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3 対談はしたが、それでも私の心の中は……
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「お初にお目にかかります。ヒマリ=ファールドでございます」
「ふむ、よくぞいらした。私がギャレット=メルトラだ。まぁ楽にしてくれたまえ」
「失礼いたします」
王宮の奥にある王子専用の応接室へ案内され、先にギャレット殿下が待ってくださっていた。
早速椅子に座るよう誘導されたので、ゆっくりと腰掛ける。
ギャレット殿下の顔も初めて見るが、大抵の女子ならカッコいいと思えるくらいの美顔である。
スタイルも身長も申し分なく、外見に関しては非の打ち所がない。
だが、なんとなくこの空気感が私には合わなかった。
「結論だけ先に言おう。ヒマリ=ファールドよ、私と婚約し、第三王妃となってもらいたい」
「勿体無いお言葉。理由を聞かせていただけますか?」
もちろん本心ではなく社交辞令だ。
内心信じられなくて驚いている。
「ヒマリ殿はよく王宮に出入りしているのを見かけていた。私の一目惚れだ。調べたところ、ファールド子爵家の娘だということがわかったのでな。もっと喜ぶがいい」
「そうでしたか……」
全くもって喜べない。
むしろこれでは不都合なのだ。
もしもギャレット殿下とお会いして、好印象であれば考える余地はあった。
だが、どうもこの殿下は一癖ありそうな気がしてならない。
実際に公の場にも滅多に姿を現さなかったし、殿下ともあろうお方が一目惚れだけで婚約の対象にしてしまうのかというのも疑問だ。
「どうした? 私としては今すぐにでも話を進めたいのだがな」
「大変名誉なことではあると存じております。しかしながら、私自身の気持ちがまだ固まっておりません。せめて十日だけで良いのでゆっくり考えさせていただけないでしょうか?」
「ならぬ。長すぎだ。待っても七日間とする」
「……かしこまりました。では七日後に再びこちらへ参ります」
お辞儀だけして、すぐにこの部屋から出た。
いくら周りに護衛がいるとはいえ、護衛含めて何か危険な匂いがプンプンしていた。
殿下の奇妙なニヤ笑いも不気味に見えてしまう。
私の異性に対する感覚が神経質だといいのだが。
「せめてもう一度レンと逢えたら……」
王宮に来ているので、レンが普段訓練している場所へ向かうことにした。
「ふむ、よくぞいらした。私がギャレット=メルトラだ。まぁ楽にしてくれたまえ」
「失礼いたします」
王宮の奥にある王子専用の応接室へ案内され、先にギャレット殿下が待ってくださっていた。
早速椅子に座るよう誘導されたので、ゆっくりと腰掛ける。
ギャレット殿下の顔も初めて見るが、大抵の女子ならカッコいいと思えるくらいの美顔である。
スタイルも身長も申し分なく、外見に関しては非の打ち所がない。
だが、なんとなくこの空気感が私には合わなかった。
「結論だけ先に言おう。ヒマリ=ファールドよ、私と婚約し、第三王妃となってもらいたい」
「勿体無いお言葉。理由を聞かせていただけますか?」
もちろん本心ではなく社交辞令だ。
内心信じられなくて驚いている。
「ヒマリ殿はよく王宮に出入りしているのを見かけていた。私の一目惚れだ。調べたところ、ファールド子爵家の娘だということがわかったのでな。もっと喜ぶがいい」
「そうでしたか……」
全くもって喜べない。
むしろこれでは不都合なのだ。
もしもギャレット殿下とお会いして、好印象であれば考える余地はあった。
だが、どうもこの殿下は一癖ありそうな気がしてならない。
実際に公の場にも滅多に姿を現さなかったし、殿下ともあろうお方が一目惚れだけで婚約の対象にしてしまうのかというのも疑問だ。
「どうした? 私としては今すぐにでも話を進めたいのだがな」
「大変名誉なことではあると存じております。しかしながら、私自身の気持ちがまだ固まっておりません。せめて十日だけで良いのでゆっくり考えさせていただけないでしょうか?」
「ならぬ。長すぎだ。待っても七日間とする」
「……かしこまりました。では七日後に再びこちらへ参ります」
お辞儀だけして、すぐにこの部屋から出た。
いくら周りに護衛がいるとはいえ、護衛含めて何か危険な匂いがプンプンしていた。
殿下の奇妙なニヤ笑いも不気味に見えてしまう。
私の異性に対する感覚が神経質だといいのだが。
「せめてもう一度レンと逢えたら……」
王宮に来ているので、レンが普段訓練している場所へ向かうことにした。
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