全裸で異世界に呼び出しておいて、国外追放って、そりゃあんまりじゃないの!?

猿喰 森繁

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ウィルに案内された、これから私の自室になる部屋は、日本のスイートルームのように広くて、豪華だった。
まず、部屋の中に玄関がある。そして、玄関ホールがある。この空間が、すでに広い。日本の自宅の部屋と変わらないくらいの大きさだ。そして、右の通路からリビングルーム。ここも広い。テーブルが三つ置かれているのに、まだ余裕がある広さ。この国に友人も客人もいない私には、テーブル三つも必要ないのに。奥には、まだリビングルームがあった。リビングが二つ!おまけに客室まであった。どれだけ一つの部屋に部屋を何個も入れてるんだって感じ。もう、この時点で大きすぎる。広すぎる。そして、ガラスの仕切りに囲まれたラブホ並みにスケスケのバスルーム。トイレが別室なのはありがたいけど、これまた広い。トイレにこんな広い空間必要ある?って感じに広い。
そして、ベッドルーム。私が三人いても余裕はある特大ベッド。
それから、まぁ色々と、ここら辺は割合する。

凄いなぁ。広いなぁ。豪華だなぁ。
それが私の感想だった。
この部屋も、何日かすれば慣れるのだろうか。

「私がこんな広い部屋使って大丈夫?」
「仮にも聖女様だからね。大丈夫だよ。それより狭くない?ほかに必要なものがあったら、用意させるけど」
「最初に広いって言ってるじゃない。これで、狭いって言ったらどうするの」
「そりゃあ、もっと広い部屋を用意させるよ」
「これより広い部屋があるの!!???」
「あるよ。そこにする?」
「しないよ!」
「ふふ」

これでも広いのに、さらに広い部屋が存在することに驚いた。
一体、どんな風に使うんだ。
広けりゃいいってもんでもない。

「着替えもあるし、歯ブラシ…タオル…アメニティばっちりだ…すごい!高級ホテルみたいだ!」
「王宮だよ」
「こんな豪華なホテルに泊まったの初めて」
「王宮だよ」
「そういえば、ご飯って、どこで食べればいいの?食堂?」
「使用人が持ってきてくれるよ。そこの通話機を使えば、担当の人間が出てきてくれるから、必要なものがあったら、頼めるよ」
「通話機」

通話機というと、電話のようなものかと思ったけど、形は、壁掛け鏡に似ている。
前に立っても自分の姿はうつらないから鏡ではないのだけど。

「こうやって使うんだ」

ウィルが鏡部分を指でなぞった。何かの文字を書き、なぞられた部分が淡く光る。
そして、「ご用件はなんでしょうか」と、女性の顔が現れた。

「ごめん。用件はないんだ。使い方を教えたくてね」
「さようでしたか」
「うん。邪魔してごめん」
「いつでもお呼びください」

そう言って、女性の顔が消えて、またなにもうつらくなった。

「こうやって使うんだ」
「へぇ。ウィルの部屋にもつながるの?」
「うん。あとで、文字を教えるよ」
「お願い」

本当に魔法が存在している世界なんだな。
でも、人の顔が出てくるのは、少しイヤかもな。電話みたいに声だけだったら、まだ気はラクなんだけど。もしくはメールみたいに文字だけのやりとりのほうがありがたいんだけどな。

「ねぇ。これって文字だけって出来ないの?」
「文字だけ?変なこと聞くね。できないけど」
「変なところ不便なのね」
「文字だけのほうが変じゃない?手紙じゃないのに」
「う~ん。感覚の違い……」
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