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二章 三者三様
弁当と胸と登校と……
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「それじゃあ……私先に行くわね」
朝食を済ませると亜希は靴を履き学園へと向かう準備をしていた。
「亜希ちゃん、もう行くの……?」
「だって、彼方と一緒に家を出る所を誰かに見られたら恥ずかしいし……。いい彼方!学園では間違っても私のこと下の名前で呼ばないでよ!それと私たちが一緒に暮らしてるの他言無用だからねっ!」
「わ……分かってるよ……」
「それじゃあ、行ってきます」
亜希は僕へとビシッと指を突き抜けながらそう言うと学園へと向かっていった。
「まったく亜希ちゃんったら……、どうせ同じ学園に行くんだから彼方くんと一緒に行けばいいのに……」
真奈美さんはそう言うも僕は亜希の気持ちは分からなくもない。
僕と亜希が同じ家に住んでいるとバレれば周囲からからかわれるのは目に見えている。
それは僕も避けたいし、亜希もそう思って先に行ったのだろう。
しかし、この後亜希の凡ミスによってそれは全て台無しになってしまうのだけど……。
「ねえ、お母さん。お姉ちゃんお弁当忘れてるよ?」
「え……っ!?亜希ちゃんってば……本当にそそっかしいわね……!」
真奈美さんは制服へと着替えた由奈ちゃんから弁当箱を受け取ると困惑した表情を浮かべていた。
しかしなんだろう……嫌な予感がする……。
そう思っていると僕と真奈美さんの目が合う。
「ねえ、彼方くん。確か亜希ちゃんと同じクラスだったわよね……?」
「え……ええ……、まあ……」
「ならこれ亜希ちゃんに渡しておいてくれないかしら?」
「わ……わかりました……」
やっぱりーーーーっ!
僕の予感は的中した!
でも、今出れば亜希に追いつけるかもしれないし、うまく行けば同居を隠せるかもしれない。
そう思った僕は亜希の弁当箱を受け取ると、自分の弁当箱と一緒にリュックへと詰めそれを背負って靴を履くと、学園へと向かうことにした……のだけど……。
「あ、待ってあたしも一緒に出る!」
僕が家を出ようとすると、一度リビングへと戻った由奈ちゃんは自分の鞄に弁当箱を詰め玄関へとやって来た。
「え……?でも中学校は学園と離れてるけど……」
「いいの!途中まで一緒に行こ!」
由奈ちゃんはそう言うと僕の腕へと抱きついてくる。
すると僕の腕に由奈ちゃんの柔らかい膨らみが当たるわけで……!
この子ワザとか……?ワザとかやってるのか……っ!?
本当に由奈ちゃんの距離の詰め方がおかしい……!
「それじゃあお母さんあたしたちも行ってきま~す!」
「二人とも気をつけていくのよ」
僕と由奈ちゃんは真奈美さんに見送られながら家を出た。
◆◆◆
家を出た僕は由奈ちゃんと登校しているわけなんだけど……未だに由奈ちゃんは僕の腕に抱きついたまま離れようとしない。
当然その様子を通学中の学生や通勤途中と思われる人たちに見られるわけで、僕は何とも恥ずかしい気持ちで一杯になりながら歩いていた。
「あ……あの……由奈ちゃんみんなが見てるからその……」
「えぇ~、いいじゃん。みんなにあたしたちは仲良し兄妹だって見せつけちゃおうよ」
「それにその……歩きにくいっていうか……」
それに、腕に由奈ちゃんの胸が当たっていて健全な男子にとっては精神的に極めてよろしくないんですっ!
「それに、早めに家を出てるんだから時間は間に合うんでしょ?ならゆっくり行こうよ!」
由奈ちゃんはそう言うとさらに僕の腕へとしがみついてくる。
すると当然彼女の胸が僕の腕へと押し付けられる訳で……冬服ならまだしも、半袖の夏服なため僕の腕にセーラー服越しとは言え、由奈ちゃんの胸の柔らかさがダイレクトに伝わってくる!
まずい……これは色々とまずい……!
何がまず言って僕の精神衛生的にもそうだけど、通学途中で亜希へと弁当箱を渡すという計画が台無しになってしまう……!
「お~い!彼方~っ!」
僕は色んな意味で冷や汗を流していると後ろから声をかけられたのだった。
朝食を済ませると亜希は靴を履き学園へと向かう準備をしていた。
「亜希ちゃん、もう行くの……?」
「だって、彼方と一緒に家を出る所を誰かに見られたら恥ずかしいし……。いい彼方!学園では間違っても私のこと下の名前で呼ばないでよ!それと私たちが一緒に暮らしてるの他言無用だからねっ!」
「わ……分かってるよ……」
「それじゃあ、行ってきます」
亜希は僕へとビシッと指を突き抜けながらそう言うと学園へと向かっていった。
「まったく亜希ちゃんったら……、どうせ同じ学園に行くんだから彼方くんと一緒に行けばいいのに……」
真奈美さんはそう言うも僕は亜希の気持ちは分からなくもない。
僕と亜希が同じ家に住んでいるとバレれば周囲からからかわれるのは目に見えている。
それは僕も避けたいし、亜希もそう思って先に行ったのだろう。
しかし、この後亜希の凡ミスによってそれは全て台無しになってしまうのだけど……。
「ねえ、お母さん。お姉ちゃんお弁当忘れてるよ?」
「え……っ!?亜希ちゃんってば……本当にそそっかしいわね……!」
真奈美さんは制服へと着替えた由奈ちゃんから弁当箱を受け取ると困惑した表情を浮かべていた。
しかしなんだろう……嫌な予感がする……。
そう思っていると僕と真奈美さんの目が合う。
「ねえ、彼方くん。確か亜希ちゃんと同じクラスだったわよね……?」
「え……ええ……、まあ……」
「ならこれ亜希ちゃんに渡しておいてくれないかしら?」
「わ……わかりました……」
やっぱりーーーーっ!
僕の予感は的中した!
でも、今出れば亜希に追いつけるかもしれないし、うまく行けば同居を隠せるかもしれない。
そう思った僕は亜希の弁当箱を受け取ると、自分の弁当箱と一緒にリュックへと詰めそれを背負って靴を履くと、学園へと向かうことにした……のだけど……。
「あ、待ってあたしも一緒に出る!」
僕が家を出ようとすると、一度リビングへと戻った由奈ちゃんは自分の鞄に弁当箱を詰め玄関へとやって来た。
「え……?でも中学校は学園と離れてるけど……」
「いいの!途中まで一緒に行こ!」
由奈ちゃんはそう言うと僕の腕へと抱きついてくる。
すると僕の腕に由奈ちゃんの柔らかい膨らみが当たるわけで……!
この子ワザとか……?ワザとかやってるのか……っ!?
本当に由奈ちゃんの距離の詰め方がおかしい……!
「それじゃあお母さんあたしたちも行ってきま~す!」
「二人とも気をつけていくのよ」
僕と由奈ちゃんは真奈美さんに見送られながら家を出た。
◆◆◆
家を出た僕は由奈ちゃんと登校しているわけなんだけど……未だに由奈ちゃんは僕の腕に抱きついたまま離れようとしない。
当然その様子を通学中の学生や通勤途中と思われる人たちに見られるわけで、僕は何とも恥ずかしい気持ちで一杯になりながら歩いていた。
「あ……あの……由奈ちゃんみんなが見てるからその……」
「えぇ~、いいじゃん。みんなにあたしたちは仲良し兄妹だって見せつけちゃおうよ」
「それにその……歩きにくいっていうか……」
それに、腕に由奈ちゃんの胸が当たっていて健全な男子にとっては精神的に極めてよろしくないんですっ!
「それに、早めに家を出てるんだから時間は間に合うんでしょ?ならゆっくり行こうよ!」
由奈ちゃんはそう言うとさらに僕の腕へとしがみついてくる。
すると当然彼女の胸が僕の腕へと押し付けられる訳で……冬服ならまだしも、半袖の夏服なため僕の腕にセーラー服越しとは言え、由奈ちゃんの胸の柔らかさがダイレクトに伝わってくる!
まずい……これは色々とまずい……!
何がまず言って僕の精神衛生的にもそうだけど、通学途中で亜希へと弁当箱を渡すという計画が台無しになってしまう……!
「お~い!彼方~っ!」
僕は色んな意味で冷や汗を流していると後ろから声をかけられたのだった。
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