転生メイドは原作改変で推しを救う!〜この運命、私が変えてみせます!〜

ノン・タロー

文字の大きさ
55 / 66
未来へと続く道

失ったもう一人の自分

しおりを挟む
 ──セレナ──


 あれからどのくらい経ったのだろう……気がつけば私は見知らぬ部屋のベッドで寝かされていた……。

 私はどうなった……?

(確かレオンハルトの手を取り……そのあと拘束椅子に座って……それから兜のようなものを被らされていた。それから……)

 私は気を失う寸前までのことを思い返すと、何かに怒りを掻き立てられ、それを何かに吸い上げられるという、何とも不気味な感覚を思い出す……。

(それより、どこだここは……?)

 私は起き上がって周りを見渡すと悲痛そうな顔をしているサリア、ミレイユ、ヴァンの姿があった。

「サリア、ミレイユ、ヴァン……私は一体……」

「セレナ……!お前自分が何をしたか分かってんのか……っ!?」

 サリアは私が気がついたのを確認すると、怒りを顕にさせ私へと掴みかかってくる……!

「わ……私は自分の望む世界にしたかっただけだ……」

「何が"自分の望む世界にしたかった"だ……!お前にとっちゃそうかも知れないけどな、お前のせいで瀬玲奈が……瀬玲奈は……っ!」

 サリアは言葉を詰まらせながら涙を流し、私を睨みつける。

 なんだ……?瀬玲奈が……瀬玲奈がどうしたと言うんだ……っ!?

 サリアの言葉に私は嫌な予感を覚える……。

「……瀬玲奈さんはセレナさんを助けるためにヴァルキュリアを操り、最後はセレナさんやわたくし達を助けるために自爆したんです」

「な……なん……だと……?」

 瀬玲奈が自爆した……?

 それを聞いた私の頭は真っ白となり、理解が追いつかなった……。

「……瀬玲奈を助けられなかったという点で言えば俺達もセレナも大差はない。しかし、元を突きつければ敵の術中にはまったお前の落ち度は大きい」

「つまりお前が瀬玲奈を死なせたんだよっ!」

 私が瀬玲奈を死なせた……?

(瀬玲奈……瀬玲奈……!答えろ瀬玲奈……っ!)

 私はそれが信じられず何度も心の中で瀬玲奈を呼び続ける……!

 しかし……瀬玲奈は返事を返してはくれない……。

(瀬玲奈……!起きろっ!寝てるんだろっ!?私を驚かそうとしているんだろっ!?答えてくれ瀬玲奈……!)

 私は何度も心の中で瀬玲奈を呼び続ける……しかし、瀬玲奈は何も応えてはくれない……。

 その時私は始めて理解した……瀬玲奈が私の中からいなくなったということに……。

「瀬玲奈……瀬玲奈……!すまない……私の……私のせいで……!あぁあぁあぁぁーーー……!瀬玲奈……!瀬玲奈ぁぁぁーーー……っ!」

 私は目から涙を流していた……。

 自分の軽はずみな行動のせいで私はもう一人の自分を失ってしまった……!
 私は何度も瀬玲奈の名を呼びながら涙が枯れるまで泣き続けたのだった……。


 ◆◆◆


 あれから数日後……私はフェルナンデス邸へと戻ると、まだ日中だと言うのにカーテンが閉め切られた薄暗い自分の部屋に閉じこもり、ベッドの中でうずくまっていた……。

 部屋の外では動かなくなったヴァルキュリアの埋葬、それに屋敷内の片付けと修繕が行われている。

 本来なら私も参加しなければいけないのだが、瀬玲奈を失った哀しみが癒えるどころか、瀬玲奈を死なせてしまったと言う自責の念に未だ囚われていた。

「……瀬玲奈、私はどうすればいい?」

 私は何度目かになる瀬玲奈への問いかけを行うも、答えてくれる瀬玲奈はもういない……。

 その事実が私の胸を締め付け、悲しみから目からまた涙が滲み出す……。

 と、その時部屋のドアをノックする音が聞こえてきたが、私は返事をすることもなくベッドの中へとうずくまる。

 返事をしなければ諦めて去るだろう……そう思っていたのだが再びドアがノックされた。 

 誰だ……?私は今誰とも会いたくないんだ……

『……セレナさん、入りますよ』

 ノックをしていた何者かはそれだけを言うと私の部屋のドアを開ける。

 声からしてミレイユのようだ……。

 何のようだ……?私を解雇するよう言われたと伝えに来たか……?

 ……それもいいかもしれない、それならば私は瀬玲奈の後を追うとしよう。

「ミレイユさん、ありがとうございました。……セレナさん、少しいいかい?」

 私の部屋に来たのは一人だけかと思っていたがどうやらもう一人いたらしく、聞こえてきたその声に私はビクっと体を震わせたのだった……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

処理中です...