
ホラー
──違和感から始まる十二の恐怖── いつも通りの朝。 いつも通りの夜。 けれど、ほんの少しだけ、何かがおかしい。 鳴るはずのないインターホン。 いつもと違う帰り道。 知らない誰かの声。 そんな「違和感」に気づいたとき、もう“元の日常”には戻れない。 現実と幻想の境界が曖昧になる、全十二話の短編集。 一話完結で読める、静かな恐怖をあなたへ。 ※表紙は生成AIで作成しております。

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

女子切腹同好会

しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。 はたして、彼女の行き着く先は・・・。 この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。 また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。 マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。 世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。

処理中です...