転生メイドは原作改変で推しを救う!〜この運命、私が変えてみせます!〜

ノン・タロー

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転生した少女と復讐の暗殺者

暗殺者セレナ

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 謎の暗殺者の騒動からしばらく経ったあと、私は割り当てられた部屋へとやってきた。

 メイドなので一部屋を何人かで過ごすのかと思っていたけど、原作通り一人部屋!

 とはいえ、そこまで広いわけでもなくせいぜいビジネスホテルの一室程度の広さで、ベッドにちょっとしたテーブル、あとは壁姿見の鏡が設置されているけど、トイレとお風呂は共有らしく別。

 洗面台はあるようだけど……。

 それにしても、使用人一人一人にこのような部屋を割り当ててくれるなんてホント待遇がいい。

 私はルンルン気分で部屋の中へと入ろうとしたその時……。

『待て……!』

 突然セレナが話しかけてきた。

「どうしたの?」

『微かだが違和感がある……。何者かがこの部屋に入ったようだ……』

「え……?だれ……?もしかしてさっきの暗殺者……?」

『分からん……だがまずは慎重に部屋に入れ。そしてベッドの脇においてある私の荷物を確認にしろ』

 私はベッドへと目をやると確かにそこにはトランクケースが置かれていた。

「わ……分かった……」

 私は息を呑むと慎重に部屋の中を進む……。

(暗殺者さ~ん……お願いだから出てこないでよね~……)

 私は祈るような気持ちで進みどうにかトランクケースへとたどり着いた。

「つ……着いたよセレナ……」

『……やはりな、何者かが私のトランクケースを開けた形跡がある。やむを得ん、廃棄する』

「うえぇぇぇぇーーーー……っ!?す……捨てちゃうの……っ!?」

 セレナの捨てるという言葉に私は驚いた。

 す……捨てるって……そんな勿体ないよ……!

『セレナ大声を出すな!部屋の中に敵が潜んでいる可能性がある!』

「……っ!」

 私はセレナに言われて慌てて手で口を押さえると周囲を見渡す……。

 ど……どうやら不審者はいないみたい……。

 危険がないことに安心した私はほっと胸をなで下ろす……。

『だが、トランクケースに罠が仕掛けられている可能性は否定できない、瀬玲奈早くこれを捨てろ!』

「ま……待ってよ……!これまだ新品同然だよっ!?せめて中を確認しようよ……!」

『待て……!よせ……っ!』

 私はセレナが止めるのを無視してトランクケースを開ける。

 すると中にはメイド服と下着が数着づつ入っていた。

「……何もないよ?」

『……おかしい、瀬玲奈もっとよく調べろ』

「え……?う……うん……」

 私はセレナに言われた通りさらにトランクケースを調べる……。

 しかし出てくるのはメイド服と下着の他にはお財布と洗面道具のみ。

 化粧品は……ないのね……。

『……無いな』

「化粧品?」

『違う、万が一の時にこの中に隠してあった武器が無くなっている……。ここの者たちは只者ではなさそうだ……』

 ……つまり私が捕まったからたぶんミレイユさん辺りが調べたってこと……なのかな……?

「えっと……どんまい……?」

『お前が捕まったせいだ!くそ……!やはりお前は私の障害でしかない!お前はここで死ねっ!』

「え……?きゃあ……っ!?」

 セレナが突然私の両手の主導権を奪うと私の首を絞めてくる……!

 く……くるしい……!

 こ……このままじゃ息が……っ!

『お前が意識を失ったところで私が体を奪い返す!さあ早く落ちろ……!』

「ぐ……ぐうぅぁぁ……!」

 目前が……暗くなってくる……。

 も……もうダメ……。

 私の意識が失われようとしたその時、突然部屋のドアがノックされた。

『セレナさん、少しいいですか?』

 この声は……ミレイユさん……?

「み……みれ……た……け……て……」

 私は最後の力を振り絞ってどうにか声を出そうとする……。

『く……邪魔が入ったか……』

 突然のミレイユさんの登場でセレナは姿を消すと私は求めるように息をした。

「はあ……!はぁ……っ!ゲボ……!げほげほ……っ!」

『セレナさんっ!?大丈夫ですかっ!?何かあったんですかっ!?入りますよ……っ!』

 私に異変に気がついたミレイユさんが慌てて私の部屋へと入ってきた。

 た……助かった……。

 もう少しミレイユさんが来るのが遅かったら私は今頃……。

 そう思うとセレナの恐ろしさにゾッとする……。

「ミレイユさん……大丈夫です……。それより何か私にご用ですか?」

「本当に大丈夫ですか……?」

「はい……!」

 私はやや作り笑いを浮かべながらミレイユさんに返事を返す。

「そうですか……ならいいのですが……。それより、セレナさんに今夜屋敷の一階の見回りをお願いしたいのですがいいですか?」

「見回り……ですか?分かりました」

「では、お願いしますね」

 ミレイユさんは私にランタンを手渡すとこの場を去っていった。

「はあぁぁぁぁぁ~……!」

 た……助かった……。

 私は盛大なため息を焚きながらベッドへと座ったのだった……。
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