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side 亮太
「俺のこと覚えてますか」2人きりの教室。教卓と1番後ろの席。幸久は俺を睨むように視線を向ける。
「…覚えとるよ。忘れるわけないやろ」「…ほんと?本当に覚えてる?」「ホンマや。だって…」「だって、なんですか?」…言ってしまってええんやろか。検査を受けた幸久は知っとるはずや。自分がオメガに転性したことを、俺がそうさせてしまったことを。
「…幸久」「俺は覚えてたよ。毎日毎日、思い出してた。だって俺は」幸久の声が震えて涙が零れる。「会いたくて何度も海に行ったんだよ。でもあれから1度も会えなくて、きっと俺のことなんか忘れちゃったんだって、きっと気づかなかったんだって」「…幸久!わかっとったよ。お前が転性を知るよりも先に俺にはわかっとった。あの日、幸久にあんなことをしてまう前にちゃんとわかっとった。この子が俺の運命の番や、て、ちゃんと気づいとったよ」幸久が息を呑む。「…じゃあなんで…なんで言ってくれなかったんですか」
「…俺が意気地無しやってん。見ず知らずの男に運命の番やなんて言われたら、この子はどう思うやろ、て。ずっと後悔しとったんよ。この子が…幸久がどう思おうと噛んでしまえばよかった、って。…不安にさせてすまんかった。俺を信じてくれるか」「…先生はアルファなんだよね。やろうと思えばできたのに、俺の気持ちを待っててくれたんだよね」…そうや。できることなら俺をちゃんと好きになって欲しかった。あんな事故みたいな奪い方やなくて、ちゃんと俺を求めて欲しかったんよ。「幸久、俺は」「俺は先生が好き。だから先生にも俺のこと…」「わかっとらんな。言うたやろ、ちゃんと気づいとったって。誰彼構わずあんなことするわけないやろ。俺は抑制剤を飲んどるし、オメガの生徒のヒートかてちゃんと耐えられとった」「…俺だったからしたの…?」「幸久が好きや。信じてほしいわ」幸久は初めて俺の前で笑顔を見せた。
「俺のこと覚えてますか」2人きりの教室。教卓と1番後ろの席。幸久は俺を睨むように視線を向ける。
「…覚えとるよ。忘れるわけないやろ」「…ほんと?本当に覚えてる?」「ホンマや。だって…」「だって、なんですか?」…言ってしまってええんやろか。検査を受けた幸久は知っとるはずや。自分がオメガに転性したことを、俺がそうさせてしまったことを。
「…幸久」「俺は覚えてたよ。毎日毎日、思い出してた。だって俺は」幸久の声が震えて涙が零れる。「会いたくて何度も海に行ったんだよ。でもあれから1度も会えなくて、きっと俺のことなんか忘れちゃったんだって、きっと気づかなかったんだって」「…幸久!わかっとったよ。お前が転性を知るよりも先に俺にはわかっとった。あの日、幸久にあんなことをしてまう前にちゃんとわかっとった。この子が俺の運命の番や、て、ちゃんと気づいとったよ」幸久が息を呑む。「…じゃあなんで…なんで言ってくれなかったんですか」
「…俺が意気地無しやってん。見ず知らずの男に運命の番やなんて言われたら、この子はどう思うやろ、て。ずっと後悔しとったんよ。この子が…幸久がどう思おうと噛んでしまえばよかった、って。…不安にさせてすまんかった。俺を信じてくれるか」「…先生はアルファなんだよね。やろうと思えばできたのに、俺の気持ちを待っててくれたんだよね」…そうや。できることなら俺をちゃんと好きになって欲しかった。あんな事故みたいな奪い方やなくて、ちゃんと俺を求めて欲しかったんよ。「幸久、俺は」「俺は先生が好き。だから先生にも俺のこと…」「わかっとらんな。言うたやろ、ちゃんと気づいとったって。誰彼構わずあんなことするわけないやろ。俺は抑制剤を飲んどるし、オメガの生徒のヒートかてちゃんと耐えられとった」「…俺だったからしたの…?」「幸久が好きや。信じてほしいわ」幸久は初めて俺の前で笑顔を見せた。
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