13 / 66
転生した少女と復讐の暗殺者
揺れる復讐心
しおりを挟む
──セレナ──
瀬玲奈は意気揚々と屋敷を出てフェルンの街へと出た後、まだ朝だというのに多くの人で賑わう街を歩きながら「ル・パサージュ」と言う喫茶店へと向かっていた……のだが、土地勘が全くないらしく迷子となり涙目になっていた彼女を見るに見かね仕方なく私が件の喫茶店へと向かっていた。
そして、喫茶店の近くへとやって来ると、私は何者かの気配に気が付いた。
(この気配は……サリア・マリオンか……!)
私は気がついていないフリをしながら喫茶店を過ぎ、裏路地へと入ると向こうもまた私の後を付いてきているのを確認すると、壁と壁の狭い間を手足を使って素早く上へと登るとサリアをやり過ごす。
「ありゃっ!?アイツどこにいったのっ!?」
私を見失い、戸惑っているサリアを眼下に見下ろしながら彼女が通り過ぎた頃、私は音もなく着地すると同時にスカートの中に隠してあったナイフを抜き、後ろからサリアの首元へとナイフを突きつける。
「動くな……」
「うげ……っ!?いつの間に後ろに……っ!?」
「答えろ、なぜお前がここにいるっ!?」
「それはあたしのセリフだ!カイゼルがこの辺りに来るという情報を師匠から聞いて待ち伏せしていたんだ!あんたを付けていけばカイゼルに案内してもらえると思っていたけど……とんだドジを踏んじまったもんだ……!」
「何だと……?私はここに行くようにカイゼルに言われたんだが……」
どういう事だ……?
いや、考えるまでもないか……、つまりカイゼルの言っていた"私の進むべき道を示す者"と言うのが他でもないこのサリア・マリオンということのだろう。
「つまり、あたしたちは揃ってカイゼルに一杯食わされたってことみたいだねっと!」
サリアは一瞬の隙をついて私の拘束を振りほどくと前へと転がり私との距離をとる。
「く……!」
私は反撃を警戒しナイフを構え相手の出方を伺う……。
どうする……?一気に殺るか……?
「あんた、殺る気満々って顔してるけど……せっかく可愛い顔してるのにそんなんじゃモテないぜ……っ!?」
「黙れ!私はお前と馴れ合うつもりはない!」
「まあ、そんな怖い顔せずにお互いカイゼルに一杯食わされた者同士、仲良くしようじゃないか」
「……いいだろう」
サリアは手を軽く上げ、敵意がないことを示してから腕組みをすると不敵な笑みを浮かべていた。
しかし、だからといって「はいそうですか」と鵜呑みにするほど私もバカじゃない。
ここは従ったフリをしておくべきか……。
そう思った私はナイフを下げるも警戒だけは怠らぬようサリアの動きに注意を払う。
「いいねえ、その顔……。まるであたしを信用していないって顔だ」
「そんな事よりお前は何のためににここにいる?」
「理由はさっき言ったとおりさ、あたしはカイゼルを暗殺するためこの辺りで待ち伏せをしていたのさ。そう言うあんたは?」
「……ここに来ると私の欲しい情報が手に入るとカイゼルから聞いた」
「は……!つまりあたしは最初からカイゼルに利用されることにっていたって事か……。それで……?あんたの知りたいことってなんだ?まさかあたしのスリーサイズとか言うんじゃないだろうな?」
一瞬おどけてみせるサリアに私は十数年前に殺された両親の事を聞こうか迷うも、聞いてみることにした。
「ヴァルティア侯爵夫妻のことを知っているか?」
「ヴァルティア侯爵夫妻……?ああ、十数年前に暗殺されたって貴族のことか。大体は知ってるぜ?だが……その前に名前くらい教えてもらおうか、番犬さん」
「私の名はセレナ・ラティクスだ、番犬ではない」
「やれやれ、冗談の通じない奴だ……。さて、ヴァルティア侯爵夫妻の事だったな、その事件なら当時はあたしもまだ小さかったが、あたしの師匠が調べていたな……。表向きはフェルナンデス家による暗殺……、しかし実際はそうじゃない」
「……どういう事だ?」
「当時フェルナンデス家はヴァルティア侯爵夫妻暗殺の容疑がかかり没落寸前まで追いやられた……だが、カイゼルが無実を証明してみせた。奴は切れ者だった、カイゼル自身は勿論、使用人一人一人に至るまですべてのアリバイを徹底的に調べ上げフェルナンデス家は無罪……。では一体誰がヴァルティア夫妻を殺したのか……?」
サリアの言葉に私は動揺を隠せなかった……。
フェルナンデスが無罪を勝ち取っていた……?そんな話……私は聞いていない……!
もし……もし本当にサリアの言うようにフェルナンデスが私の両親を殺していないとしたら……一体誰が私の両親を殺したというんだ……っ!?
瀬玲奈は意気揚々と屋敷を出てフェルンの街へと出た後、まだ朝だというのに多くの人で賑わう街を歩きながら「ル・パサージュ」と言う喫茶店へと向かっていた……のだが、土地勘が全くないらしく迷子となり涙目になっていた彼女を見るに見かね仕方なく私が件の喫茶店へと向かっていた。
そして、喫茶店の近くへとやって来ると、私は何者かの気配に気が付いた。
(この気配は……サリア・マリオンか……!)
私は気がついていないフリをしながら喫茶店を過ぎ、裏路地へと入ると向こうもまた私の後を付いてきているのを確認すると、壁と壁の狭い間を手足を使って素早く上へと登るとサリアをやり過ごす。
「ありゃっ!?アイツどこにいったのっ!?」
私を見失い、戸惑っているサリアを眼下に見下ろしながら彼女が通り過ぎた頃、私は音もなく着地すると同時にスカートの中に隠してあったナイフを抜き、後ろからサリアの首元へとナイフを突きつける。
「動くな……」
「うげ……っ!?いつの間に後ろに……っ!?」
「答えろ、なぜお前がここにいるっ!?」
「それはあたしのセリフだ!カイゼルがこの辺りに来るという情報を師匠から聞いて待ち伏せしていたんだ!あんたを付けていけばカイゼルに案内してもらえると思っていたけど……とんだドジを踏んじまったもんだ……!」
「何だと……?私はここに行くようにカイゼルに言われたんだが……」
どういう事だ……?
いや、考えるまでもないか……、つまりカイゼルの言っていた"私の進むべき道を示す者"と言うのが他でもないこのサリア・マリオンということのだろう。
「つまり、あたしたちは揃ってカイゼルに一杯食わされたってことみたいだねっと!」
サリアは一瞬の隙をついて私の拘束を振りほどくと前へと転がり私との距離をとる。
「く……!」
私は反撃を警戒しナイフを構え相手の出方を伺う……。
どうする……?一気に殺るか……?
「あんた、殺る気満々って顔してるけど……せっかく可愛い顔してるのにそんなんじゃモテないぜ……っ!?」
「黙れ!私はお前と馴れ合うつもりはない!」
「まあ、そんな怖い顔せずにお互いカイゼルに一杯食わされた者同士、仲良くしようじゃないか」
「……いいだろう」
サリアは手を軽く上げ、敵意がないことを示してから腕組みをすると不敵な笑みを浮かべていた。
しかし、だからといって「はいそうですか」と鵜呑みにするほど私もバカじゃない。
ここは従ったフリをしておくべきか……。
そう思った私はナイフを下げるも警戒だけは怠らぬようサリアの動きに注意を払う。
「いいねえ、その顔……。まるであたしを信用していないって顔だ」
「そんな事よりお前は何のためににここにいる?」
「理由はさっき言ったとおりさ、あたしはカイゼルを暗殺するためこの辺りで待ち伏せをしていたのさ。そう言うあんたは?」
「……ここに来ると私の欲しい情報が手に入るとカイゼルから聞いた」
「は……!つまりあたしは最初からカイゼルに利用されることにっていたって事か……。それで……?あんたの知りたいことってなんだ?まさかあたしのスリーサイズとか言うんじゃないだろうな?」
一瞬おどけてみせるサリアに私は十数年前に殺された両親の事を聞こうか迷うも、聞いてみることにした。
「ヴァルティア侯爵夫妻のことを知っているか?」
「ヴァルティア侯爵夫妻……?ああ、十数年前に暗殺されたって貴族のことか。大体は知ってるぜ?だが……その前に名前くらい教えてもらおうか、番犬さん」
「私の名はセレナ・ラティクスだ、番犬ではない」
「やれやれ、冗談の通じない奴だ……。さて、ヴァルティア侯爵夫妻の事だったな、その事件なら当時はあたしもまだ小さかったが、あたしの師匠が調べていたな……。表向きはフェルナンデス家による暗殺……、しかし実際はそうじゃない」
「……どういう事だ?」
「当時フェルナンデス家はヴァルティア侯爵夫妻暗殺の容疑がかかり没落寸前まで追いやられた……だが、カイゼルが無実を証明してみせた。奴は切れ者だった、カイゼル自身は勿論、使用人一人一人に至るまですべてのアリバイを徹底的に調べ上げフェルナンデス家は無罪……。では一体誰がヴァルティア夫妻を殺したのか……?」
サリアの言葉に私は動揺を隠せなかった……。
フェルナンデスが無罪を勝ち取っていた……?そんな話……私は聞いていない……!
もし……もし本当にサリアの言うようにフェルナンデスが私の両親を殺していないとしたら……一体誰が私の両親を殺したというんだ……っ!?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる