霊和怪異譚 野花と野薔薇

野花マリオ

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霊和座談怪異八月蜂夕祭り

エピソード5「野花怪異談・座談会3」

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亜矢「さて——次は、礼奈の番だな。」

礼奈「やっと来た?あんたらの怪異語り、長いのよ。こっちはうっかり成仏しそうだったわ。」

星夏「お待たせしましたわ、礼奈さん。それでは改めて……本日あなたが選んだ怪異は《火の用心棒》と《パクルナ!》。その選定理由、お聞かせくださいませ。」

礼奈「深い理由?ないわよ。……ただ、どうしても頭から離れなかった。それだけ。」

亜矢「なんとなく、ってやつか。」

手鞠「逆に信憑性あるよね、礼奈さんらしい直感。」

真理亜「俺も《火の用心棒》は覚えてる。見えない“火種”から周囲が崩れていくやつだよな?……あれ、まるでSNSの炎上みたいだった。」

ジョージ「ああ、アイツな。語り手が救いようのない自爆型でさ。ラスト、燃え落ちるように消えていくのが爽快だった。怪異というより、裁きだったな。」

咲夜「ええ、私も思わず拍手しちゃったわ。あれは怪異が正義に見えるタイプ。」

礼奈「……ふふっ、ちょっと嬉しいかも。」




星夏「では、続いて《パクルナ!》についてもお聞かせ願えますか?」

礼奈「私は……実家が養鶏場でね。生き物と一緒に暮らしてると、命って“勝手に触っていいものじゃない”って分かるの。
誰かが勝手に連れてったら、そりゃもう……パクるな、って叫びたくなる。」

手鞠「なるほど。“命の所有”をテーマにした怪異か。タイトルも上手い。“パクるな”と“パクリナ”がかかってて耳に残るし。」

真理亜「俺は最初、“魔法少女パクリナ”のパロディかと思ったけどな。後で《パクリナ》《パクレナ》って続編もあるって聞いて納得した。」

亜矢「たしか、四部構成だったな?あとひとつ……」

北臓「《バグノエノレルイナ》とかいう、呪文みたいなタイトルじゃったかの。あれは口にするのも気味が悪い。」

星夏「《パクリナ》、本編じゃなくておまけキャラとして登場してますのよね。シリーズの裏側に潜む“記憶の泥棒”として。」

礼奈「実は、私たち登場人物の名前をもじったキャラも出てるのよ。ファンの間では“完結済み”って言われてるけど、まだ“終わった感”がない。」

星夏「ちなみに、あのシリーズ、私たちの地元・石山県では深夜ローカルアニメになってて……最近は全国ネット進出の噂も。」

真理亜「マジ?それガチなやつ?……カルくない?」

手鞠「その“カルい”って表現も、石山弁だよな。じわじわバズってるの、たしかに感じるよ。」

北臓「わしはアニメは観んが……巷ではよう聞く話じゃな。」



亜矢「話が逸れたな。さて、次は北臓さん、お願いします。」

北臓「ふむ、わしか。では……わしが選んだ怪異は《シノビ笛》と《カラス掲示板》じゃ。」

手鞠「《シノビ笛》って、時代劇モノだったよね?戦国中期が舞台で、医療の概念すら曖昧だった時代……」

礼奈「だけど、現代版ではナースコールが《シノビ笛》に置き換えられてたっけ?看護師たちが《シノビ衆》にされてるのが斬新だったわ。」

北臓「まさにそう。病院という“命の境界線”で鳴る音は、かつて命の境界で交わされていたものと同じじゃよ。」

ジョージ「シノビ笛にも“音の種類”があって、それを聴き分けることで命の危機を察知する。現代の医療アラームにも通じるね。」

星夏「音という点で非常に興味深いですわ。“音”が語る怪異……良い着眼点です。」




星夏「次に《カラス掲示板》、お願いします。」

北臓「これは……わしの中でも五指に入るほどの怪異じゃ。書き込んだ“言葉”が、カラスに伝わってしまう。」

亜矢「書いた内容によっては、“何か”が来るんだったな。呪いの発動条件が明文化されてるのが逆に怖い。」

手鞠「カラスって頭が良いし、恨みも根に持つ。だからこそ、妙にリアルで……僕は触れないようにしてる。」

咲夜「私は普通にカラス、仕留めてるけど?」

星夏「!?それは……どういう意味ですの?」

咲夜「冗談よ。でも、あれは……“人が観たら笑って済むけど、カラスが読んだら怒る”掲示板なのよね。」

北臓「火の用心棒と近いかもしれん。“言葉”が引き金になる災いじゃからな。」

星夏「ネットやSNSの炎上を怪異化したような……確かに。」

手鞠「そう考えると、現代に馴染んだ怪異としては、よくできてるな。」



亜矢「では次……ジョージさん、頼む。」

ジョージ「よし、俺の選んだ怪異は——《デュラハンストーカー》と、《おまえのつぶ像に〇〇したら、地の果てまでぶつよ》。……どっちもエグいやつだ。」

手鞠「ゾクッとした……そのタイトルだけで、鳥肌立ったよ。」

咲夜「どっちも“しつこさ”が本質の怪異よね。」

真理亜「あれって一種の執念型怪異だよな。恨みの使い方が怖すぎる。」

星夏「あの《つぶ像》シリーズ……誰もが一度は“何かしてしまう”から避けられないのが厄介ですわ。」

ジョージ「でも安心しろ。《〇〇しなければ》問題ない。要は常識を守れって話だ。」

北臓「常識が通じない怪異もおるが、こやつらは“ルール違反者”を追い詰めるタイプじゃな。」

亜矢「私は、あの《デュラハンストーカー》を読んで、車に乗るのが怖くなった。」

真理亜「俺も……視えないゴーストカーが映るシーン、今でも夢に出る。」

咲夜「でも、あなたたち免許持ってないでしょ?」

手鞠「あはは、たしかに。」

ジョージ「あの2作は、視覚・聴覚・空間感覚、すべてを刺激する怪異。ぜひ挿絵付きで読んでくれ。」

星夏「ありがとうございました。……さあ、次は私たちの番ですわね。」

亜矢「うむ。では、私の語る怪異は——」

 

🔻次回:Episode 6 へ続く
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