全裸で異世界に呼び出しておいて、国外追放って、そりゃあんまりじゃないの!?

猿喰 森繁

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私の自室に案内してから、ウィルは早足に行ってしまった。
4日目にして、私が呼び出された部屋のメンバーと再開したり、世界樹が成長したり、葉っぱが落ちたり、色々とあったな。
ベッドでゴロゴロするが、世界樹から元気を分けてもらったからか、全然眠くないし、疲れていないから、目をつむっても寝落ちできなかった。これが自宅なら速攻で眠れたのに。

「スマホもないし、本もないし、することないな……テレビとか……ないか」

姫花ちゃんは、制服姿だったけど、スマホとか持ってるのかな。まぁ、持っててもネットも使えないだろうし、意味ないか。

「なんか……やることないかな」

私は、ウィルに教えてもらったあの通話機の存在を教えてもらった。困ったことがあったら、これを使ってと言われたけど、なんか暇つぶし出来るものとか頼んだら、怒られるかな。
ルームサービス気分で、頼み事をしていいものか悩んだが、怒られたら怒られたで、誤ればいいかと思いなおし、思い切って通話機を使った。
鏡部分に文字を書くと、淡く光り、すぐに女性の顔が映し出された。ウィルが使ったときとは違う女性の顔だった。

「はい。ご用件はなんでしょうか」
「すみません。私が読める本とか用意してもらうことって可能ですか?この国の歴史とかが分かるものがあるなら、お願いしたいんですけど」
「かしこまりました。今すぐ用意いたします」

そういうと、女性の顔が消えた。
そして、本当にすぐ本が届いた。

本とかいきなり頼んでも、すぐに来るわけないよな。と思って、ソファでダラダラしていたので、ノックの音が聞こえた時には驚いて飛び跳ねた。さっき連絡して5分も経っていないと思う。今すぐ、と言って、まさか本当に今すぐ届くとは思うまい。
扉を開けると、メイド姿の女性が、お茶とお菓子が乗ったワゴンと一緒に待っていた。
本だけ届くかと思っていたのに、まさかティーパーティーでも始められるようなレベルのティーポッドとお菓子の皿が来るとは、思わなかった。サンドイッチもある。
そういえば、お昼を食べていなかったな、と考えて、もしかしたら気をまわしてくれたのかもしれない。だとしたら、ありがたいやら申し訳ないやら。

「お待たせしました」
「すみません。お手数おかけします。あ、お茶とお菓子まで用意してくださって」
「ご迷惑でしたか?」
「いえっ!ありがたいです!ありがとうございます」
「それでは、失礼いたします」

机の上に料理とお茶を用意し終えると、すぐに女性は退室してしまった。

「本もこんなに用意してもらっちゃった……」

数えてみると、用意された本は、10冊だった。
表紙を軽く見てみると、この国の歴史についての本だけではなく魔法、魔物や瘴気についての本もあった。

「そういえば最近、本読んでないなぁ」

社会人になってから読書とは縁遠くなってしまった。
学生時代は、読書家というほどではないが、月に2冊くらいは読んでいたものの、ここ最近本を開いた記憶はない。

「久しぶりに本読んで、眠くならないといいけど……」

ひとまず、この国の歴史について書かれている本を手に取った。
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