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4. 家政婦兼秘書
しおりを挟む「それで、元の世界の私の遺体はどうなったんですか?今実際に身体はここにあるけど……。」
自分の遺体の話をするなんて、おかしな気分になったけど、元の世界で散々『異世界転生』とか『魔法』やらのマンガやラノベを読んでいたからか、思ったよりもすんなりと状況が飲み込めた気がする。
最も、自分が一度死んだことはまだ完全には受け入れられてないけど。
「ユリナの遺体は元の世界ではごく普通の遺体として存在している。正確には……体の一部としての遺体は置いてきたけど、大部分の体と精神は俺の魔法でこちらの世界に引き込んだ。」
全ての体を持って来れれば良かったが、アレクが気づいた時には既に死ぬような状況だったからまだ転移すれば助かる部分だけを何とか引き込んだという。
「それで、アレクは寿命の半分をその魔法の代償に支払ったと……。」
「そうだ。あとは俺の心臓の一部をユリナに分け与えている。」
なんかサラッと怖いこと言ったんですけどこの人!
「心臓の一部!?そんなことして大丈夫なの!?」
「まあ大丈夫か大丈夫でないかは微妙なところだが、ユリナに不都合はない。」
「……はあ。もう今更してしまったことは変えられないのよね。」
もはやありえないことがあり過ぎて敬語を使うことすら面倒になったし、アレクは別に気にしてなさそうだったのでそのままでいさせてもらうことにした。
「それで、肝心な話なんだけど。アレクの支払った代償に対して、私はどうすればいい?返せる物もないし、物が物だけに返せるとは思えないけど。」
そう、一応命の恩人で自らを犠牲にしてまで助けてくれたアレクには感謝しているし、もし私にできることがあればしてあげたいと思っていた。
「それのことだが、俺はユリナのことが殊の外気に入っている。この世界でユリナが生を終えるまで、俺の傍でいてくれないか。」
壮絶な色気の笑みを浮かべてこの美形は何を言い放ったのか。
「ま、まさかの!!求婚ですか!!!」
思わず大きな声で叫んでしまった。
「まあ別に結婚という形には拘らないから、とにかくユリナが傍でいてくれれば良い。今はジャンがしているが、俺の仕事や身の回りのことを少し手伝ってもらうのと、元の世界の話を色々と聞きたいしな。」
「あ、なるほどですねー。」
めちゃくちゃ自意識過剰なことを言ってしまった自分をぶん殴りたい。
アレクは一生使える、家政婦兼秘書のようなものを求めていたんですね。分かります。
「分かりました。ではこれから(家政婦兼秘書)頑張りますのでよろしくお願いします。」
思いっきりお辞儀をした私を見つめて、アレクはフッと笑う。
「ああ。よろしく頼む。」
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