婚約者をNTRれた勇者の童貞は初恋姉ポジの私が大変美味しく頂きました。

りんごちゃん

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 望むことが許されるなら、私はもうずっと前からヴィンスのことが欲しかったのだと思う。
 ヴィンスを押し倒して、彼を見下ろしながらそう考える。
 指と指は絡まったまま。その唇に何度も自分の唇を押し付ける。小さく「すき」と何度も繰り返しながら。

「ミゲラ姉、」
「もう、いや」
「え?」

 ヴィンスに名前を呼ばれるたびに、私は「ミゲラ姉」なのだと、その立ち位置にいなくちゃいけない気分になる。
 そう、ずっと嫌だったんだ。私、ずっと不満だったんだ。

「私はヴィンスの姉じゃないのに」
「っ、あ……」

 ヴィンスはハッとしたように呆けた顔で、私を見つめる。その馬鹿みたいに開いた口の隙間から自分の舌を侵入させた。

「んっ、ヴィンス……」
「っ、んっ、」
「ふっ、ちゅ、んンッ」

 このまま。このままヴィンスの子種だけでも搾り取ってあげようか。下腹部に当たるヴィンスの男の象徴。私が押し倒したときから、まるで期待するようにそこは固くなっていた。
 そういえば、今日は危険日。幸い、なのかな。このままヴィンスの子どもを孕めば、もしも一人になっても幸せかもしれない。一人じゃなくて二人だもん。なんでも乗り越えられる。それに、子どもがいる女を貴族になんてしない。

 あ、なんかすごくいい考えのような気がしてきた。

「ヴィンス、私を抱いて」
「そんなのっ」
「我慢、しなくていいの。ヴィンスに抱いてほしい」
「っ、あっ、みげら、みげらねえ……っ!」

 指を解いて、固くなったヴィンスのそれにズボンの上から指を這わす。
 私の名前、やっぱり「ミゲラ姉」なんだ。それに少し悲しく思いながらも、すりすりと固いものを撫でる。
 ……いや、本当に固くて大きい。ビクビクしてる。暴発寸前? いやいやまさか。

「ふ、ぁ、ンッ……!」

 なんて思ってると、ズボンの中でビクビクッとヴィンスのモノが一際大きくなったと思ったら、じんわりと股の間に染みができた。
 ──つまり、そういうことである。

「……あらま」
「ちがっ! これは……!」
「べつに、いいのよ? 気にしないで」

 だけどちょっとなんだかヴィンスをどうにかする気持ちが萎んできちゃった。
 半泣きになりながら、私を見上げるヴィンスはかわいい。そう。いつだってヴィンスはかわいい。憎めない。
 よしよし、とヴィンスの頭を撫でると、ヴィンスはしょんぼりと俯いた。
 かわいい。かわいいからなんかもう全部許した。

 と、思ったら手首をがしりと掴まれた。

「ヴィンス?」
「ミゲラ姉、じゃなくて……ミゲラ、って、そう呼んでいいの?」
「ぁ……」

 顔を上げたヴィンスにしっかりと見つめられながら名前を呼ばれた。そう呼んで欲しいとは願ってたけど、でも、なんだかすごい衝撃的でなんというか、これは。

「ミゲラ、顔が真っ赤だ」
「っ!」

 ヴィンスの手が私の頬を包んできて、もっと顔が熱くなってしまう。
 ちゃんと名前を呼ばれることがこんなに恥ずかしいだなんて思わなかった。やだもう恥ずかしい。でも、すごく嬉しい。にやけてしまう。

「……ミゲラって、本当に俺のことが好きなんだ」
「前からちゃんと言ってるよっ?」
「うん……でも、もしかしたら同情もあるのかな、と思ったりした。ミゲラと一緒だね。俺も不安だった。ミゲラの俺を見る目は余裕があるし……それにメフィスと仲がいいし」

 なにか言おうとすると、また「ミゲラ」と耳元で囁かれる。

「でも、それでもいいと思った。ミゲラが俺のことを弟として見てても、俺とミゲラは身体を繋げた仲で、将来を誓ってくれた。ミゲラの想いがどうであれ、俺はミゲラが手に入るならどうだってよかったんだ。何度も悩んだよ。ミゲラの想いが弟への想いの延長だったらどうしようって。でも、結局俺はミゲラのことが好きで、その想いを止められることなんてできなかったんだ」

 そう言いながら、ヴィンスは私を抱き上げる。
 突然の浮遊感に驚いてヴィンスの首に手を回すと、間近で微笑まれた。どストライクの顔に近距離で微笑まれて、また頬が熱くなる。さっきから顔が赤くなるのが止まらない。
 ええ、なにこれ。すごく、なんていうか、サービスがすごい。ヴィンスのサービスがすごい。
 片手でぱたぱたと熱を冷ましていると、ぽすんとふかふかのベッドの上に優しく下された。

「だから、ミゲラが俺の前からいなくなったとき、メフィスからミゲラが男に連れ去られたって聞いたとき、苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて。狂う気がした。飲み込まれそうなとき、メフィスが言ったんだ」
「なんて……?」
「どうせ狂うならミゲラの前で、ミゲラに責任があるんだと思い知らせてやれって」
「それは、なんていうか……」

 メルリアって私の親友だよね? そうだよね?
 なんてメルリアのほうに思考が向かっていると、ヴィンスのキスでこの場に戻された。

「俺のこと、好きだって言って」
「ヴィンスのこと、好きだよ。愛してる」
「俺も。俺もミゲラのこと好き、愛してる。ミゲラが言うなら国だって奪ってみせる。ミゲラが望むなら俺はなんでも捧げるよ。ミゲラが言うなら死んでもいい。……そのときはミゲラも一緒だけど」
「私はヴィンスとずっと一緒にいたいからその案はなしね」

 ヴィンスがちゅ、ちゅ、と顔中にキスを落としながら囁いてくる。けど、最後の内容が不穏だね。それ以前も不穏だけど。
 そういうのはよくないと思う。
 うん、よくない。ヴィンスの後頭部に手を回し、その唇を奪った。
 ただのキスじゃなくて、深くて舌を絡ませるようなキス。
 くちゅくちゅと唾液を混ぜ合わせながら、舌を絡ませる。ヴィンスの口の中を探るように舌で歯をなぞった。
 ちゅっちゅしていると、お腹に当たる固いもの。相変わらず復活が早いな、と思いながら唇を離すとお互いの唾液が一本の糸になった。えろ。
 ヴィンスは完全に興奮しきってて、ふっふっと鼻息が荒い。顔だって真っ赤で目がトロンとしながらもギラギラと捕食者の目。あと無意識だと思うけど腰が動いてる。

「は、ふっ……さっき出たのに……まだ興奮してるの?」
「そりゃ、するよ。何ヶ月ぶりだと思ってるの?」
「えっ!」
「え?」
「ヴィンス、他の女の人とシなかったんだ……」

 ちょっと驚き。もう私だけのヴィンスだと思ってなかったからなおさら。
 ヴィンスの顔であのテクならどんな女性でもメロメロだし、一夜で何度も復活する男が何ヶ月も我慢できるはずないから娼館とかそういうところででも他の女と寝てたりするかな~と思ってた。モヤモヤとはするけど、怒りはしないよ。ヴィンスと別れてたときの話だし、私が怒る権利はない。
 なんて思ってると、ヴィンスの目がどんどん据わり始めた。やだ、こわい。

「俺はミゲラ一筋だよ。結婚相手がいるのに他の女を抱くわけないだろ。俺はこの先ミゲラしか抱かないから」
「……そうなの?」
「そうだよ。ミゲラは俺の最初で最後の女だから、責任取らなくちゃいけないの」

 わ~~~~童貞の考え方~~~~~~~(偏見)
 ぷんぷんするヴィンスがかわいい。ショタ感やばい。かわいい。吐きそう。かわいすぎて。
 やっぱりヴィンスって一途だよね。よくまあクラリスから奪えたものだと思う。

「責任でいいの? 好きだからじゃなくて」
「……ミゲラの意地悪」
「好きだよ、ヴィンス。愛してる」

 むっ、と口を尖らせるヴィンスのかわいさ! かわいさ! 
 宥めるように笑みを浮かべて愛の言葉を囁くと、ヴィンスは頬を赤く染めて照れ隠しのように私の首筋に噛み付いた。

「っあ、」
「ふっ、ん、ミゲラ……」

 名前呼びの威力。耳元で囁かれる名前呼びの威力……!
 胸がドキドキして、それから全てに服従したくなる。きゅん、と子宮がヴィンスを求めた。
 肩には甘い痛み。たぶん、これ絶対跡がついてるだろうなぁ、と思いながらもヴィンスを止められない。
 はむはむと私の肩を噛むヴィンスの頭を撫でる。私のかわいいヴィンス。

 ──ヴィンスはもう私のもの。

「ヴィンス、私が好きなら身体で証明して、ね?」

 ヴィンスの身体の線をなぞりながら微笑んだ。
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