ステラ皇女と初恋の捕虜様

雑煮

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ダンスの時間になると、エリクセンは他の女性には目もくれずにステラの方へと歩き出した。


令嬢たちはその様子を頬を赤らめながらその様子を見守っている。



「皇女殿下、私と一曲踊っていただけますか?」

「勿論ですわ。」


気丈に振る舞いながらも、心ここにあらずといったステラの様子にエリクセンも気付いてはいたが、
自分がどうこう出来る立場にはないとエリクセンはただただ目の前の愛しい女性を優しくエスコートすることに集中した。


ダンスのステップを踏む度に舞う銀髪は周囲の色を反射させながら煌めき、視線を移す事に揺れる睫毛に隠れる瞳は宝石のように美しい。


エリクセンは一生をかけてこの愛おしい人を大切にし、幸せにしようと改めて心に誓ったのだった。






一方、ステラはというとアスランが収容されている牢獄にどうやって忍びこめばいいのかをダンスの間中ずっと考えていた。


(あそこは警備が薄いわよね……でも魔法を使うとセンサーが反応するのかしら。だけど、あそこからあそこに行けば、センサーに引っかからないのかしら……)



早く終わって部屋に帰ってアスランを助ける準備をしたいとそのことばかりで目の前のエリクセンの少し寂しげな視線には気づけていなかった。







その後ダンスが終わると、ステラとエリクセンは夜風にあたりにテラスへ移動した。



「改めて、貴方が無事に帰って来てくれたことをお祝い申し上げます。」


「皇女殿下もお変わりなく過ごされているようで安心いたしました。
私は貴女の平穏を守るためにこの国を守ってまいります。」


「ありがとう、エリクセン。」


そしてエリクセンがステラの手の甲のキスをした。




さながら、皇女と騎士の会話ともとれる二人のやりとりは二人の心のすれ違いを現しているようだった。


  
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