この恋は秘密と醜聞で溢れている

 大好きだった恋人が、自殺した。知らない女への遺書を残して。
 ……そんなわけで傷心中の、成り上がりの貴族令嬢シャーロット。彼女の恋は公爵令息である相手との格差ゆえに、世間に隠していたため、そうとは知らない叔母の夜会に引きずり出されてしまう。
 そこで名門伯爵家の当主・ヴィクターと出会うと一転、眉目秀麗な彼の立ち姿に、シャーロットの目は釘付けとなった。
 ――正しくは、彼が持つ、『シャーロットが亡き恋人に贈ったはずの懐中時計』に。
 なぜ彼が持っているのか? そう考えたとき、シャーロットの頭は、恐ろしい結論にたどり着いてしまう。――伯爵が、死んだ彼から奪ったのだと。

「許せない……。誰も気がつかないと思ったら大間違いよヴィクター・ワーガス!」

 怒りに任せて、シャーロットはその夜とんでもない行動に出たのであった。


 共通する目的のため、世間を欺き婚約したシャーロットとヴィクター。かたや向こう見ずですぐ手が出る成り上がり男爵の令嬢、かたや冷静で毒舌な名門の伯爵。家格も性格も何かと噛み合わないふたりが抱える、秘密と醜聞と、ままならなかった恋の傷。……ただ感傷に浸るには、彼らはちょっと喧嘩が多くて、騒がしい。
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