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未来へと続く道
失ったもう一人の自分
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──セレナ──
あれからどのくらい経ったのだろう……気がつけば私は見知らぬ部屋のベッドで寝かされていた……。
私はどうなった……?
(確かレオンハルトの手を取り……そのあと拘束椅子に座って……それから兜のようなものを被らされていた。それから……)
私は気を失う寸前までのことを思い返すと、何かに怒りを掻き立てられ、それを何かに吸い上げられるという、何とも不気味な感覚を思い出す……。
(それより、どこだここは……?)
私は起き上がって周りを見渡すと悲痛そうな顔をしているサリア、ミレイユ、ヴァンの姿があった。
「サリア、ミレイユ、ヴァン……私は一体……」
「セレナ……!お前自分が何をしたか分かってんのか……っ!?」
サリアは私が気がついたのを確認すると、怒りを顕にさせ私へと掴みかかってくる……!
「わ……私は自分の望む世界にしたかっただけだ……」
「何が"自分の望む世界にしたかった"だ……!お前にとっちゃそうかも知れないけどな、お前のせいで瀬玲奈が……瀬玲奈は……っ!」
サリアは言葉を詰まらせながら涙を流し、私を睨みつける。
なんだ……?瀬玲奈が……瀬玲奈がどうしたと言うんだ……っ!?
サリアの言葉に私は嫌な予感を覚える……。
「……瀬玲奈さんはセレナさんを助けるためにヴァルキュリアを操り、最後はセレナさんやわたくし達を助けるために自爆したんです」
「な……なん……だと……?」
瀬玲奈が自爆した……?
それを聞いた私の頭は真っ白となり、理解が追いつかなった……。
「……瀬玲奈を助けられなかったという点で言えば俺達もセレナも大差はない。しかし、元を突きつければ敵の術中にはまったお前の落ち度は大きい」
「つまりお前が瀬玲奈を死なせたんだよっ!」
私が瀬玲奈を死なせた……?
(瀬玲奈……瀬玲奈……!答えろ瀬玲奈……っ!)
私はそれが信じられず何度も心の中で瀬玲奈を呼び続ける……!
しかし……瀬玲奈は返事を返してはくれない……。
(瀬玲奈……!起きろっ!寝てるんだろっ!?私を驚かそうとしているんだろっ!?答えてくれ瀬玲奈……!)
私は何度も心の中で瀬玲奈を呼び続ける……しかし、瀬玲奈は何も応えてはくれない……。
その時私は始めて理解した……瀬玲奈が私の中からいなくなったということに……。
「瀬玲奈……瀬玲奈……!すまない……私の……私のせいで……!あぁあぁあぁぁーーー……!瀬玲奈……!瀬玲奈ぁぁぁーーー……っ!」
私は目から涙を流していた……。
自分の軽はずみな行動のせいで私はもう一人の自分を失ってしまった……!
私は何度も瀬玲奈の名を呼びながら涙が枯れるまで泣き続けたのだった……。
◆◆◆
あれから数日後……私はフェルナンデス邸へと戻ると、まだ日中だと言うのにカーテンが閉め切られた薄暗い自分の部屋に閉じこもり、ベッドの中でうずくまっていた……。
部屋の外では動かなくなったヴァルキュリアの埋葬、それに屋敷内の片付けと修繕が行われている。
本来なら私も参加しなければいけないのだが、瀬玲奈を失った哀しみが癒えるどころか、瀬玲奈を死なせてしまったと言う自責の念に未だ囚われていた。
「……瀬玲奈、私はどうすればいい?」
私は何度目かになる瀬玲奈への問いかけを行うも、答えてくれる瀬玲奈はもういない……。
その事実が私の胸を締め付け、悲しみから目からまた涙が滲み出す……。
と、その時部屋のドアをノックする音が聞こえてきたが、私は返事をすることもなくベッドの中へとうずくまる。
返事をしなければ諦めて去るだろう……そう思っていたのだが再びドアがノックされた。
誰だ……?私は今誰とも会いたくないんだ……
『……セレナさん、入りますよ』
ノックをしていた何者かはそれだけを言うと私の部屋のドアを開ける。
声からしてミレイユのようだ……。
何のようだ……?私を解雇するよう言われたと伝えに来たか……?
……それもいいかもしれない、それならば私は瀬玲奈の後を追うとしよう。
「ミレイユさん、ありがとうございました。……セレナさん、少しいいかい?」
私の部屋に来たのは一人だけかと思っていたがどうやらもう一人いたらしく、聞こえてきたその声に私はビクっと体を震わせたのだった……。
あれからどのくらい経ったのだろう……気がつけば私は見知らぬ部屋のベッドで寝かされていた……。
私はどうなった……?
(確かレオンハルトの手を取り……そのあと拘束椅子に座って……それから兜のようなものを被らされていた。それから……)
私は気を失う寸前までのことを思い返すと、何かに怒りを掻き立てられ、それを何かに吸い上げられるという、何とも不気味な感覚を思い出す……。
(それより、どこだここは……?)
私は起き上がって周りを見渡すと悲痛そうな顔をしているサリア、ミレイユ、ヴァンの姿があった。
「サリア、ミレイユ、ヴァン……私は一体……」
「セレナ……!お前自分が何をしたか分かってんのか……っ!?」
サリアは私が気がついたのを確認すると、怒りを顕にさせ私へと掴みかかってくる……!
「わ……私は自分の望む世界にしたかっただけだ……」
「何が"自分の望む世界にしたかった"だ……!お前にとっちゃそうかも知れないけどな、お前のせいで瀬玲奈が……瀬玲奈は……っ!」
サリアは言葉を詰まらせながら涙を流し、私を睨みつける。
なんだ……?瀬玲奈が……瀬玲奈がどうしたと言うんだ……っ!?
サリアの言葉に私は嫌な予感を覚える……。
「……瀬玲奈さんはセレナさんを助けるためにヴァルキュリアを操り、最後はセレナさんやわたくし達を助けるために自爆したんです」
「な……なん……だと……?」
瀬玲奈が自爆した……?
それを聞いた私の頭は真っ白となり、理解が追いつかなった……。
「……瀬玲奈を助けられなかったという点で言えば俺達もセレナも大差はない。しかし、元を突きつければ敵の術中にはまったお前の落ち度は大きい」
「つまりお前が瀬玲奈を死なせたんだよっ!」
私が瀬玲奈を死なせた……?
(瀬玲奈……瀬玲奈……!答えろ瀬玲奈……っ!)
私はそれが信じられず何度も心の中で瀬玲奈を呼び続ける……!
しかし……瀬玲奈は返事を返してはくれない……。
(瀬玲奈……!起きろっ!寝てるんだろっ!?私を驚かそうとしているんだろっ!?答えてくれ瀬玲奈……!)
私は何度も心の中で瀬玲奈を呼び続ける……しかし、瀬玲奈は何も応えてはくれない……。
その時私は始めて理解した……瀬玲奈が私の中からいなくなったということに……。
「瀬玲奈……瀬玲奈……!すまない……私の……私のせいで……!あぁあぁあぁぁーーー……!瀬玲奈……!瀬玲奈ぁぁぁーーー……っ!」
私は目から涙を流していた……。
自分の軽はずみな行動のせいで私はもう一人の自分を失ってしまった……!
私は何度も瀬玲奈の名を呼びながら涙が枯れるまで泣き続けたのだった……。
◆◆◆
あれから数日後……私はフェルナンデス邸へと戻ると、まだ日中だと言うのにカーテンが閉め切られた薄暗い自分の部屋に閉じこもり、ベッドの中でうずくまっていた……。
部屋の外では動かなくなったヴァルキュリアの埋葬、それに屋敷内の片付けと修繕が行われている。
本来なら私も参加しなければいけないのだが、瀬玲奈を失った哀しみが癒えるどころか、瀬玲奈を死なせてしまったと言う自責の念に未だ囚われていた。
「……瀬玲奈、私はどうすればいい?」
私は何度目かになる瀬玲奈への問いかけを行うも、答えてくれる瀬玲奈はもういない……。
その事実が私の胸を締め付け、悲しみから目からまた涙が滲み出す……。
と、その時部屋のドアをノックする音が聞こえてきたが、私は返事をすることもなくベッドの中へとうずくまる。
返事をしなければ諦めて去るだろう……そう思っていたのだが再びドアがノックされた。
誰だ……?私は今誰とも会いたくないんだ……
『……セレナさん、入りますよ』
ノックをしていた何者かはそれだけを言うと私の部屋のドアを開ける。
声からしてミレイユのようだ……。
何のようだ……?私を解雇するよう言われたと伝えに来たか……?
……それもいいかもしれない、それならば私は瀬玲奈の後を追うとしよう。
「ミレイユさん、ありがとうございました。……セレナさん、少しいいかい?」
私の部屋に来たのは一人だけかと思っていたがどうやらもう一人いたらしく、聞こえてきたその声に私はビクっと体を震わせたのだった……。
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